先日、"A Message of A Master"で記載されている、”心の構造”について記載しましたが、
今回は、稲盛和夫さんが言われている心の多重構造について考察したいと思います。 

”心”について考える前に、”思い”について知る必要があります。
「人間は思いの主人であり、人格の制作者であり、環境と運命の設計者である」
これは、イギリスの哲学者ジェームズ・アレン氏の言葉です。
”思い”が人格、人柄を形成し、境遇運命を決める。
だから今の自分はこれまでずっと心に抱いてきた”思い”の集積である。
”思考は現実化する”等の自己啓発の名著と基本的に言及していることは同じですね。
思い=思考が現実を作っていくということです。

そして、その思いが出てきているところが”心”です。
稲盛さんは、心は多重構造になっていると説かれています。

【心の多重構造】
①真我:利他の心
 良心、真善美、愛と誠と調和。
 この世にあるすべてのもにに備わっている。
 宇宙をつくっている根源。

②本能:欲、怒り、愚痴 
③感情: 好き嫌い、喜び、怒り
※本能と感情を合わせたものを低次元の「自我」と言う。

④感性:見る、聞くなど五感に伴う感性
⑤知性:頭で考えている部分


ここで、思いと心の関係について戻りましょう。
思いが人格や人柄、運命を作っている。
どんな思いを持っているのか、それは
真我からの利他の心:優しい思いやりに満ちたもの、なのか
自我からの利己の心:自分だけがよければ良いという欲望、なのか。

言わずもがなですが、稲盛さんは真我からの純粋で美しい思いを持つことが
我々に幸せをもたらしてくれると説いています。
真我からの思いを大切にするためには、自我を抑える必要がありますが、それには努力が必要。
自律の心を訓練することで真我を取り巻く自我の皮を薄くしていくと、心の奥底にある高次元の真我が出やすくなってくるというわけです。
真我は宇宙の根源とまで言っておられるので、他の自己啓発書などに出てくる
宇宙の法則に従って生きるというようなことは、稲盛さん的に言うと、
真我の思いに従って生きる、と言い換えても良いのではないかと思います。

人間は卑しい生き物なので、すぐに自我の利己の心が顔を覗かせます。
真我から思いが溢れてくるように、日々鍛錬あるのみです。

soul