ホーソン実験(Hawthorne experiments)というモチベーションに関する実験があります。
これは、ハーバード大学のエルトン・メイヨーとフリッツ・レスリスバーガーらの研究で、1927年〜1932年、アメリカのシカゴ、ウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場で実施されました。

生産性を決定づけるものは何かという実験で、以下のような様々な条件下において生産性の変化を観察した。
【照明実験】
明るい方が生産性は上がると予想し、照明を100ワットから25ワットまで明るさを変えた
・仮説:照明が明るいほど生産性が上がる
・結果:照明と生産性は相関しなかった

【リレー組立実験】
休憩時間や就業時間、部屋の温度や賃金等の労働条件を変えながら、6人で継電器をリレー形式で組み立てる生産性を確認した
・仮説:物理的な労働条件の良し悪しが生産性に影響する
・結果:物理的な労働条件は相関しなかった。
・考察:社会的存在として肯定されたことでモチベーションが上昇し、生産性が上がったのでは
    物理的環境ではなく人間関係の方が生産性に影響を与えるのではないか

【面接調査】
従業員1人1人と面談し、どういう感情で働いているのかを聞いた
・結果①:面談で話を聞くだけで従業員の生産性が向上した
・結果②:労働環境ではなく、個人の主観的な感情や好みかが満足・不満足に繋がっていた

【パンク配線作業】
職種の異なる人でグループになり、パンク(電話交換機の端子)の配線作業を行い生産性を確認した
・結果①各労働者は自分の力を出し切るのではなく、労働量を自ら制限していた
・結果②時間当たりの成果の差は、能力の差ではなく意識の差による部分が大きかった
・結果③労働者の仕事の質だけでなく、検査官と労働者の人間関係が評価に影響した

このことから、
・作業環境やインセンティブといった物理的な労働条件は生産性に影響しない
・良好な人間関係を築いている方がミスが少ない等、感情面が仕事の生産性に影響を与えている
ことが分かりました。
特に、組織のフォーマルなルールよりもインフォーマルな組織(仲の良い者同士)のルールが生産性に対して強い影響力を持っていることが分かりました。

それまで作業を標準化し効率を求めることが重要であるとする科学的管理が主流であった時代に、この見解は大きなインパクトを与えました。
後にメイヨーは、非公式組織における仲間意識や集団内の規範が作業能率に影響を与えることをまとめ、人間関係論を展開し、人間関係の重要性が世界に広がっていくことになります。
Hawthorne