これまで読んできたPBLの論文は、学校の中での教育に関するものが中心でしたが、今回は、企業におけるPBLについての論文のレビューです。
論文はこちら(被引用数:508件 (2023年5月4日時点))
Scarbrough, H., Swan, J., Laurent, S., Bresnen, M., Edelman, L., & Newell, S. (2004). Project-based learning and the role of learning boundaries. Organization studies, 25(9), 1579-1600.
PBLの研究は、これまでプロジェクト内で生まれる知識や学習についてのものが中心でした。
本論文では、今まで焦点が当てられてこなかったプロジェクトの内と外に光を当て、プロジェクトの中で得た知識や学習が、その外、すなわち他のプロジェクトや組織にどのような影響を与えるのかについて考察されています。
プロジェクトの内と外を区分する境界を「学習境界(learning boundaries)」と概念化し、その役割についても検討している点が、本論文のユニークな点です。
この学習境界がなかなかに曲者で、学習境界を乗り越えることにより高い学習が生まれるというメリットがある一方、その学習境界自体がPBLの学習を他組織に転移させる際の制約にもなるというデメリットも内包しています。
端的に論文の要点をまとめると、企業におけるPBLの2つのケースを考察しています。
1つは、普段の実践コミュニティに近いメンバーによるPBL。
もう1つは、クロスファンクショナルチームのような、普段の実践コミュニティとは異なるメンバーによるPBL。
前者のケースとしては、Build社のThurstoneプロジェクトが取り上げられていました。
このプロジェクトでは、基本的に自分達が日頃から実施している業務をベースとした分業が中心で、プロジェクト内の知識共有や新たな仕事のやり方の創出などは少なかったと記述されています。
プロジェクトはうまくいったけれども、そのプロジェクトからの学びは大きくはなかったという事例です。
一方、後者のUtility社とConstruction社のRedbyプロジェクトのケースでは、2つの異なる組織が合同で行うプロジェクトで、普段の業務内容は全く異なるメンバーで構成されていました。
業務範囲や責任の所在を線引きするのではなく、共同で最大の価値を創り上げていこうという目標が共有された結果、プロジェクト内に様々な動きが発生します。
プロジェクトメンバーが本社から現場に移り、両チームが自由に議論し、解決策を共同で開発する問題解決型のアプローチに変更され、その結果、チームメンバー間で新たな共有手法が開発され、プロジェクトレベルでの学習が促進されました。
協力的な手段で問題を解決し、プロジェクトのさまざまなフェーズで学びを生かすことができたため、チーム全体で「教訓を得る」活動を展開され、学習効果は高かったと述べられています。
この2つのケースから、以下の3つの学習の条件の視点とともに、PBLの2つモデルを考案されています。
①【知識・学習の実践的な性質】:学習は、特定の組織や制度の文脈に組み込まれた「実践の共同体」の中で生まれる。つまり、実践を共にすることにより、学習が起こる。
②【プロジェクトの自律性】:プロジェクトの自律性は、主流の組織的実践とは異なる実践を行おうとすることである。
③【知識統合】:知識統合が行われることで、学習が促進される。
詳細は、表1,2にまとめられていますが、端的に言うとこんな感じです。
【普段のメンバーで、既存の業務に近いタスクに取り組むPBL】
普段の業務内容が踏襲され、分業をベースに仕事が進められ、そこに新たな仕事の創出やメンバー間の知識統合などは起きにくく、プロジェクト自律性も高くはありません。
普段の業務内容と近い領域でのプロジェクトであることから、学習転移は起きやすい一方、そもそもの学習効果はそれほど高くありません。
【普段の実践コミュニティとは異なるメンバーで新規タスクに取り組むPBL】
職業的・機能的専門性を横断するメンバーで、タスクの新規性・独自性が高いプロジェクトでは、知識境界を克服しようとすることで、プロジェクトの自律性が高くなる。
その結果、知識統合や新たな仕事のやり方などが開発され、プロジェクト内での学習が大きくなる。
