”1万時間の法則”
これはティッピングポイントの提唱者でもあるマルコム・グラッドウェルが
「天才!成功する人々の法則)」の中で述べている天才になるための条件です。

”並外れたスキルを持つ人(Outliers)になるためには、1万時間の練習が必要”というもの。
※ちなみにOutliersが原書の英語のタイトルです。

モーツァルトやビートルズ、ビル・ゲイツやスポーツ選手など様々な業界で傑出した
結果を残した人はみな、1万時間以上の鍛錬を積んでいたんだそうです。

この理論の是非について、400年に1人の天才棋士と言われる藤井聡太くんで考えてみます。
彼は現在15歳ですが、将棋を始めたのは弱冠5歳。
学校から戻るとすぐに将棋の勉強。
1日最低6時間以上研究し続けてきたんだそうです。
9歳の頃には既に詰将棋ではプロ棋士と互角の棋力だったと言います。
5歳から9歳を6時間だと、6時間×365日×5年=10950時間
ちょうど1万時間くらいで、この理論とほぼ整合することがわかります。

この理論から何を学ぶことができるでしょうか。
森的には3つくらいあるなと感じています。

①才能ではなく努力
これはOutliersのメインメッセージでもありますが、
天才になるために必要なものは、生まれ持った才能ではなく、1万時間の努力だということです。
マルコム氏は、自分の意思次第で熟達したスキルを身につけ、傑出した人間になることは可能と言います。
つまり、未来を切り拓く鍵は、いつでも僕たちの心の中にあるということです。

②1万時間の確保は計画的に
藤井4段みたいに1日6時間なんて確保できない!という方もいるでしょう。
では、1日どのくらい費やせば何年で1万時間に到達するのでしょうか。いくつか計算してみました。
1日9時間毎日だと、3年強     (9時間×365日×3年=9855時間)
1日8時間平日のみで、5年強    (8時間×245日×5年=9800時間)
1日3時間毎日なら、10年弱      (3時間×365日×10年=10950時間)
1日1時間毎日なら、30年弱    (1時間×364日×30年=10920時間)
1日1〜3時間コツコツ続けても最低でも10年かかることになります。
計画的に取り組まなければこの数値はなかなか到達できるものではありません。
やると決めたら時間の確保についても戦略的に考えなければいけません。

③量だけでなく”質”も大事
1万時間取り組めば何でもOKというわけでもありません。
努力の仕方が間違っていれば仮に1万時間費やしたとしてもプロにはなれません。
要は、練習の質、内容や方法も大事だということです。
スキルを身に付けるために正しい道筋は分かっているか。
常に100%の努力ができているか。
正しいフィードバックを受け、修正しながら進めているか。
成長に伴い練習内容を高い次元へと修正しているか。
このような正しい努力がスキルの熟達へと確実に繋がっていきます。
もっと言うと、1万時間は平均値なので、それより短い時間でもスキルの熟達は可能なのです。

1万時間。
途方もなく長く感じるかもしれませんが、何かを目指している人は
これまで積み上げてきた時間と1万時間の差分を考えてみるのも良いかもしれません。
「ここまで来てる。あとこれだけ。」その目安がエネルギーに変わるかもしれません。
天才になるために必要なのは才能ではなく努力ですから。
10000