近年、教師に求められる役割が増えてきていると言われています。
昔の知識詰め込み型教育の時代では、教師の中心的な役割は”教えること”でした。
それが昨今、
「答えのない問いについていかに考えいかに学ぶか」
「学習者の主体的な態度をいかに引き出すか」
「社会との接続を授業にどのように取り入れるか」
「自律的な学習者をいかに育成するか」
「学び方をどのように学ぶか」
「キャリア観をどのように醸成するか」
等々、様々な要素が教育に必要と言われるようになり、それに伴い教師に求められる役割も増加してきました。
そこで、教師に求められる役割についてまとめてみます。
これからの時代、教師には4つの役割が求められるように思います。

Teacher:教師

まずは本丸。もちろんTeaching(教えること)はまだまだ教師の重要な役割です。
情報を持つ者から持たざる者へ、理解している者から理解していない者へ、この流れ 
ただ、「自分で学ぶ」「チームで学ぶ」「経験から学ぶ」といった学びも重要視されてきたことから、
「教師からの学び」の割合はどんどん少なくなってきているように感じます。

Facilitator:ファシリテーター

続いてファシリテーターです。
ファシリテーターは直訳すると「促進者」で、学び溢れる場を作り、学習者の学びを促すのが仕事です。
ポイントは、集団の力(グループダイナミクス)を活用する点です。
集団には良くも悪くもエネルギーがあり、うまくその力を用いれば大きな学習効果を生みます。
※集団の力については、Tグループや感受性訓練エンカウンターグループもご参照ください
場の力を活用するためには、学習者が安心して参加できる心理的安全性の高い場づくりが鍵になります。
場づくりの他にも、適切な介入、「問いかけ」によって学習者に気づきを与えたり、学びを深めたりするのも重要な役割です。
1人では得られない他者からの学びや、集団での活動による気づきを促す、これがファシリテーターです。

Mentor:メンター

メンターは学習者が学びのプロセスの中で挫けそうになった際にサポートする役割です。
メンターとしてのサポートには複数ありますが、中原先生が職場における支援として
「業務支援」「内省支援」「精神支援」を挙げられていますが、これを参考として以下にまとめました。
・ワーク支援:グループワークなどが暗礁に乗り上げた際には、介入してサポートします
・内省支援:問いかけ、内省を促し、学習を促進します。コーチングですね。
・精神支援:うまくいかず落ち込んだりしている時には声かけ、勇気づけます。
ちなみに学び手の想いや気持ちを受け止め、励まし、勇気づけるという意味では、「Animator:鼓舞者」という言葉もあります。
こちらの期待が学習者の成長に影響を与える(ピグマリオン効果)ということもあり、
自分はMentor, Animatorとして、学習者の可能性を本人以上にとことん信じます。

Coodinator:コーディネーター

最後はコーディネーターです。
新たな学びの機会創出のためには、様々なリソースを組み合わせ、学びの劇場を作っていく必要があります。
また、最近だと遠隔授業を実施する学校も増えたかと思いますが、そのようなオンライン授業のための環境づくりというのもコーディネーターの役割だと思います。
最近では、人づくり・つながりづくり・地域づくりの「社会教育士」や
学校と地域を繋ぐ専門家として「キャリア教育コーディネーター」
等の資格も出てきており、コーディネーターの需要の高まりを感じます。

以上、教師に求められる4つの役割をまとめてみました。
社会の変化に伴い、教育に求められるもの、教師に求められるものも変化し続けています。
学習者に高い質の学びを提供するためには、教える立場にある教師も学び変化し続けていかなければいけないですね。
とは言え、教師の負担が増えるばかりでは対応しきれない部分もあります。
そこで、『チーム学校』(教師と教師以外の者がそれぞれの専門営を十分に発揮する組織体として学校を機能させることで対応しようという構想)のような考え方もより必要となってくるのかもしれません。
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