1991年にカリフォルニア大学教授のLaveとWengerが
正統的周辺参加(LPP: Legitimate Peripheral Participation)
という概念を提唱しました。
これは、
”学習は、実践共同体への参加の度合いの増加に伴うアイデンティティ変化である”
とする考え方です。
換言すると、社会のコミュニティに飛び込み、そこで観察者、見習い等の役割を経て、
徐々に中心的な役割である正規メンバー(正統的:Legitimate)へと成長していく、
そのプロセスこそが学習であるという主張です。
LPP
正統的周辺参加の前提として、状況的認知論(Stituated cognition)という概念があります。
これは、知識は個人の中にあるのではなく、他者との関係性の中にある」とする考え方です。
いくら知識を持っていても、自分の中だけに留まっていては社会の問題解決へと結びついていきません。 
社会の中で他者と知識を共有し、協働する中で新たな価値を生み出したり問題を解決したりする。
この学びの機会・経験が教育に必要だという点が、LPPの本質です。
暗記型の知識獲得に重きを置く従来の教育に対してアンチテーゼを投げかけたわけですね。

学校教育において社会で活躍する人材を育成しようと思うのであれば、
社会の中での働くといった中心的な活動(正統性)に
周辺から徐々に参加、経験していくような機会がもっと必要なのではないでしょうか。
そのためにはもっと学校・民間・行政等、垣根を超えた連携が必要となってくるんだと思います。

また、企業や組織における人材育成においても同じですね。
新人育成を考えるのであれば、周辺から中心的な活動に向かって歩みを進めるような機会提供ができているかどうか。
一度LPPの視点から考えて見ると見えてくるものがあるかもしれません。