人も組織も時間とともに老化します。
悲しいかな、これは自然の摂理。どんな人・組織にも順当に表れる現象です。
参考にするのは、Katz(1982)のR&Dプロジェクト・グループのコミュニケーション行動とグループの成果についての研究。
こちらによると、コミュニケーション活動には、以下の3種類があり、
・Intraproject Communication(プロジェクト内のコミュニケーション)
・Organizational Communication(プロジェクト間のコミュニケーション)
・External Professional Communication(外部専門家とのコミュニケーション)
これらとProject Performance(プロジェクト成果) がグループ持続性(年数)に応じてどのように変化するのかを明らかにしています。
group_longeviy
Figure 2. Standardized Performance and Communication Means By Group Longevity
Katz(1982) p.46より引用

結果は、チーム結成から約3年半以降、コミュニケーション行動の低下とともにプロジェクト成果も低下しています。
このことから、Katzは、
「グループ持続性は、コミュニケーション活動を媒介変数として、プロジェクト成果に影響する」
と述べています。
この研究は組織の老いの1側面を表していると思います。 

人はだいたい30代前後から老いが始まると言われていますが、組織は3年。。
様々なコミュニケーションが低下していき、 あっという間に老化が始まってしまいます。
しかし、老いに抗うこともできます。
ということで、「どうすれば組織の老いを防ぐことができるのか」という点で考えてみます。

組織の老いの原因は、人・情報・思考・行動の「変化がなくなること」で起こると言われています。
安定は良い意味もありますが、安定しきって固定化されると、弊害が生じるということです。
これを防ぐためには、以下のような取り組みが効果的だと言われています。
・人の流動性を上げる(採用・ジョブローテーション等)
・コミュニケーション範囲を広げる(コミュニケーションルートを固定化させない等)
・新しい情報に触れる(勉強会、組織外の人との交流といった越境学習等)
・新しい仕事に挑戦する(新規プロジェクト等)

人も組織も足を止めてしまうと老化が始まります。
脳も筋肉も、適度な刺激を与えることでアンチエイジング効果があるように、
組織も「安定しきらない」よう、常に少し揺れているくらいがちょうど良いのでしょう。
自分自身もそうですが、組織も老化しないように、常に意識していたいものです。

参考文献
Katz, R. (1982). The effects of group longevity on project communication and performance. Administrative science quarterly, 81-104.