キャリア理論について調べていると、
プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術
にとても良いまとめがあったので、引用しつつ考察します。
まず、書籍のp.38にあった図に、書籍内の解説を加筆してまとめました。
career_theory_history



社会構造アプローチ(1980年代〜)

社会階層や構造が職業の決定に大きな影響を及ぼす。
高い階層の人々は専門性を高め専門職に就き、低い階層は専門性を必要としない肉体労働等を選択しやすい。
このような社会構造により人々の行動、キャリアは規定されやすいとするアプローチのこと。

個人特性アプローチ(1920年代〜)

社会構造を基盤にしつつ、職業選択に関する意思決定プロセスに重きを置いたアプローチ。
心理学が用いられるようになり、パーソナリティ特性と職務特性とのマッチングに焦点を当てていった。

キャリアステージアプローチ(1950年代〜)

社会構造・個人特性アプローチに時間軸を導入。
ビジネスパーソンのキャリアは、いくつかのステージから形成されるという考え方を採用している。
※”働く”ことを前提としたアプローチ

ライフサイクルアプローチ(1970年代〜)

キャリアを「働く」から「人生そのもの」という視点で捉え直したアプローチ。
心理学者エリクソン教授の発達段階説を用いて、人生全体の発達段階の中でキャリアを分析。
【発達段階説】
乳児期(0〜1歳半)
幼児前期(1歳半~4歳)
幼児後期(4歳~6歳)
学童期(6歳~12歳)
青年期(12歳~20歳)
成人期(20〜40歳)
壮年期(40〜65歳)
老年期(65歳〜)

その後、ドナルド・スーパー教授がキャリア発達理論の14の命題としてまとめる。
田中先生はその中で、10と13番目がカギになると述べられています。
⑩「キャリア発達のプロセスは、本質的には職業的自己概念を発達・実現するプロセスである」
⑬「人々が仕事から到達する満足の度合いは、自己概念を実行することができた程度に比例する」

バウンダリレスアプローチ(1990年代〜) 

組織内キャリアを前提としたそれまでのキャリア論に「境界(バウンダリ)」を取り入れる。
他企業への転職や副業など、組織を超えたキャリアモデルを捉えている。

プロティアンキャリアアプローチ(1970年代〜)

プロティアン・キャリアは、「社会や環境の変化に応じて柔軟に変わることのできる変幻自在なキャリア」のこと。
1976年に米ボストン大学経営大学院のダグラス・ホール教授が提唱。 
「プロティアン・キャリアは組織の中で個人にもたらされるものではなく、個人が自己充足のために選択し、探究するもの」と意義づけている。 
※PROTEAN(プロティアン)には「変化し続ける」「変幻自在な」「一人数役を演じる」という意味がある。


ここまで。
キャリア理論も、社会構造の変化とともに変わってきていることが整理して理解できました。
リーダーシップの理論の変遷と照らし合わせてみると、社会組織構造に適合するような研究から徐々に個人の内面・価値観に焦点が当たるようになってきている点などは重なるものがあるように感じました。
自分が学生の頃を思い返すと、「バウンダリレスアプローチ」以前の考え方しか頭になかったように思います。
つまり「大企業に就職するのが是」 「転職は稀で1つの組織でいかに働くか」といった価値観の中で就職活動をしていたように思います。
しかし、今は、終身雇用が限界を迎え、個としてバウンダリレスにキャリアを考えなければいけない時代。
学校においても、これらの背景を抑えたキャリア教育が必要だろうなと改めて感じました。
このキャリア理論の変遷はしっかり頭に入れておきたいですね。