しかし、学習効果が高くなる反面、その学びを他組織に転移することは難しいというジレンマがある。
なかなかに興味深い論文でした。
メンバー構成やタスクの新規性・独自性によって、学習境界の高さが変わり、それにより学習効果や学習転移のレベルも変わる。
学校だけでなく、企業においても、PBLを通した人材開発・組織開発がもっと普及してくるかもしれないですね。
---以下、一部引用---
Abstract
本論文は、プロジェクトとその組織的背景との関係に注目し、組織がプロジェクトからどの程度学ぶことができるかを分析することを目的としている。
本論文では、プロジェクトベースの学習の3つの側面、すなわち、学習の実践ベースの性質、プロジェクトの自律性、知識の統合を強調する。
この分析により、プロジェクト内で生み出される学習と、その学習が組織の他の部分に伝達されることとの関係についての多くの命題が生み出される。
特に、プロジェクト内での学習が実践における新たな区分を生み出す際に現れる「学習の境界」を強調している。
これらの命題は、建設プロジェクトに関する2つのケーススタディの比較分析を通じて探求される。
この分析によると、プロジェクトで発生する学習境界は、学習の入れ子構造を反映しており、異なるレベルの学習が互いに代替しあう可能性があることが示唆された。
したがって、ケースにおける学習成果は、組織学習とプロジェクトレベルの学習との相互作用の観点から分析することができる。
本稿では、学習境界は、プロジェクト型学習がもたらす利益をより広い組織で活用しようとする試みに対する重要な制約であると結論付けている。
プロジェクトが生み出す学習についての既存の見解は、両義的なものである。
プロジェクトに関連する学習の可能性を強調する一方で、その可能性を実現することの難しさも強調されている。
プロジェクト内ではかなりの量の学習が行われるかもしれないが(Ayas and Zeniuk 2001)、プロジェクト間(すなわち、あるプロジェクトから別のプロジェクトへ)やプロジェクトとより広い組織間(Prencipe and Tell 2001)でこれを捉え、共有することは困難である場合がある。
このように、組織がプロジェクト型学習から利益を得ることができないことは、「車輪の再発明(re-invent the wheel)」(Prusak 1997)の傾向として説明されてきた。
しかし、この論文では、この学習能力の欠如が、プロジェクトベースの仕事そのものの性質だけでなく、プロジェクトとその組織的背景との関係の結果である程度まで探求するものである。
既存の研究で明らかにされているように、プロジェクトは、主流の組織構造や管理メカニズムの外に位置することが多い(Sahlin-Andersson 2002)。
このことは、プロジェクト内で生み出された知識や学習が、他のプロジェクトや組織へ円滑に、あるいは直接的に伝達されないことを示唆している。
また、プロジェクトで蓄積された学習が組織の知識として同化されるような公式・非公式のメカニズムがほとんど存在しないことも多い(Ekstedt et al. 1999)。
このように、組織の文脈の重要性は、学習の観点から、プロジェクトを組織の他の部分で行われている継続的な活動、規範、慣行との関係という観点から見る必要があることを示唆している。
しかし、既存の研究では、このような組織的要因の重要性は指摘されているものの、分析のレベルはプロジェクトそのものになりがちである(Prencipe and Tell 2001; Lindkvist et al.1998)。
また、プロジェクト内の学習と組織の他の部分における学習との関係に影響を与えるメカニズムについては、比較的注意が払われていない。
本論文では、2つの特徴的なケースの比較から得られた経験的証拠を用いた探索的研究を紹介することで、プロジェクトベースの学習に関する理解におけるこれらのギャップを解決しようとするものである。
ここでは、特に、指定されたプロジェクトチームによって実施されるプロジェクトワークに焦点を当てる。
これまでの定義(Berends et al. 2003)と同様に、ここでは「プロジェクト型学習」という用語を、プロジェクト内での知識の創造と獲得(Ayas and Zeniuk 2001)、およびその後の他のプロジェクトを含む組織の他の部分への知識の移転(DeFillippi and Arthur 1998)の両方を包含するものとして包括的に使用している。
