昨日に続き、『人材開発・組織開発コンサルティング』の第2章をまとめます。
第2章では、まず「課題解決」とは何かについて述べられ、 続いて、人材開発・組織開発コンサルティングの課題解決のためには、「科学知」と「臨床知」を組み合わせて実践すること、について述べられています。
課題の構造の解説のところでは、2つの点で人材開発・組織開発の難しさを感じました。
1つ目は、実世界における問題解決では、常に理想(ゴール)や課題が、その時々の時勢や状況に応じて、「動いている(Moving)」ということから来る難しさです。
なんなら、ヒアリングして課題の分析をしている最中に、状況が変わっているなんてこともあり得ます。
(※実際に、大学院の授業でもPJが進む中で状況が変わっていたことがありました)
理想や課題、状況は変化する可能性があるということを常に念頭に置き、アップデートしながら打ち手も考えていくといことを忘れてはいけませんね。
2つ目は、人や組織に関わる問題は、不良定義問題(現状と理想などが不明瞭で明確に定義できない問題)が少なくないということ。
曖昧な問題だからこそ、クライアントとの認識を丁寧に合わせることが重要なのだと思います。
コンサルタントとクライアントの間で共有している課題の「解像度」の高さが解決策の効果に影響してくるので、「動いている」「不良定義問題が多い」という2点を押さえながら、認識を合わせるようにしたいと思います。
また、人材開発・組織開発コンサルティングとは、「科学知」と「臨床知」を両手に持ち、科学と現場を往還する「アカデミック・プラクティショナー」であるという点について。
これは大学院の授業でも学び、意識はしていたいのですが、「なぜ両利きである必要があるのか」という理由の部分を本書のおかげでより理解することができました。
課題解決のために、先人の知恵(科学知:原理・原則・理論)を借りない手はありません。
しかし、科学知は魔法の杖ではなく、それだけで全ての課題が解決できるわけではありません。
実際、神戸大学名誉教授の金井先生によると、「組織では、非合理が7、合理が3くらい」と述べられているようです。
つまり、「科学知」で説明できるのは3割ほどで、残りの7割は、クライアントとともに探索していくしかない、と本書で語られています。
クライアントと関係構築し、現場の人から情報収集し、科学知からのヒントを現場に合う形にアレンジし、実際に届ける、等々、この辺りは「臨床知」の力が必要となります。
アカデミック・プラクティショナーを目指して、「科学知」と「臨床知」の両方をもっともっと磨いていかないといけないと感じました。

以下、メモ
・現状(As is):今ここ、の(組織・職場の)状態
・理想(To be):現状から出発して、あなた自身、あなたのチームや職場が目指す状態
・問題(Problem/Problem Space):現状と理想のギャップ
・課題:現実と理想の間のギャップ(問題)を生み出してしまう要因(原因)であり、問題をなくすために、わたしたちが注目しなければならないポイント
【効果的な課題解決】
・課題も解決策もMECEにすべて並べる
・以下の3つを考慮して、「レバレッジ」できるものを選択
①実現可能性(解決策の実現可能性):着手しやすいか
②コスト・投資・時間:どれだけリソースがかかるか
③解決策によって期待される効果:問題空間を縮められるか
(2)実世界における課題解決
・実世界における問題解決では、常に理想(ゴール)や課題が、その時々の時勢や状況に応じて、「動いている(Moving)」
・コンサルタントとクライアントの間で、課題に対する共通認識の「解像度」を高く維持できていればいるほど、解決策の効果的な実施が可能
・人や組織に関わる問題は、不良定義問題が少なくない
・良定義問題(Well-Structured Problem):明確に定義できる問題
・不良定義問題(Ill-Structed Problem):現状と理想などが不明瞭で明確に定義できない問題
重要ポイント
①クライアントという「宛先」に、最もフィットした実践を提案し、受け取ってもらって、はじめて人材開発・組織開発の実践は価値を持つ
②コンサルタントが孤独に行いうるものではなく、コンサルタントがクライアントに寄り添い、クライアントと「ともに」課題解決を行なっていく
