10-10-10テストとは、スージー・ウェルチ氏が提唱した意思決定を正しく行うための思考ツール。
スージー・ウェルチ氏はGEのジャック・ウェルチの奥さんで、元AP通信記者。
ハーバード・ビジネス・スクール卒業後、経営コンサルタントとして活躍している方です。
さて、10-10-10テストですが、2010年に書籍化もされています。


Youtubeにも動画がありますね。

内容は非常にシンプルで、何か意思決定をする際には、3つの10に関するスパン(10分、10ヶ月、10年)で考えてみましょう、というものです。
例えばこちら。
今の仕事が嫌で転職するかどうか悩んでいる際に、この10-10-10で落ち着いて考えてみます。
・10分後は? 「いま転職をしたら、10分後には嫌な仕事から解放されて清々しているだろうな」
・10ヶ月後は? 「少なくとも最初の開放感は薄れているだろうし、次の仕事になれるのに必死でそれどころじゃなさそうだ。転職を後悔するとは思えないけど」
・10年後は? 「10年後には、転職で悩んだのがどうでもくなっているだろう…。それでも10年前の転職は間違ってないかな」
(※科学的な適職 4021の研究データが導き出す、最高の職業の選び方 210ページから引用)

コーチングではよくあることですが、何か問題に直面している人は非常に視野が狭くなっていることが多々あります。
視点が固定化され、バイアスがかかり、客観的に物事が見れなくなってしまっているのですね。
そういう時は視点を変えて考えてみると冷静な判断ができることが多いです。
その視点の例として、未来の3つの視点を提供しているのがこの10-10-10テストになります。
そんな時は未来に立ってこの状況を眺めると客観的な自己理解ができ、正しい判断ができる可能性が高まります。

ちなみに心理学において、自己理解とは5つの側面があるとUlric Neisser(1988)は説明しています。
1.生態学的自己(Ecological self):物理的な環境との相互作用の中で発動され知覚されるもの
2.対人的自己(Interpersonal self):他者との紗愛的相互作用を通して知覚されるもの
3.概念的自己(Conceptual self):社会的役割や内面性など自己の特性に関する評価や過程から形成されるもの
4.時間的拡張自己(Temporally extended self):記憶や未来への期待に基づいて認識されるもの
5.私的自己(Private self):自身が他者とは共有しえない意識経験をもつことを自覚したもの

上記のうち、時間的拡張自己の獲得を支援するのがこの10-10-10テストです。
言い換えれば、過去・現在・未来の時間的関係を理解することにより、時間的拡張自己の概念を獲得し、正しい判断ができるようになるということです。

自分も今日が誕生日ということもあり、今のライフスタイルを送っていると10分後、10ヶ月後、10年後どうなっているのかを想像し、改めてキャリアについて考えていきたいと思います。
Happy birthday to me.

参考文献