この定義では、プロジェクトが組織の文脈の中で位置づけられ、それゆえ、プロジェクトから、あるいはプロジェクト内で学習するための潜在的な範囲が広いことを認識している。
本研究では、特に、プロジェクト内の学習を促進する条件と、そのような学習を制限したり、組織の他の場所で利用することを困難にしたりする要因に焦点を当てる。
このため、複数の分析レベル(個人、プロジェクト、組織)で学習を探求し、プロジェクトベースの活動だけでなく、そのような活動が展開される組織の文脈も取り上げる、広範なアプローチを採用することにした。
私たちの分析が特に貢献したのは、プロジェクトと他の組織ユニットとの間で学習が伝達される際の境界の役割を検討し、概念化することである。この境界は、本稿では「学習境界(learning boundaries)」と呼ばれる。
本稿の残りの部分は以下のように構成されている。
次のセクションでは、文献の初期レビューを用いて、特に学習プロセスの形成におけるコンテキストの役割に焦点を当て、プロジェクト型学習の命題モデルを開発する。
このレビューでは、プロジェクトで蓄積された知識は、単純に蓄積、捕捉、他のプロジェクトやより広い組織と共有することができないため、プロジェクトから学ぶことは困難であることを示唆している。
この困難は、社会的実践や組織単位での実践の境界的性質と結びついていると考えられる学習境界との関連で具体的に分析される。
学習境界の役割については、大規模なエンジニアリングの設計・開発プロジェクトに携わる建設会社と水処理会社という2つの特徴的なコンテクストにおけるプロジェクト型学習を比較した詳細な実証分析を通じてさらに検討する。
これらのケースは、ほぼ同様の種類のプロジェクトを扱っているにもかかわらず、一方のケースではプロジェクト型学習のエビデンスが比較的少ないのに対し、他方ではそのような学習のエビデンスが顕著であることから選ばれた。
最後に、我々の分析は、あるレベルでの学習が別のレベルでの学習に取って代わるという、学習の入れ子構造の性質という観点から、学習境界の役割を再認識することにつながり、その結果、プロジェクト型学習の範囲と限界に影響を与える。
論文はこちら(被引用数:508件 (2023年5月4日時点))
Scarbrough, H., Swan, J., Laurent, S., Bresnen, M., Edelman, L., & Newell, S. (2004). Project-based learning and the role of learning boundaries. Organization studies, 25(9), 1579-1600.
PBLの研究は、これまでプロジェクト内で生まれる知識や学習についてのものが中心でした。
本論文では、今まで焦点が当てられてこなかったプロジェクトの内と外に光を当て、プロジェクトの中で得た知識や学習が、その外、すなわち他のプロジェクトや組織にどのような影響を与えるのかについて考察されています。
プロジェクトの内と外を区分する境界を「学習境界(learning boundaries)」と概念化し、その役割についても検討している点が、本論文のユニークな点です。
この学習境界がなかなかに曲者で、学習境界を乗り越えることにより高い学習が生まれるというメリットがある一方、その学習境界自体がPBLの学習を他組織に転移させる際の制約にもなるというデメリットも内包しています。
端的に論文の要点をまとめると、企業におけるPBLの2つのケースを考察しています。
1つは、普段の実践コミュニティに近いメンバーによるPBL。
もう1つは、クロスファンクショナルチームのような、普段の実践コミュニティとは異なるメンバーによるPBL。
前者のケースとしては、Build社のThurstoneプロジェクトが取り上げられていました。
このプロジェクトでは、基本的に自分達が日頃から実施している業務をベースとした分業が中心で、プロジェクト内の知識共有や新たな仕事のやり方の創出などは少なかったと記述されています。
プロジェクトはうまくいったけれども、そのプロジェクトからの学びは大きくはなかったという事例です。
一方、後者のUtility社とConstruction社のRedbyプロジェクトのケースでは、2つの異なる組織が合同で行うプロジェクトで、普段の業務内容は全く異なるメンバーで構成されていました。
