教育の効果測定で重要な視点、”効率”と”効果”。(EfficiencyとEffectiveness)
Instructional-Design Theories and Models, Volume IV: The Learner-Centered Paradigm of Education
においても各教育プログラムをこの視点も含め効果測定しています。

英語も日本語も似ている混在しそうなこの2つの概念。
研究書籍にもよく出て来るということで、ここで整理したいと思います。
まとめるとこんな感じ。
effective-efficiency

1つずつ捕捉しながら説明します。
英語でこの両者の違いを調べたとき、よく出て来るのがこちら。
Effectiveness(効果):Doing the right things.(正しいことをする)
Efficiency(効率) :Doing things right.(物事を正しくする)

・・・はい。
分かりづらいので補足します(笑)
Efficiency(効率)とは物事を正しくすること。
正しくというのは、”いかにムダを省き効率的にこなすか”という意味合いです。
リスースやコストをかけず、スピーディーにこなしている状態がEfficiency(効率的)な状態です。
少し強引ですが、この時、”物事の目的”については考慮していません。
例えば、顧客リストと電話というリソースを手に、テレマをする営業担当者がいるとします。
この時、どれだけ早く全てのリストに架電できるかという部分に集中していて、
営業方法がそもそもどうなのか、ということについては考慮していない状態、
これが効率的に働いているという状態です。
視野は狭く短期的な視点で、いかにムダなくこなすか、という
Process-Oriented(プロセス重視)な考え方です。

対して、Effectivenss(効果)とは、正しいことをすること。
上記の営業担当者を続けて例にすると、テレマの前にそもそもの目的や戦略を見直します。
目的は何か?テレマ以外に効果的な営業方法はないか?など
広く高い視点で効果性や有用性について考えます。
Result-Oriented(結果重視)な考え方です。

これらはどちらが正しいという議論ではなく、どちらも大事だということです。
Efficiency(効率)ばかり追い求めていては、そもそもの目的を見失ってしまったり、
抜本的な改革案などは出て来にくくなりますし、
逆にEffectiveness(効果)ばかり考えていても、実際のアクションを起こさなければ物事は進みません。
両方の視点を持ち、結果もプロセスも両方をバランスよく考える必要があります。

教育現場においてもこれは言えます。
ドリルなどは物事を短時間で暗記するのにはEffeciency(効率的)かもしれませんが、
何を身につけることが学習者にとって本当の意味でEffectiveness(効果的)なのかを考え、
プロジェクトやグループワークなどを通してクリエイティビティや自己調整学習能力等
を高めていく、といった両方の視点が必要ということです。