オープン・スペース・テクノロジー(Open Space Technology:OST)とは、関係者が一同に集まり話し合うホールシステム・アプローチ(組織や上下の壁を越えて集まる大規模ダイアログ)の1種です。
1985年、ハリソン・オーウェンにより提唱されたこの手法は、コーヒーブレイクが生む協調性や興奮を生産的・創造的なダイアログの場に応用しようとまとめられました。
最大の特徴は、参加者の自主性を重視し、課題選定や段取り等を参加者に委ねるという点です。
つまり、ファシリテーターが場をコントロールしません。
これにより参加者のコミットメントが最大限引き出され、自己組織化(自律的協働により解決へと向かう組織)が進みます。
代表的な進行例は以下の通り。

【会場準備】
・椅子を円状に並べ、中央には何も置かない
・張り紙の作成と掲示
 ・テーマ
 ・4つの原理と1つの法則
 ・スペース・タイム・マトリクス(横軸に時間、縦軸に場所)
 ・スケジュール
 ・パソコンコーナー(置ける場所があれば)

1: オープニング
・参加者で輪になって座る
・ファシリテーターからルール、原理、法則について説明(4つの原則と1つの法則は後ほど記載)

2: アジェンダ作成と発表
・自分が情熱と責任を持ち話し合いたいテーマを紙に書き、円の真ん中で発表
・その紙を壁に貼る

3: ヴィレッジ・マーケットプレイス
・各テーマの時間と場所を決める(スペース・タイム・マトリクスに時間と場所を記載)
・全ての人が席を立ち、好きなセッションに申し込む

4: セッション
・テーマごとに話し合い
・参加者は各テーマ間を好きなタイミングで自由に移動できる

5: 全体セッション
・全体で振返り
 ・トーキングスティックの儀式:輪になって座り、スティックを持つ人が話し、順に回す
 ・メディシンウィール:リーダーシップ、ビジョン、コミュニティ、マネジメントについて振り返る

【4つの原理】
①ここにやって来た人は誰でも適任者である
 Whoever comes is the right people.
②何が起ころうと、起こるべきことが起きる
 Whatever happens is the only thing that could have.
③それがいつ始まろうと、始まった時が適切な時である
 Whenever it starts is the right time.
④それが終わった時が、本当に終わりなのである
 When it's over, it's over.

【1つの法則】
①主体的移動の法則 The Law of Two Feet
もし自分が学習も貢献もしていない状況にいると気がついた人は、自分の意思でより生産的になれる場所へ行かなければならない

この法則には4つの効果があります。
①誰もいなくなることで利己主義者をおとなしくさせられる
②学習と貢献の責任を本人に持たせられる
③バンブルビー(Bumblebee:ブンブン飛ぶ蜂):色々なセッションを飛び回る人を産む
④バタフライ(Butterflies:蝶):ほとんど何もしないが、非活動を生み出し、沈黙を楽しみ、新しい話題を提供する

創造性を喚起し、衝突や混乱を受け入れる安全な場を生み出すオープン・スペース・テクノロジー。
危機的な状態にある組織の方がより効果を発揮するとも言われています。
会議やワークショップで行き詰まりを感じたなら試してみる価値は十二分にあると思います。

 OPS