業務範囲や責任の所在を線引きするのではなく、共同で最大の価値を創り上げていこうという目標が共有された結果、プロジェクト内に様々な動きが発生します。
プロジェクトメンバーが本社から現場に移り、両チームが自由に議論し、解決策を共同で開発する問題解決型のアプローチに変更され、その結果、チームメンバー間で新たな共有手法が開発され、プロジェクトレベルでの学習が促進されました。
協力的な手段で問題を解決し、プロジェクトのさまざまなフェーズで学びを生かすことができたため、チーム全体で「教訓を得る」活動を展開され、学習効果は高かったと述べられています。
この2つのケースから、以下の3つの学習の条件の視点とともに、PBLの2つモデルを考案されています。
①【知識・学習の実践的な性質】:学習は、特定の組織や制度の文脈に組み込まれた「実践の共同体」の中で生まれる。つまり、実践を共にすることにより、学習が起こる。
②【プロジェクトの自律性】:プロジェクトの自律性は、主流の組織的実践とは異なる実践を行おうとすることである。
③【知識統合】:知識統合が行われることで、学習が促進される。
詳細は、表1,2にまとめられていますが、端的に言うとこんな感じです。
【普段のメンバーで、既存の業務に近いタスクに取り組むPBL】
普段の業務内容が踏襲され、分業をベースに仕事が進められ、そこに新たな仕事の創出やメンバー間の知識統合などは起きにくく、プロジェクト自律性も高くはありません。
普段の業務内容と近い領域でのプロジェクトであることから、学習転移は起きやすい一方、そもそもの学習効果はそれほど高くありません。
【普段の実践コミュニティとは異なるメンバーで新規タスクに取り組むPBL】
職業的・機能的専門性を横断するメンバーで、タスクの新規性・独自性が高いプロジェクトでは、知識境界を克服しようとすることで、プロジェクトの自律性が高くなる。
その結果、知識統合や新たな仕事のやり方などが開発され、プロジェクト内での学習が大きくなる。
しかし、学習効果が高くなる反面、その学びを他組織に転移することは難しいというジレンマがある。
なかなかに興味深い論文でした。
メンバー構成やタスクの新規性・独自性によって、学習境界の高さが変わり、それにより学習効果や学習転移のレベルも変わる。
学校だけでなく、企業においても、PBLを通した人材開発・組織開発がもっと普及してくるかもしれないですね。
---以下、一部引用---
Abstract
本論文は、プロジェクトとその組織的背景との関係に注目し、組織がプロジェクトからどの程度学ぶことができるかを分析することを目的としている。
本論文では、プロジェクトベースの学習の3つの側面、すなわち、学習の実践ベースの性質、プロジェクトの自律性、知識の統合を強調する。
この分析により、プロジェクト内で生み出される学習と、その学習が組織の他の部分に伝達されることとの関係についての多くの命題が生み出される。
特に、プロジェクト内での学習が実践における新たな区分を生み出す際に現れる「学習の境界」を強調している。
これらの命題は、建設プロジェクトに関する2つのケーススタディの比較分析を通じて探求される。
この分析によると、プロジェクトで発生する学習境界は、学習の入れ子構造を反映しており、異なるレベルの学習が互いに代替しあう可能性があることが示唆された。
したがって、ケースにおける学習成果は、組織学習とプロジェクトレベルの学習との相互作用の観点から分析することができる。
本稿では、学習境界は、プロジェクト型学習がもたらす利益をより広い組織で活用しようとする試みに対する重要な制約であると結論付けている。
プロジェクトが生み出す学習についての既存の見解は、両義的なものである。
プロジェクトに関連する学習の可能性を強調する一方で、その可能性を実現することの難しさも強調されている。
プロジェクト内ではかなりの量の学習が行われるかもしれないが(Ayas and Zeniuk 2001)、プロジェクト間(すなわち、あるプロジェクトから別のプロジェクトへ)やプロジェクトとより広い組織間(Prencipe and Tell 2001)でこれを捉え、共有することは困難である場合がある。
このように、組織がプロジェクト型学習から利益を得ることができないことは、「車輪の再発明(re-invent the wheel)」(Prusak 1997)の傾向として説明されてきた。
