OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development:経済開発協力機構)は
2030年に向けた教育のあり方を考える"The Future of Education and Skills 2030"を推進しています。
これは、2030年という時代に向けて、子ども達に求められるコンピテンシーの検討、
それを育成するカリキュラムや教授法、学習評価等について総合的に検討するものです。
それらはLearning Compass 2030としてまとめられていますのでご紹介します。
動画はこちら


そしてLearning Compass 2030の全体像がこちらです。
OECD
ぱっと見るとちょっと複雑かなとも思いましたが、1つ1つ紐解いて見ていきます。
まず、右上に"Well-being 2030"という看板があります。
ここが我々人類が2030年に共通して目指すべき場所・目的地です。
"Future We want"(私たちが望む未来)には様々なヴィジョンがありますが、
"the Well-being of society"(社会全体の幸福)は世界中の人たちで共有すべきと言われています。
※幸福と訳されることが多いWell-beingは、個人や組織のコンディションを表す概念で、
身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを指します。
そんなWell-beingを個人だけでなく社会全体で目指していこう。=目的地(ゴール)
そしてその目的地に向かうためのコンパス が、Learning Compass 2030となります。

では、その目的地を目指すために何が必要となるのでしょうか。
キーワードは以下の4つです。
☑︎Agency(エージェンシー)
☑︎Transformative Competence(変革を起こす力)
☑︎Foundation Skill(基本的なスキル)
☑︎AARサイクル

【Agency(エージェンシー)】
Agency(エージェンシー)とは、自分の生活と周囲に積極的に影響を与える能力意志を持つ状態です。
社会全体の幸福(Well-being)を創り上げるために社会を変革していこうとする意思
そしてそれを遂行する能力を持ち合わせた、言わば理想の学び手の状態。 
教育は、学び手がこのエージェンシーの状態になるように働きかけることが重要となります。
ちなみにそのような意思と能力を持つ教師を、Teacher-Agencyと言います。 
以下にポイントを数点記載します。
・エージェンシーを最大限活用するためには基本スキルが必要
・エージェンシーの概念は文化によって異なり生涯に渡り発展する
・支援してくれるその他のエージェンシー(共同エージェンシー(Co-Agency):両親、教師、コミュニティ、学生同士や、教師エージェンシー(Teacher-Agency):教師)との相互支援関係も重要である。
・”エージェンシー”の状態が原動力となり、AARサイクルが回る。

【Transformative Competencies:変革を起こす力(コンピテンシー)】
社会のウェルビーングを目指す上で鍵となる能力(キー・コンピテンシー2.0)と呼ばれているものが
”Transformative Competencies:変革を起こす力(コンピテンシー)”です。
※コンピテンシーとは成果に繋がる行動特性のこと
この”変革を起こす力”には以下の3つが内包されれます。
・Taking Responssibility(責任ある行動をとる力)
・Creating New Value(新たな価値を創造する力)
・Reconciling Tensions and Diemmas(対立やジレンマを克服する力)

【Foundation Skills:基本スキル】
上記のコンピテンシーを構成する基本スキルが 、
Knowledge(知識)Skills(技能)Attitutde & Values(態度&価値)です。
能力の基本になるスキルであり、これらを磨き高めていくことでコンピテンシーへと繋がっていきます。
運動で例えると、こんな感じでしょうか。
・基本スキル(筋力、柔軟性、持久力)を高めていくと、
・コンピテンシー(早く走れる、高く飛べる、重いものを持ち上げられる)といった能力に変化。

各スキルを詳細に記載すると以下のようになります。
Knowledge(知識)
-Disciplinary knowledge(専門的な知識)
-Interdisciplinary knowledge(学際的な・他分野にわたる知識)
-Practical knowledge(実践的知識)

Skills(技能)
-Cognitive and meta-cognitive skills(認知・メタ認知能力)
-Social and emotional skills(社会・情動能力)
-Physical and practical skills(運動・実践能力)

Attitude & Values(態度・価値)
-Personal(個人の)
-Local(地域の)
-Social(社会の)
-Global(世界の)
 
【AAR Cycle:学習過程サイクル】
基本スキルやコンピテンシーを向上させていくためには、学習過程サイクル(AAR Cycle)を回す必要があります。
AARサイクルとは、以下の行動を繰り返すことです。
①Anticipation(見通し・予測する)
②Action(行動する)
③Reflectin(振り返る)


企業研修などではPDCAサイクルを徹底させらりたりしますが、それと似た概念です。
仮説を立て、行動し、振り返る。
これを連続的に繰り返していくことが学習を深め成長するために重要となります。

ここまでの一連の枠組みを別の図式にしたものがこちらになります。
learning_framework2030
The Future of Education and Skills   Education 2030 OECDより

再度、ここまでの記載をまとめます。
・基本スキル(Knowledge(知識)、Skills(技能)、Attitutde & Values(態度&価値))を高めていくことで、コンピテンシーとなっていく。
・キー・コンピテンシー2.0である、Transformative Competencies(変革を起こす力)には、
Taking responssibility(責任ある行動をとる力)、Creating New Value(新たな価値を創造する力)、Reconciling Tensions and Diemmas(対立やジレンマを克服する力)が含まれる。
・基本スキルやコンピテンシーを伸ばすためには、AARサイクルで回していくことが重要である。
・社会全体の幸福(Well-Being)のために社会変革を起こそうとする意思と能力を持つ状態をエージェントと言う。
・このように個人及び社会全体の幸福(Well-Being)を目指すための地図がLearning Compass2030である。


急激な速度で変化している社会において、
”私たちは何を目指すのか””そのために何が必要でどのように実行していくのか”
これを教育の観点から示してくれているのがこのLearning Compass 2030だと思います。
自分は一教師として、世界で活躍し社会全体のWell-Beingに貢献できるような人が一人でも多く出てくるような、そんなサポートや授業ができればと改めて思いました。
そのためには自分自身がTeacher-Agencyとして常に意思も能力も磨いておかないと。
Good education for a better future.