イギリスの哲学者スティーブン・トゥールミンが考案したトゥールミンモデル(トゥールミンロジック)というものがあります。
主張の”型” を表したモデルで、これを用いて相手の話をフレーム(型)に当てはめながら確認することで、きちんと論証された主張かどうかをチェックできるようになります。
ディベートなどでは確実に押さえておいた方が良い理論です。

この理論は以下の6つの要素から構成されています。
根拠 (Grounds) :主張を支える理由・根拠
主張 (Claim) :根拠から展開されるひとつの主張
論拠 (Warrant):根拠が主張を支えている理由
裏付 (Backing):論拠が間違っていないことを示す根拠
反証 (Rebuttal):反証可能性
強度 (Qualifier) :論理の強さ、定性的な正しさ

これらを流れで表すと以下のようになります。
tulmin


この図にそって、相手の主張をチェックしてみましょう。
1. 根拠:事実を伝える
 デニムが5万だったんだ。→ これは事実かな。
2. 主張:意見と事実は分けて考える
 高いよね。→ これは意見で事実ではないな。
3. 論拠:意見と事実の間には必ず理由がある
 デニムの相場は2万円以下だよ。→ これが高いと思っている理由か。
4. 裏付:その理由が間違っていないことを証明
 だって2万以上のデニムなんて見たことない。→ 見てきた価格で相場と言っているんだな。
5. 反証:どんな議論にも必ず反証可能性がある
 デニムが5万と言っているけど、値引きできるのでは?
 デニムの相場が2万円以下というのは本当かな。
 2万以上のデニムも結構あるだろう。相場の決め方が強引ではないか。

6. 強度:最後に論理の強度をチェックする 
 主張の正当性はどのくらいあるだろう。
 
ちなみにこれらの6つ全てが揃い完璧に構築された論理は
”プリマファシエ(Prima Facie)”と言うそうです。
トゥールミンモデル自体は主張のためのロジックというよりは、聞くためのロジックと言われています。
このフレームに当てはめながら主張のロジックが弱いところがあれば、ディベートでは論破すれば良いでしょうし、コーチングではそれとなく自身で気づいてもらうように促すこともできます。
傾聴力を高めるための1つのツールとして十分に活用はできるかと思います。
また、これらのフレームを頭に入れつつ客観的に考えながら話を展開することで、より強固な論理の主張ができるようになると思います。