しかし、この論文では、この学習能力の欠如が、プロジェクトベースの仕事そのものの性質だけでなく、プロジェクトとその組織的背景との関係の結果である程度まで探求するものである。
既存の研究で明らかにされているように、プロジェクトは、主流の組織構造や管理メカニズムの外に位置することが多い(Sahlin-Andersson 2002)。
このことは、プロジェクト内で生み出された知識や学習が、他のプロジェクトや組織へ円滑に、あるいは直接的に伝達されないことを示唆している。
また、プロジェクトで蓄積された学習が組織の知識として同化されるような公式・非公式のメカニズムがほとんど存在しないことも多い(Ekstedt et al. 1999)。
このように、組織の文脈の重要性は、学習の観点から、プロジェクトを組織の他の部分で行われている継続的な活動、規範、慣行との関係という観点から見る必要があることを示唆している。
しかし、既存の研究では、このような組織的要因の重要性は指摘されているものの、分析のレベルはプロジェクトそのものになりがちである(Prencipe and Tell 2001; Lindkvist et al.1998)。
また、プロジェクト内の学習と組織の他の部分における学習との関係に影響を与えるメカニズムについては、比較的注意が払われていない。
本論文では、2つの特徴的なケースの比較から得られた経験的証拠を用いた探索的研究を紹介することで、プロジェクトベースの学習に関する理解におけるこれらのギャップを解決しようとするものである。
ここでは、特に、指定されたプロジェクトチームによって実施されるプロジェクトワークに焦点を当てる。
これまでの定義(Berends et al. 2003)と同様に、ここでは「プロジェクト型学習」という用語を、プロジェクト内での知識の創造と獲得(Ayas and Zeniuk 2001)、およびその後の他のプロジェクトを含む組織の他の部分への知識の移転(DeFillippi and Arthur 1998)の両方を包含するものとして包括的に使用している。
この定義では、プロジェクトが組織の文脈の中で位置づけられ、それゆえ、プロジェクトから、あるいはプロジェクト内で学習するための潜在的な範囲が広いことを認識している。
本研究では、特に、プロジェクト内の学習を促進する条件と、そのような学習を制限したり、組織の他の場所で利用することを困難にしたりする要因に焦点を当てる。
このため、複数の分析レベル(個人、プロジェクト、組織)で学習を探求し、プロジェクトベースの活動だけでなく、そのような活動が展開される組織の文脈も取り上げる、広範なアプローチを採用することにした。
私たちの分析が特に貢献したのは、プロジェクトと他の組織ユニットとの間で学習が伝達される際の境界の役割を検討し、概念化することである。この境界は、本稿では「学習境界(learning boundaries)」と呼ばれる。
本稿の残りの部分は以下のように構成されている。
次のセクションでは、文献の初期レビューを用いて、特に学習プロセスの形成におけるコンテキストの役割に焦点を当て、プロジェクト型学習の命題モデルを開発する。
このレビューでは、プロジェクトで蓄積された知識は、単純に蓄積、捕捉、他のプロジェクトやより広い組織と共有することができないため、プロジェクトから学ぶことは困難であることを示唆している。
この困難は、社会的実践や組織単位での実践の境界的性質と結びついていると考えられる学習境界との関連で具体的に分析される。
学習境界の役割については、大規模なエンジニアリングの設計・開発プロジェクトに携わる建設会社と水処理会社という2つの特徴的なコンテクストにおけるプロジェクト型学習を比較した詳細な実証分析を通じてさらに検討する。
これらのケースは、ほぼ同様の種類のプロジェクトを扱っているにもかかわらず、一方のケースではプロジェクト型学習のエビデンスが比較的少ないのに対し、他方ではそのような学習のエビデンスが顕著であることから選ばれた。
最後に、我々の分析は、あるレベルでの学習が別のレベルでの学習に取って代わるという、学習の入れ子構造の性質という観点から、学習境界の役割を再認識することにつながり、その結果、プロジェクト型学習の範囲と限界に影響を与える。
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