・クライアントが自ら解決できる方向に支援する
(2)科学的な知見は「魔法の杖」ではない
・ベース:「科学的な知見(科学知)」に対する信頼
【科学の知は3つの構成原理で成り立つ】(哲学者・中村雄二郎)
①客観主義:主観性を排除し、客観的にありのままに対象を捉えられる
②論理主義:すべての物事や現象は、言語によって表現でき、首尾一貫した説明がつく
③普遍主義:他の場所にも適用することができる
・客観的に見出され、言葉で表現された、あらゆる場面で適用可能な法則が「科学知」の本質
【人と組織の課題を科学知だけで解決することは難しい】
①適用範囲:あるところで得られた人や組織にまつわる知見が、まったく異なる状況にも適応できるとは限らない
②精度:合理的に説明ができて解決可能なのは3割ほど
③わたしを抜いた知から生まれる課題:わたしが、クライアントに、どのように働きかけたらいいのかについては、クライアントと向き合って、コンサルタントが考えるほかない
→科学知を補う「臨床知」が必要
(3)「科学知」と「臨床知」を組み合わせる
【臨床知の3つの特徴】(哲学者・中村雄二郎)
①シンボリズム:物事には立場により多義的な意味と側面があり、一つの言葉で必ずしも言表できるわけではない
②コスモロジー:世界のあらゆる場所は、一つひとつ「特定の場」であり、固有の意味を持っていることを前提
③パフォーマンス:自らが能動的に環境に働きかけ、行為・行動することを通して発揮される知
臨床知とは、他ならぬ「わたし自身」が、個別・具体的で、それぞれ固有の意味を有した人々との出会いを通して、彼らに働きかけつつ、達成されるような、もう一つの「知のあり方」
コンサルタントの役割:「限定された場所において、限定された時間の中で」現場の人々(クライアント)と関わり合いながら、何をするかを決めていくこと
「よい理論ほど実践的なものはない」(クルト・レヴィン)
(4)アカデミック・プラクティショナーというあり方
・高度な科学知に根ざしながら、経営・現場に価値貢献できる実践者
・人と組織に関するアカデミックな「科学知」を持ちながら、実践的な「臨床知」を発揮し、経営と現場にインパクトを与える
「分析」により「現象」の背後に「事実」を発見
複数の「事実」から見出せる共通点から「概念」が
複数の「概念」が集まり「理論」が形成される
理論とは複数の概念が集まって形成される、「世の理(ことわり)を説明するストーリー」
【理論の効用】
①結果を予測することができる
②ある「事実」を説明・解釈する手がかりを得ることができる
③ある現象を「整理」することができる
④仮説を生み出す「母体」になることができる
1. 正解が存在しない
2. 問題に終わりがない
3. 真偽ではなく善悪が問われる
4. 解決策の有効性を検証する決定的な手段がない
5. 解決策は1回しか実行できず、試行錯誤から学べない
6. 計画の範囲や手順をすべて書き出しておくことができない
7. 問題は2つとして同じものがない
8. 目の前の問題は、別の問題の兆候かもしれない
9. 問題をどう説明するかによって、解決の仕方が変わる
10. 間違った解決策は、人々の生活に困難をもたらす
【学際共創研究】(やっかいな問題解決に必要)
1. 多くのステークホルダーが探求のプロセスに関与・参加する
2. 立場を異にする多様な実践を生み出すことが目指され
3. 知りえたことを統合して、実践をともに共創していくこと
4. 探求を続けることこそにも意義を認められる研究
・「人・組織の課題」とは、限りなく「やっかいな問題」に近い
・解決のためには、実践と科学(探求・研究)が連動することが重要
・課題解決では、まず、人や組織の「現状(As is)」と「理想(To be)」を明確にする。そして、現状と理想の「ギャップ=問題(Problem)」を生んでいる「要因=課題」とそれに対する「解決策」を整理する。そのうえで、効果と実現可能性の高いアプローチを見定め、実践する
・ただし、「実世界(シャバ)」の課題解決においては、「現状(As is)」や「理想(To be)」が明確でなかったり、いつの間にか変わっていたりすることも多く、たいてい、教科書どおりには進まない
2.人と組織のコンサルティングとは?
