エドビジョン型PBLで使用されるプロジェクト企画書について考察してみます。
PBLにおいて企画書は、ポロジェクトの全体像が示された重要な役割を担っています。
今回は、「エドビジョンセミナー2005」で紹介されたミネソタ・ニューカントリースクール(MNCS: Minnesota New Country Schoool)で使用されたものを参考に見ていきます。
EdvisionPBL_proposal_form

いくつかのポイントをピックアップして見てみます。

I. ブレーンストーミング

まず、ブレストから始まるのが面白い点ですね。
イメージを広げた後に、プロジェクトテーマを設定するような流れになっています。
ウェビングやアウトラインのデザインを添付するのも、
発散してから収束し、テーマに辿り着いたプロセスが視えるので良いアイデアだと思います。

Ⅲ. このプロジェクトをあなたの学校外の生活にどのように役立てますか

このプロジェクトは地域やあなたの周りの世界にとってどんな重要性がありますか
これは、学校と社会をより強く接続するための問いです。
子ども達は、どのようにして自身の興味関心を社会貢献に繋げるを考えることができます。

Ⅳ. 使うだろうと思われる情報源を最低3種類あげなさい。そのうち少なくとも一つは、(実在の人物としての)地域の専門家あるいはプレゼンテーションのための主要な情報でなければなりません 

ここでのポイントは、実在する人物とのコンタクトです。
これにより本やネットからの調査では得られないコミュニケーション能力を育む機会が得られます。 
また、このようなリアルな調査は、社会を理解していく機会にもなり得えるでしょう。

Ⅵ. プロジェクトの計画単位数

プロジェクトを遂行することで、どの単位が取得できるのかについても記載します。
科目学習の「学力」とはここで結びついているわけです。
ちなみに日本PBL研究所のログブックでは、ここのポイントは以下のように表現されています。
「教科とのつながりを考えよう:教科で習ったことがどのように使えるか見通しを立てましょう」
学んだ知識をいかにして社会で活用するかという重要な視点ですね。

Ⅸ. 終了の承認 保護者、スーパーバイザー、アドバイザー、プロジェクト計画グループ、生徒

学外の人たちも含め、多くの人に承認を得ていくプロセスは、
「多くの人に支えられながら進めると良よい」というメッセージでもあります。
加えて、多くの方からの承認は、内発的モチベーションや自己効力感の向上にも繋がりそうです。 

このプロジェクト企画書には、生徒が自律的に学習することを促進させるPBLの重要なエッセンスが散りばめられていることがわかります。
今後、PBLや探求学習の企画書をデザインする際には、是非参考にしようと思います。

【ログブックの項目(日本PBL研究所)】(上杉, 2010, p.48-49)
①テーマを決めよう
②プロジェクトてのアウトラインを考えよう(ここに直接書くか、別の紙に書いて貼ろう)
③ゴールを決めよう(活動のめあてになるような具体的なものにするとよいでしょう)
④プロジェクトの意義を考えよう(自分にとって、周りの人や社会の人にとってどんな役に立ちますか)
⑤疑問に思うこと、調べる必要があることを書き出そう(思いつくままにどんどん書き出そう)
⑥実在する人物から入手する情報の内容と種類を考えよう(インタビューやアンケート調査が考えられます)
⑦活動の順序を考えて、プロジェクトの計画を立てよう(活動のために使える時間を考えて予定を立てましょう)
⑧教科とのつながりを考えよう(教科で習ったことがどのように使えるか見通しを立てましょう)
⑨保護者・先生のサインをもらおう (できれば、複数の先生に見てもらってサインをもらいましょう)

【参考文献】
上杉賢士. (2010). プロジェクト・ベース学習の実践ガイド:「総合的な学習」 を支援する教師のスキル. 明治図書出版.