今日は、PBLの特徴や理論的基盤について書かれた論文をレビューします。

論文はこちら(被引用数:859件 (2023年4月10日時点))
Grant, M. M. (2002). Getting a grip on project-based learning: Theory, cases and recommendations. Meridian: A middle school computer technologies journal, 5(1), 83.

こちらの論文では、3つの有名なPBLの事例から、PBLの7つの特徴について以下のようにまとめられています。
(a) 「舞台を整える(set the stage)」または活動の軸となる導入部;
(b) 課題もしくは問い(指導的な問い(guiding question)、or Driving Question)
(c) 1つまたは複数の共有可能な成果物を作成するプロセスまたは調査;
(d) 主題の専門家、教科書、ハイパーテキストリンクなどのリソース;
(e) 学習者の進捗状況を評価するための教師会議、コンピュータを使った質問、プロジェクトのテンプレートなどの足場;
(f) チーム、ピアレビュー、外部のコンテンツスペシャリストなどのコラボレーション。
(g) 教室での報告会、日記、拡張活動など、振り返りと伝達の機会。
ちなみに3つのうちのProject-based Scienceの事例は、先日のこちらのレビューでも紹介されています。

この7つの特徴と照らし合わせて自分のPBLの授業内容を考えてみると、どこが弱いのかが見えてきますね。
これは自分用メモですが、以下の2つを新たに加えていこうと思いました。
・適切なリソース(商品企画・プロモーションの専門知識・情報)の提供
・学生の進捗評価について、企業・行政と定期的に打ち合わせを行う
特にリソースの部分については、WebQuest(図1)の事例が参考になりました。
「自由に調査しなさい」では、何から始めたらよいか困惑してしまうので、
ある程度情報を限定し、「これらのリソースを使って調査しなさい」という形の方が良さそうだと感じました。

また、理論的基盤として、John Deweyの"Learning by doing" の考え方が反映された
構成主義(constructivism)や構築主義(constructionism)の概念の学びも大きな収穫でした。
講義形式で知識を付与するだけでは起きない良質な学びは、実社会での活動を通して起こる。
更にその活動を他者と共に行い、共有し、振り返る活動を通して、深い学びへと繋がっていく。

How toだけでなく、Why(なぜそれが重要なのか)を理解することも重要ですね。

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