臨床心理士のウィリアム・R・ミラーとステファン・ロルニックが開発した、動機付け面接(Motivationg Interviewing(MI))というカウンセリングアプローチがあります。

人が思考や行動を変える際、きっかけとして非常に多いのがその人自身の言葉です。
自分の言葉というのはそれだけパワフル。
その言葉を「自己動機付け発言(Change Talk)」と言い、それを引き出していくのが動機付け面接(MI)です。
自己動機付け発言にはそれぞれの頭文字をとった”DARN-C”というポイントがあります。
D Desire:変化への希望
A Ability:変化できる力があるという楽観的見通し。小さくともできることや過去の成功体験
R Reason:変化したい理由。変化することのメリット。
N Need:変化する必要性。変化しないことのデメリット。
C Commitment:変化のために行動するという約束。具体的計画。

また、動機付け面接には5つの原則と4つの戦略があります。
【5つの原則】
1. 共感を表現:クライアントの気持ち、感情、価値観などを正確に受け止め、共有する
2. 矛盾を拡大:思いと行動に矛盾があれば、それを気づかせるよう促す
3. 言い争いを避ける:非難や批判、説得では本人は自ら進んで変化しようとしない
4. 抵抗を手玉にとる:リフレーミングを活用し、抵抗を推進力に変える
5. 自己効力感をサポート:褒める、成功モデルを示す、小さな計画を立てるなどし、クライアントの”できそう”という気持ちを引き出す

【4つの戦略 OARS】
O Open Question(開かれた質問):自己探索のための質問を様々な答え方ができる形で
A Affirm(是認):良いところを探して褒め、好ましくない言動にも受容的、柔軟的に対応
R Reflective Listeing(聞き返し):オウム返し(バックトラッキング)で、気づきを与える
S Summarize(要約):相手の話の中からキーポイントを拾い上げ、花束のギフトを作る

この動機づけ面接は、実際にコーチングや企業でも取り入れられている理論です。
1つ1つはちょっとしたことですが、それらを意識して相手と対応するのとしないのでは、相手の思考、そして行動は大きく違ってきます。
カウンセラー、コーチはもちろんのこと、部下を持つマネージャーなども学んで損はない理論だと思います。

MI