PBL授業により社会人基礎力を高めることを狙った授業についての以下の論文についてレビューします。
論文はこちら(被引用数:20件 (2024年2月5日時点))
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藤井文武 & 平尾元彦. (2010). 社会人基礎力を高める授業の実践: 産学連携 PBL 授業 「アクティブラーニング」 の取組. 大学教育, 7, 23-34.
【概要】
【概要】
・山口県内7社の協力を得て実施した、社会人基礎力の育成を目指した産学連携PBL授業「アクティブラーニング」についての考察である。
【意義】
・近年、産学連携のインターンシップ・コーオプ教育や、PBL(Project-based Leraning)が注目されている。
・社会人基礎力は座学ではなかなか伝えられないため、社会人との共同作業の中でそれらを育むことが必要であり、当授業はその点を意識して設計されている。
【対象者】
・山口大学の学生(1〜4年生)
・山口大学の学生(1〜4年生)
・学部学年が混在する4〜5名の計8チーム(1年+2〜4数名)に分かれた
・履修者の8割が入学したばかりの1年生
【方法】
・企業インタビューを通じた「読者にキャリアに関する思考を促すホームページの作成」を課題として各チームに与え、学生はその課題に取り組んだ。
【結果】
・全てのチームがHPを作成し、最終発表会では全協力企業の担当者が見守るなかで、立派に発表した。
・社会人基礎力の平均値はいずれも向上した。
・「事前→事中」よりも「事中→事後」の方が圧倒的に点数が伸びていた。
【結論】
・産学連携によるPBL授業は、社会人基礎力の向上に寄与する可能性が示唆された
・特に、規律性、働きかけ力、発信力、創造力の上昇幅が大きかった
【メモ】
『ある種の「ダメ出し」が学生の主体性向上に極めて有効であった』 とあり、授業の途中で、学生の到達イメージが教員や企業が求めているレベルと異なっていることを真剣に伝えることは効果があるのだと感じました。それは、「事前→事中」よりも「事中→事後」の方が点数が向上している点にも現れています。
喝を入れることは効果的である一方、「ダメ出し」フィードバックは学生の状況をよく見た上で実施しなければ、逆効果になってしまうこともあり得そうなので注意が必要だとも感じました。
また、企業の課題として
「どこまで導いてよいか線引きが難しかった」「時間の制約が大きかった」
という点を挙げられていたが、これも自身の授業で同じようなことを経験しています。
事前に、企業担当者と何をどのくらいのレベルで求めているのかを明確に擦り合わせる必要があります。
という点を挙げられていたが、これも自身の授業で同じようなことを経験しています。
事前に、企業担当者と何をどのくらいのレベルで求めているのかを明確に擦り合わせる必要があります。
毎年、企業-学生、企業間の意識のズレによりプロジェクトが暗礁に乗り上げるケースに直面しています。。
ただ、いずれにしても、産学連携によるPBLは社会人基礎力の向上に寄与していそうという点は大きな励みになりました。
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