社会で必要とされるスキルや能力は時代とともに変化しています。
昨今、21世紀に必要なスキルは、21st Century Skills(21世紀型スキル)などと表現されています。
求められるスキルが変化してきているのだから、それに合わせて教育も変化していかなければいけません。
このような背景の中、21世紀に必要なスキルを高める教育手法として注目を浴びているのがPBL(Project-based Learning)です。
そんなPBLについての全体像をまとめてくれている論文をレビューします。(約3,500も引用されています)

論文はこちら
Bell, S. (2010). Project-based learning for the 21st century: Skills for the future. The clearing house, 83(2), 39-43.

PBLの簡単な紹介に始まり、これまでのPBLに関する研究、PBLのプロセス、ポイントや効果測定について書かれています。
以前から、
「これからの社会で必要なスキルは何か?」
「どうすればそれらを養うことができるのか?」
ということに興味を持っていたので、この論文も結構ど真ん中な内容でした。
まず、論文で書かれているPBLの教育効果をざっとまとめてみました。
独断と偏見で「非認知スキル」と「認知スキル」に分けて整理しました。

【非認知スキル】
・コラボレーション能力
・クリエイティビティ(創造力)
・批判的スキル
・生産的なコミュニケーション
・他者への敬意
・チームワーク
・テクノロジースキル
・問題解決能力
・交渉力
・モチベーション
・責任感
・自立心
・規律
・管理能力(タスク、時間等)
・自信(自尊心)
・分析力

【認知スキル】
・学力(標準化されたテストの点数)
・トピックに対するより深い理解、より深い学習、より高度な読解

21世紀に必要なスキルは主に非認知スキルに該当するものが中心ですが、
PBLはその非認知スキルの向上に広範囲にポジティブな影響を与えます。
加えて、認知スキル(学力)にもポジティブな影響を与えることが研究で示唆されています。

一方、学習内容が多くのスキル向上に繋がるとしても、生徒が興味を持ち、モチベーション高く取り組まないことには高い学習効果は期待できません。
しかし、PBLはこの点もカバーしています。
PBLが生徒の自発的な学習意欲や興味を引き出すとされています。
これは、「何を探求するか」、「どの能力を伸ばすか」、「どのように探求するか」などを生徒自身が決定するという部分が大きく影響していると思います。(自己決定理論)
加えて、実社会と接続した学び、学校外の聴衆の前でのプレゼンなどもモチベーションを高める要因となっていそうです。(Authentic learning)

21世紀に必要なスキルを育むために効果的なPBL。
引き続き、色々と研究していきたいと思います。

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