「大学教育が学生にどのような影響を与えているか」という研究をカレッジ・インパクト研究と言います。
今回は、そのカレッジ・インパクト研究の中で代表的な『I-E-Oモデル』についてご紹介します。
このモデルは、Astin, A.W.が1993年に上梓した"Assessment for Excellence"にて紹介されました。


理論としてはすごくシンプルで、以下の3つの要素の関係性を分析することで、どのような環境要因が学生の成果に結びつくのかを確認するというものです。
IEOmodel
・Inputs(既得情報):高校時代の学力、性別、家庭背景等
・Outputs(成果):成績、能力、キャリア等
・Environment(環境):授業や様々な経験等

よくある例として、授業前にアセスメントを行い(pre-test)、授業を実施した後、再度同じアセスメントを行う(post-test)ことで、授業がどの程度学生の成果に影響を与えたのかを確認するというものがあります。
この際、Inputsがポイントで、事前にpre-testで評価項目の水準を統制することが重要だと言われています。成果だけ見ても、スタート位置がどこか分かっていないと、どの程度成長したかが分からないですからね。
また、成果としての評価項目も多数あります。
大きくは、認知面と情緒面に分けられますが、認知面も内面的・行動的に分けられ、ざっと見るだけでもこれらの項目があります。

【内面的認知】
・教科別知識
・学修能力
・批判的思考力
・基礎学修技術
・学習達成度 等

【行動的認知】
・リーダーシップ
・市民性
・人間関係構築 等

【情緒】
・価値観
・興味
・満足度
・態度や信念 等

大学の授業アセスメントとして、教科別知識(どれだけ知識を詰め込めたか)と授業への満足度はよく見ますが、それ以外にも見るべき学生の成果はたくさんあります。
教員は学生の何を育成するのか(成果)という点を事前に明確にしておかなければいけないということです。
そして狙った成果を出すためには、どのような環境(授業)を学生に提供すべきなのかをひたすらに考え設計する。
その環境がどれほど効果的だったかは、InputとOutput(pre-post テスト結果)を見て分析し、様々な環境要素を改善していく。
こうのような継続的な取組により、環境(授業等)が改善され、学生の成果(成長)が増大していく。
そのための大きな枠組みがI-E-Oモデルで示されている、というイメージです。

また、大学教育がどの程度学生の成果に影響を与えたのかを考察する際、いつ測定するのかということも重要なポイントとなります。 
入学前の高校時代の成績、授業前、授業後、1年〜4年間の各年、卒業して数年後等々様々なタイミングがありますが、いつ計測するのか。
間隔が空きすぎてしまっては精緻なデータになりませんし、逆にパルスサーベイのように間隔を詰めすぎると学生からウザがられてしまうので、絶妙な塩梅が必要となります。

「視える化することで改善できる」
教育効果の可視化は、教育の質保証やIRの面でも重要と言われてきています。
そんな大学教育の視える化の基盤として、I-E-Oモデルは押さえておくと良いかもしれません。
自分の授業ももっとEvidence-basedな形で改善していきたいなぁ。