コーチと話すと何故自分の思いが明確になったり、新しいアイデアが浮かんだり、考えが整理されたりするのでしょうか。
それは、コーチの質問によって頭の中でオートクラインという現象が起こっているからです。
オートクラインとは元々は、”1つの細胞が出したホルモンがその細胞自体に作用する”という医学用語から来ています。
そこから、自分で発する言葉は自分自身にも影響を与えるという意味で、コーチングやカウンセリングの世界でも認識されるようになりました。
コーチングにおけるオートクラインの効果は4つあると思っています。

①自分の価値観や考え方に気付く
潜在意識まで届く質問を投げかけることで、質問を受けた相手は深く考えます。
そして過去の記憶の詰まった潜在意識にアクセスし、答えを探して言葉としてそれを発します。
その自分の発する言葉を聞くことで、自分自身の価値観や考え方に気付くというわけです。
これが潜在意識の顕在化で、オートクラインの大きな特徴の1つです。

②新しいアイデアが浮かぶ
創造は関連付けと連想で起こる現象です。
換言すると、既知と未知がシナプス結合で繋がることで新しいアイデアが生まれます。
自分がどんどん話を進め、オートクラインが発生してる状態になると、
潜在意識という記憶の宝庫へのアクセス解放(既知の掘り起こし)と、
新しい視点から物事を見ることを促す(未知の発見)ことが同時に起こり、
新しいアイデアが思いつきやすいということです。

③考えが整理される
オートクラインは記憶の整理にも役立ちます。
自分の考えを話しているうちに、いつの間にか考えがまとまりスッキリ、という経験は皆さんにもあるのではないかと思います。
記憶というのはキレイに整理されストックされているわけではありません。
話しながら潜在意識の情報を外に出すことでそれらを認識し、整理することが可能となります。
実力のあるコーチは相手の考えが整理されるように質問をしていくので、コーチとの対話では特に急速にこれが進むことが多いです。

④自分の声は最大の影響力
自分自身に最も影響を与える声は自分自身の声です。
だからインカンテーションが大事になるわけですね。
自分の発する言葉が自分自身の考え方、ひいては行動まで影響を与える。
これもオートクラインの特徴です。

自分自身の考えを話すことはこれほど多くの効果があります。
自分だけでできるものもあれば、相手がいた方が遥かに効果の上がるものもあります。
”話す”ということは人間に与えられた特権です。
オートクラインをうまく活用することで、自分自身に良い影響を与え、より良い状態を目指しましょう。

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