多くの生徒の学習意欲を低下させてしまったり、知識が表面的な部分で留まってしまい深い概念的理解ができないという問題を含んでいる既存の学校教育の構造。
そのような課題を解決するために生まれた1つの手法であるPBL(Project-based Laerning)の論文をレビューします。
論文はこちら(被引用数:1,619件 (2023年3月28日時点))
Krajcik, J., and Blumenfeld, P. (2006). Project-based learning. In R. K. Sawyer (Ed.), The Cambridge handbook of the learning sciences (pp. 317-334) New York, NY: Cambridge University Press.
本論文では、PBLの学習環境の特徴、PBLの理論的背景、科学の授業をPBL化(Project-based Science)した7年間の取り組みとそこから得られたPBLの5つの特徴についてまとめられています。
個人的に収穫となった気づきは、ドライビングクエスチョンの作り方について。
PBLを実践しようとする際、「達成すべき科目学習の時間がなくなってしまうのではないか」という問題に直面することは少なくありません。
これについての1つの解としては、PBLを科目学習と切り離すのではなく、科目をPBLで学ぶという設計にすることでクリアできます。
そのためにどのように問い(ドライビングクエスチョン)を設定すれば良いかというヒントが書かれていて、この部分は大変参考になりました。
また、生徒が探求をしやすくするために、どれだけうまく足場がけができるかも教師の力量が試されます。
テーマについての調査方法や、調査したものをいかにして説明するかということについては、教師がモデルを作り適切にサポートしなければ生徒は迷子になってしまう可能性があります。
授業設計だけでなく、ファシリテーション能力もPBL実践者には求められるのだと感じました。
加えて、PBLの理論的背景についても学術的知識の補強として勉強になりました。
【PBLの理論的背景】
1. 能動的知識構成(Active Construction):深い理解は、経験や相互作用に基づいて能動的に意味を構築するときに起こる
2. 状況的学習(Situation Learning):最も効果的な学習は、学習が本物の実世界の文脈の中に位置づけられるときに起こる
3. 社会的相互作用(Social Interaction):教師、生徒、そしてコミュニティのメンバーが、共有された理解構築のため一緒に働く社会的相互作用が働くとき、最高の学習が起こる
4. 認知的道具(Cognitive Tools):認知ツールは、学習者の学習内容を増幅・拡大することができる
【PBLの5つの特徴】
1.ドライビングクエスチョン(Driving Questions)
Lesson1a:ドライビングクエスチョンの価値を実感してもらうために(関連付けさせるアンカリング体験が有効)
Lesson1b:スタンダードとコンテンツの深掘りの比較(国や地区の基準に沿った学習目標)
①生徒が達成すべき全国的な基準を選ぶ
②基準を学習パフォーマンスという観点から書き直す
③学習成果をドライビングクエスチョン、タスク、評価を設計するためのガイドとする
2. 状況に応じた探求 (Situated Inquiry)
Lesson2a:生徒が調査を設計するのを助ける(教師が調査モデルを作り、プロセスを指導し、フィードバックを与えながら、生徒が調査できるよう支援する)
Lesson2b:結論と説明の書き方(調査した内容の説明や結論を作るのを支援する)
①主張:探求している現象についての主張
②証拠:観察、読書、保存データ、生徒が行なった調査など科学的データを用いて主張を裏付ける
③理由:なぜそのデータが主張を裏付ける証拠となるのかを示す
3. コラボレーション(Collaboration)
Lesson3a:Discourse Communityを作る(生徒が共同作業のスキルを身につけるよう手助けする)
4. 学習支援のためのテクノロジーツールの活用 (Using Technology Tools to Support Learning)
Lesson4a:コンピューターへのアクセス不足(アクセスが限られていることは、大きな障害となる)
Lesson4b:テクノロジーツールを使用する際の時間的需要(生徒が知識構築課題を完了するには時間がかかる)
Lesson4c:学習技術をカリキュラム教材に取り入れる(カリキュラムをプロジェクト型に変更する手助け)
5. 作品制作(Creation of Artifacts)
Lesson5a:フィードバックする(共通で一貫したルーブリックを提供する、人数が多い場合は個別ではなくグループフィードバックも有効)
そのような課題を解決するために生まれた1つの手法であるPBL(Project-based Laerning)の論文をレビューします。
論文はこちら(被引用数:1,619件 (2023年3月28日時点))
Krajcik, J., and Blumenfeld, P. (2006). Project-based learning. In R. K. Sawyer (Ed.), The Cambridge handbook of the learning sciences (pp. 317-334) New York, NY: Cambridge University Press.
