PorterとLawlerが1968年に提唱した期待理論のプロセスモデル。
人がどのように動機づけされ行動するのかというメカニズムを体系化したモチベーション理論の1つです。
期待理論自体は、1964年にVroomが提唱し、それをPorterとLawlerがアップデートして作成されたと言われています。
Vroomのモデルでは、以下のような構成です。
戦略(Efforts)→目標(Goal)→成果(Reward)
1:魅力ある成果の設定(Reward)
2:成果を実現するために必要な目標設定(Goal)
3:目標を達成するために必要な戦略の展開(Efforts)

Vroomは、モチベーションは期待と誘意性の積であると定式化しました。
モチベーション = 期待 × 誘意性
M(motivation force) = E(expectancy) × V(valence)
誘意性とは、仕事の遂行に伴い生じる結果や報酬に対する価値・魅力の程度のこと


この式、モデルをより詳細化したのがPorterとLawlerの期待理論です。
下の図にまとめましたので、それに合わせて検証してみます。
motivation_model


1:「報酬の価値・魅力」と「知覚される(努力→報酬)確率」の大きさにより努力量が決まる
報酬が非常に魅力的であること、そして努力を注げばそれが獲得できる確率が高そうだとなれば努力量が増える

2:「能力・資質」や「必要なタスクの認識」により、達成される成果の大きさが決まる
能力・資質が高ければより高い成果が出るのはイメージしやすいと思いますが、必要なタスクの認識も成果に影響を与えます。
つまり、タスク認識が誤っていて、努力の方向性が間違ってしまうと成果も小さくなってしまうということです。

3:成果は内的報酬と外的報酬に分けられる
内的報酬:達成感や自尊心等自らが感じるもの
外的報酬:金銭や昇進など他者から与えられるもの
※図の外的報酬が点線なのは、成果と完全な関係性がないため(業績悪化でボーナスがなかった等)

4:成果の大きさや満足度は、成果に対する報酬の公平性に影響を受ける
報酬の大きさや満足度は公平性に影響される。
組織に大きく貢献する業務を達成しても公平に評価されず報酬が小さくなると、当然のことながら満足度も低くなる。

5:報酬への満足度が次の行動へのモチベーションに影響する

古典的なモチベーション理論ですが、個人的にはまだ詳細に記載できそうだと感じました。
例えば、自分自身がどのような時にモチベーションが高まるのかを考えた時、ざっと以下のような要因が思いつきます。
・周りから期待されている
・仕事の意味や意義を認知している(やりがいと感じている)
・仕事自体が楽しいと思える
・周りとの人間関係が良好
・その仕事が未来に繋がっていると思える
・追い込まれた時(これを逃すと次はない)

これが作成されたのが1960年台なので、モチベーションというのもが単純な要素で構成されていたのかもしれませんが、今では環境や人の心理に与える要因なども複雑化されていると思うので、アップデートが必要なのかなとも思いました。