・人材開発・組織開発コンサルティングは、人材開発・組織開発の科学知と実践知を活かしながら、クライアント組織が抱える人材開発・組織開発の解決を「支援する」営みである。コンサルタントはクライアントに寄り添い、クライアントと「ともに」課題解決を行う
・人材開発・組織開発コンサルタントには、「科学知(原理・原則)」を踏まえながら、現場の人々と出会い、話し合い、その現場に最もフィットする課題解決を行うための「臨床知」の発揮が求められる
・人材開発・組織開発コンサルティングとは、片手には「科学知」を、もう一方の手には「臨床知」を持って、科学と現場を往還する「アカデミック・プラクティショナー」というあり方にほかならない
第2章では、まず「課題解決」とは何かについて述べられ、 続いて、人材開発・組織開発コンサルティングの課題解決のためには、「科学知」と「臨床知」を組み合わせて実践すること、について述べられています。
課題の構造の解説のところでは、2つの点で人材開発・組織開発の難しさを感じました。
1つ目は、実世界における問題解決では、常に理想(ゴール)や課題が、その時々の時勢や状況に応じて、「動いている(Moving)」ということから来る難しさです。
なんなら、ヒアリングして課題の分析をしている最中に、状況が変わっているなんてこともあり得ます。
(※実際に、大学院の授業でもPJが進む中で状況が変わっていたことがありました)
理想や課題、状況は変化する可能性があるということを常に念頭に置き、アップデートしながら打ち手も考えていくといことを忘れてはいけませんね。
2つ目は、人や組織に関わる問題は、不良定義問題(現状と理想などが不明瞭で明確に定義できない問題)が少なくないということ。
曖昧な問題だからこそ、クライアントとの認識を丁寧に合わせることが重要なのだと思います。
コンサルタントとクライアントの間で共有している課題の「解像度」の高さが解決策の効果に影響してくるので、「動いている」「不良定義問題が多い」という2点を押さえながら、認識を合わせるようにしたいと思います。
また、人材開発・組織開発コンサルティングとは、「科学知」と「臨床知」を両手に持ち、科学と現場を往還する「アカデミック・プラクティショナー」であるという点について。
これは大学院の授業でも学び、意識はしていたいのですが、「なぜ両利きである必要があるのか」という理由の部分を本書のおかげでより理解することができました。
課題解決のために、先人の知恵(科学知:原理・原則・理論)を借りない手はありません。
しかし、科学知は魔法の杖ではなく、それだけで全ての課題が解決できるわけではありません。
実際、神戸大学名誉教授の金井先生によると、「組織では、非合理が7、合理が3くらい」と述べられているようです。
つまり、「科学知」で説明できるのは3割ほどで、残りの7割は、クライアントとともに探索していくしかない、と本書で語られています。
クライアントと関係構築し、現場の人から情報収集し、科学知からのヒントを現場に合う形にアレンジし、実際に届ける、等々、この辺りは「臨床知」の力が必要となります。
アカデミック・プラクティショナーを目指して、「科学知」と「臨床知」の両方をもっともっと磨いていかないといけないと感じました。

以下、メモ
第2章:人と組織の課題解決
1.そもそも「課題解決」とは何か?
(1)課題解決の基本的な考え方・現状(As is):今ここ、の(組織・職場の)状態
・理想(To be):現状から出発して、あなた自身、あなたのチームや職場が目指す状態
・問題(Problem/Problem Space):現状と理想のギャップ
・課題:現実と理想の間のギャップ(問題)を生み出してしまう要因(原因)であり、問題をなくすために、わたしたちが注目しなければならないポイント
【効果的な課題解決】
・課題も解決策もMECEにすべて並べる
・以下の3つを考慮して、「レバレッジ」できるものを選択
①実現可能性(解決策の実現可能性):着手しやすいか
②コスト・投資・時間:どれだけリソースがかかるか
③解決策によって期待される効果:問題空間を縮められるか
(2)実世界における課題解決
・実世界における問題解決では、常に理想(ゴール)や課題が、その時々の時勢や状況に応じて、「動いている(Moving)」
・コンサルタントとクライアントの間で、課題に対する共通認識の「解像度」を高く維持できていればいるほど、解決策の効果的な実施が可能
・人や組織に関わる問題は、不良定義問題が少なくない
・良定義問題(Well-Structured Problem):明確に定義できる問題
・不良定義問題(Ill-Structed Problem):現状と理想などが不明瞭で明確に定義できない問題
2.人と組織のコンサルティング
(1)クライアントのための課題解決重要ポイント
①クライアントという「宛先」に、最もフィットした実践を提案し、受け取ってもらって、はじめて人材開発・組織開発の実践は価値を持つ
②コンサルタントが孤独に行いうるものではなく、コンサルタントがクライアントに寄り添い、クライアントと「ともに」課題解決を行なっていく
・クライアントが自ら解決できる方向に支援する
(2)科学的な知見は「魔法の杖」ではない