本論文では、PBLの学習環境の特徴、PBLの理論的背景、科学の授業をPBL化(Project-based Science)した7年間の取り組みとそこから得られたPBLの5つの特徴についてまとめられています。
個人的に収穫となった気づきは、ドライビングクエスチョンの作り方について。
PBLを実践しようとする際、「達成すべき科目学習の時間がなくなってしまうのではないか」という問題に直面することは少なくありません。
これについての1つの解としては、PBLを科目学習と切り離すのではなく、科目をPBLで学ぶという設計にすることでクリアできます。
そのためにどのように問い(ドライビングクエスチョン)を設定すれば良いかというヒントが書かれていて、この部分は大変参考になりました。
また、生徒が探求をしやすくするために、どれだけうまく足場がけができるかも教師の力量が試されます。
テーマについての調査方法や、調査したものをいかにして説明するかということについては、教師がモデルを作り適切にサポートしなければ生徒は迷子になってしまう可能性があります。
授業設計だけでなく、ファシリテーション能力もPBL実践者には求められるのだと感じました。
加えて、PBLの理論的背景についても学術的知識の補強として勉強になりました。
【PBLの理論的背景】
1. 能動的知識構成(Active Construction):深い理解は、経験や相互作用に基づいて能動的に意味を構築するときに起こる
2. 状況的学習(Situation Learning):最も効果的な学習は、学習が本物の実世界の文脈の中に位置づけられるときに起こる
3. 社会的相互作用(Social Interaction):教師、生徒、そしてコミュニティのメンバーが、共有された理解構築のため一緒に働く社会的相互作用が働くとき、最高の学習が起こる
4. 認知的道具(Cognitive Tools):認知ツールは、学習者の学習内容を増幅・拡大することができる
【PBLの5つの特徴】
1.ドライビングクエスチョン(Driving Questions)
Lesson1a:ドライビングクエスチョンの価値を実感してもらうために(関連付けさせるアンカリング体験が有効)
Lesson1b:スタンダードとコンテンツの深掘りの比較(国や地区の基準に沿った学習目標)
①生徒が達成すべき全国的な基準を選ぶ
②基準を学習パフォーマンスという観点から書き直す
③学習成果をドライビングクエスチョン、タスク、評価を設計するためのガイドとする
2. 状況に応じた探求 (Situated Inquiry)
Lesson2a:生徒が調査を設計するのを助ける(教師が調査モデルを作り、プロセスを指導し、フィードバックを与えながら、生徒が調査できるよう支援する)
Lesson2b:結論と説明の書き方(調査した内容の説明や結論を作るのを支援する)
①主張:探求している現象についての主張
②証拠:観察、読書、保存データ、生徒が行なった調査など科学的データを用いて主張を裏付ける
③理由:なぜそのデータが主張を裏付ける証拠となるのかを示す
3. コラボレーション(Collaboration)
Lesson3a:Discourse Communityを作る(生徒が共同作業のスキルを身につけるよう手助けする)
4. 学習支援のためのテクノロジーツールの活用 (Using Technology Tools to Support Learning)
Lesson4a:コンピューターへのアクセス不足(アクセスが限られていることは、大きな障害となる)
Lesson4b:テクノロジーツールを使用する際の時間的需要(生徒が知識構築課題を完了するには時間がかかる)
Lesson4c:学習技術をカリキュラム教材に取り入れる(カリキュラムをプロジェクト型に変更する手助け)
5. 作品制作(Creation of Artifacts)
Lesson5a:フィードバックする(共通で一貫したルーブリックを提供する、人数が多い場合は個別ではなくグループフィードバックも有効)
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