『グループの中に癒しと成長の場をつくる 葛藤を抱える青少年のためのアドベンチャーベースドカウンセリング』で紹介されている『アドベンチャーの「核となる感情」の表』についてまとめます。

これは、人の感情を13種類に整理し、そのポジティブな面(建設的)とネガティブな面(破壊的)についてまとめたものです。
アドベンチャー教育では、ABC(Affect(感情)、Behavior(認知)、Cognition(認知))の3つの相互作用を見ていくのですが、その中のAffect(感情)を扱う際にサポートとなるツールです。
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この表を用いることにより、以下のようなことが期待されます。
・感情についての一覧を明示することで、全ての人が感情を持ち、それらの感情は悪いものではないということを伝えることができる。
・これにより感情について話し合う共通の文脈を持つことができる。
・感情を認知することから、それらの感情の意味、どこからそれがやって来るのか、どう扱えばいいかということについて話すことができる。
等々

具体的な活用例として、「怒りを感じたときには、それを私自身のパワーとして見るように努力しよう」と怒りをどう扱うかを自分で決める、そのためのサポートとしての活用が挙げられていました。
コーチングで言うリフレーミングですね。
自身が感じている感情を認知して、それをどう解釈し、どう対応するか。
感情の一覧を頭に入れておくことで、クライアントへの効果的な働きかけや、自分自身の感情のマネジメントにも役立ちそうです。
ちなみに自分の場合は、マラソンの練習などから「苦痛」は「成長」への変換が割とできていると思いましたが、「怒り」についてはうまく対処できていないと感じました。

ちなみに、上記の表は、「7つの主要な感情」(Demos, 1977)と、「感情の体験」(Mellody, 2002)を参考に作られたそうです。こちらもメモしておきます。

・「7つの主要な感情」(Demos, 1977)
=驚き、恐れ、興味、苦しみ、怒り、喜び、防衛的な反応(軽蔑・嫌悪・恥しさ)

・「感情の体験」(Mellody, 2002)
メロディは、感情の体験を3つのパートに分けた
①感情の現実:実際に生まれた感情の体験
②自分自身の感情の体験
③誘引されたか伝染した感情の体験:養育者が虐待をする中で実際に感じたことを拒否したり、放棄しているとき、その感情は子どもの中に流れ込み、養育者が持つ感情によって苦しめられることになる(Mellody, 1989)


【参考文献】
ジム ショーエル &リチャード S. メイゼル(著), 坂本昭裕(監修), プロジェクトアドベンチャージャパン(翻訳) 『グループの中に癒しと成長の場をつくる 葛藤を抱える青少年のためのアドベンチャーベースドカウンセリング』みくに出版
Demos, E. Virginia, ed., Exploring Affect: The Selected Writtings of Sylvan S. Tompkins (New York: Cambridge University Press, 1977)
Mellody, P. (2002). Facing Codependence: What It Is, Where It Comes From, How It Sabotages Lives.