・ベース:「科学的な知見(科学知)」に対する信頼
【科学の知は3つの構成原理で成り立つ】(哲学者・中村雄二郎)
①客観主義:主観性を排除し、客観的にありのままに対象を捉えられる
②論理主義:すべての物事や現象は、言語によって表現でき、首尾一貫した説明がつく
③普遍主義:他の場所にも適用することができる
・客観的に見出され、言葉で表現された、あらゆる場面で適用可能な法則が「科学知」の本質
【人と組織の課題を科学知だけで解決することは難しい】
①適用範囲:あるところで得られた人や組織にまつわる知見が、まったく異なる状況にも適応できるとは限らない
②精度:合理的に説明ができて解決可能なのは3割ほど
③わたしを抜いた知から生まれる課題:わたしが、クライアントに、どのように働きかけたらいいのかについては、クライアントと向き合って、コンサルタントが考えるほかない
→科学知を補う「臨床知」が必要
(3)「科学知」と「臨床知」を組み合わせる
【臨床知の3つの特徴】(哲学者・中村雄二郎)
①シンボリズム:物事には立場により多義的な意味と側面があり、一つの言葉で必ずしも言表できるわけではない
②コスモロジー:世界のあらゆる場所は、一つひとつ「特定の場」であり、固有の意味を持っていることを前提
③パフォーマンス:自らが能動的に環境に働きかけ、行為・行動することを通して発揮される知
臨床知とは、他ならぬ「わたし自身」が、個別・具体的で、それぞれ固有の意味を有した人々との出会いを通して、彼らに働きかけつつ、達成されるような、もう一つの「知のあり方」
コンサルタントの役割:「限定された場所において、限定された時間の中で」現場の人々(クライアント)と関わり合いながら、何をするかを決めていくこと
「よい理論ほど実践的なものはない」(クルト・レヴィン)
(4)アカデミック・プラクティショナーというあり方
・高度な科学知に根ざしながら、経営・現場に価値貢献できる実践者
・人と組織に関するアカデミックな「科学知」を持ちながら、実践的な「臨床知」を発揮し、経営と現場にインパクトを与える
コラム:理論とは何か?
【理論とは何か】(臨床心理学社・國分康孝)「分析」により「現象」の背後に「事実」を発見
複数の「事実」から見出せる共通点から「概念」が
複数の「概念」が集まり「理論」が形成される
理論とは複数の概念が集まって形成される、「世の理(ことわり)を説明するストーリー」
【理論の効用】
①結果を予測することができる
②ある「事実」を説明・解釈する手がかりを得ることができる
③ある現象を「整理」することができる
④仮説を生み出す「母体」になることができる
コラム:科学は万能か?
【やっかいな問題(Wicked Problem)】(山崎吾郎、堂目卓生)1. 正解が存在しない
2. 問題に終わりがない
3. 真偽ではなく善悪が問われる
4. 解決策の有効性を検証する決定的な手段がない
5. 解決策は1回しか実行できず、試行錯誤から学べない
6. 計画の範囲や手順をすべて書き出しておくことができない
7. 問題は2つとして同じものがない
8. 目の前の問題は、別の問題の兆候かもしれない
9. 問題をどう説明するかによって、解決の仕方が変わる
10. 間違った解決策は、人々の生活に困難をもたらす
【学際共創研究】(やっかいな問題解決に必要)
1. 多くのステークホルダーが探求のプロセスに関与・参加する
2. 立場を異にする多様な実践を生み出すことが目指され
3. 知りえたことを統合して、実践をともに共創していくこと
4. 探求を続けることこそにも意義を認められる研究
・「人・組織の課題」とは、限りなく「やっかいな問題」に近い
・解決のためには、実践と科学(探求・研究)が連動することが重要
第2章のまとめ
1.そもそも「課題解決」とは?・課題解決では、まず、人や組織の「現状(As is)」と「理想(To be)」を明確にする。そして、現状と理想の「ギャップ=問題(Problem)」を生んでいる「要因=課題」とそれに対する「解決策」を整理する。そのうえで、効果と実現可能性の高いアプローチを見定め、実践する
・ただし、「実世界(シャバ)」の課題解決においては、「現状(As is)」や「理想(To be)」が明確でなかったり、いつの間にか変わっていたりすることも多く、たいてい、教科書どおりには進まない
2.人と組織のコンサルティングとは?
・人材開発・組織開発コンサルティングは、人材開発・組織開発の科学知と実践知を活かしながら、クライアント組織が抱える人材開発・組織開発の解決を「支援する」営みである。コンサルタントはクライアントに寄り添い、クライアントと「ともに」課題解決を行う
・人材開発・組織開発コンサルタントには、「科学知(原理・原則)」を踏まえながら、現場の人々と出会い、話し合い、その現場に最もフィットする課題解決を行うための「臨床知」の発揮が求められる
・人材開発・組織開発コンサルティングとは、片手には「科学知」を、もう一方の手には「臨床知」を持って、科学と現場を往還する「アカデミック・プラクティショナー」というあり方にほかならない
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