今回は、学習障害を持つ生徒に対するプロジェクト学習(PBL)の効果について調査した論文をレビューします。
前回読んだPBLのレビュー論文で、「PBLは勉強が苦手な生徒により高い効果がある」という考察があり、そこから興味を持ち、読んでみようと思いました。
学習障害のある小学生に関するプロジェクト学習に関する研究は少ないとのことですので、結構貴重かもしれません。
論文はこちら(被引用数:215件 (2023年7月10日時点))
Filippatou, D., & Kaldi, S. (2010). The Effectiveness of Project-Based Learning on Pupils with Learning Difficulties Regarding Academic Performance, Group Work and Motivation. International journal of special education, 25(1), 17-26.
研究の舞台は、ギリシャの小学校4年生、学習困難な生徒がいる6つの教室(学習能力が混在する94人)です。
8週間の海洋動物に関するPBLを実施し、学習困難な生徒の学業成績、自己効力感や課題価値に対する態度、グループワーク(グループ内での受容と学習プロセスへの生徒の関与)等についての変化を分析しています。
授業内容は、一次情報源(現場視察、体験、専門家による授業参観)や二次情報源(書籍、リーフレット、写真、DVD)の学習や情報検索、ゲームによる学習などが含まれているだけでなく、環境学習、言語、地方地理、国土地理など、教科横断的なコンテンツとして設計されています。
そして、8週間の授業後、定量・定性両面から分析を実施。
まず、知識テストにおいては、学習困難な生徒が有意に高い得点を獲得し、7つのテーマ単元すべてについて知識を深めたことが示されています。
前回読んだPBLのレビュー論文で、「PBLは勉強が苦手な生徒により高い効果がある」という考察があり、そこから興味を持ち、読んでみようと思いました。
学習障害のある小学生に関するプロジェクト学習に関する研究は少ないとのことですので、結構貴重かもしれません。
論文はこちら(被引用数:215件 (2023年7月10日時点))
Filippatou, D., & Kaldi, S. (2010). The Effectiveness of Project-Based Learning on Pupils with Learning Difficulties Regarding Academic Performance, Group Work and Motivation. International journal of special education, 25(1), 17-26.
研究の舞台は、ギリシャの小学校4年生、学習困難な生徒がいる6つの教室(学習能力が混在する94人)です。
8週間の海洋動物に関するPBLを実施し、学習困難な生徒の学業成績、自己効力感や課題価値に対する態度、グループワーク(グループ内での受容と学習プロセスへの生徒の関与)等についての変化を分析しています。
授業内容は、一次情報源(現場視察、体験、専門家による授業参観)や二次情報源(書籍、リーフレット、写真、DVD)の学習や情報検索、ゲームによる学習などが含まれているだけでなく、環境学習、言語、地方地理、国土地理など、教科横断的なコンテンツとして設計されています。
そして、8週間の授業後、定量・定性両面から分析を実施。
まず、知識テストにおいては、学習困難な生徒が有意に高い得点を獲得し、7つのテーマ単元すべてについて知識を深めたことが示されています。
加えて、自己効力感、課題の価値、グループワークに対する態度、グループ内での受容、学習プロセスへの参加に関しても改善が見られました。
また、インタビューによる質的分析からは、すべての生徒が、プロジェクト学習はより良く学び、多くの情報を獲得するのに役立ったと述べ、従来の教育方法(直接指導、教師の話、自分の教科書で勉強する)と比べて、PBLは面白く、やる気を起こさせるものであった、との感想が確認されています。
このように、学習障害を持つ生徒にとってもPBLは、学業成績、動機づけ、協同学習、社会的受容、学習プロセスへの関与など様々な面で効果があることが示唆されています。やっぱりよく設計されたPBLの効果は非常に良さそうです。
ただし、いくつか注意しなければいけない点についても気付かされました。
例えば、以下のような点。
・生徒の理解度に合わせた緻密な授業設計:難しすぎず易し過ぎず、適切な学習目標・内容を
・基礎学習の土台は必要:基本的なスキルを身につけさせるために、個別指導を行う
・グループ活動の目的や意味の打ち込み:互いの学習を助け合い、支え合う必要性を理解できるようになるため、協力的に活動するよう指導する必要がある
※競争が重んじられる学級文化では、生徒は協力的より自身の能力の誇示を優先する傾向があることがこちらの論文で書かれていました。
PBLを取り入れることで、学業が苦手な生徒の興味を喚起し、能動的な学習態度を引き出し、ひいては学力の向上に繋がる可能性は大いにありそうです。
また、インタビューによる質的分析からは、すべての生徒が、プロジェクト学習はより良く学び、多くの情報を獲得するのに役立ったと述べ、従来の教育方法(直接指導、教師の話、自分の教科書で勉強する)と比べて、PBLは面白く、やる気を起こさせるものであった、との感想が確認されています。
このように、学習障害を持つ生徒にとってもPBLは、学業成績、動機づけ、協同学習、社会的受容、学習プロセスへの関与など様々な面で効果があることが示唆されています。やっぱりよく設計されたPBLの効果は非常に良さそうです。
ただし、いくつか注意しなければいけない点についても気付かされました。
例えば、以下のような点。
・生徒の理解度に合わせた緻密な授業設計:難しすぎず易し過ぎず、適切な学習目標・内容を
・基礎学習の土台は必要:基本的なスキルを身につけさせるために、個別指導を行う
・グループ活動の目的や意味の打ち込み:互いの学習を助け合い、支え合う必要性を理解できるようになるため、協力的に活動するよう指導する必要がある
※競争が重んじられる学級文化では、生徒は協力的より自身の能力の誇示を優先する傾向があることがこちらの論文で書かれていました。
PBLを取り入れることで、学業が苦手な生徒の興味を喚起し、能動的な学習態度を引き出し、ひいては学力の向上に繋がる可能性は大いにありそうです。
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