人材開発・組織開発コンサルティング、第5章の続きです。
前回、「人材開発・組織開発の7ステップ」のステップ1,2をまとめましたが、今日は、その続きのステップ3「データを集める」です。
・ステップ1:出会う
・ステップ2:合意をつくる
・ステップ3:データを集める
・ステップ4:フィードバックする
・ステップ5:実践する
・ステップ6:評価する
・ステップ7:別れる
この章では、組織の課題解決に向けて、現場のデータを集め、それらをもとにして「組織の見立て」をつくるまでのプロセスについて書かれています。
まず、データの種類について、「定性・定量」軸と「一次・二次」軸で4象限に分けて解説されています。
ここで大事なのは一次情報に当たること。要は「現場に行け!」ということです。
机上でデータをこねくり回して出した分析結果より、しっかりと現場を見て、直接話を聞いて得たデータをもとに出した分析結果の方が、はるかに的を得ている可能性は高いでしょうし、何より、職場の方々から受け入れられる可能性も全然違うでしょう。
泥臭く現場に行くということは忘れてはいけないですね。
また、「数字(定量)」と「物語(定性)」を揃えることも重要と説明されています。
これは、Brunerが提唱した「論理実証モード」と「物語モード」が背景にあります。
つまり、「数字」か「物語」どちらかではなく、どちらもある方が人を説得する上では有利だということです。
定量データは、広く浅く傾向を掴むことができる特徴があり、定性データは、狭く深い生々しい細部を知ることができる特徴があり、そのどちらも使用することで現場を分析する解像度が上がるわけです。
【定性データ】
定性データ収集のため、まずは「働きかけの対象者を適切に見極めること」が重要です。
「問題のある人材」のラベルを貼られた人物だけでなく、その周囲にいる人たちにもヒアリングすることが重要であると述べられています。
問題は特定の個人の中だけで起きているのではなく、その周辺の人や環境、システムに問題があることがよくあるのだそうです。
対象者を適切に見極めたら、現場でしか得られない「現場粘着情報」を引き出していきます。
そのために「ありのままを聞く」「行動を聞く」「境界を聞く」「3人以上に聞く」の4点がポイントとなります。
また、インタービュ前にしっかりと準備をすること、これも重要です。
せっかくインタビューの機会を得たのに、準備不足で有益な情報が得られなかった。。とならないように注意したいです。
【定量データ】
定量データには様々な種類があります。
どのデータを選定するのかは、「人事が持つ定量データ」、「市販されている調査・サービスと独自開発した調査」のメリット・デメリットが表としてまとめられているので、非常に参考になると思います。
扱うデータを決め、収集したら、分析に移ります。
ここでのポイントは、「クロス」させることです。
「働きがい」×「職場」など、クロスさせることで意味が出てくるのが定量データの面白いところです。
そして、出てきた結果は、クライアントに受け取ってもらうように分かりやすく加工すること。
中原先生は基本的に%としか用いないそうです。
データ分析したらついつい全部見せて説明したくなりますが、ポイントを絞って分かりやすく伝えるよう気をつけなければいけません。
定性データと定量データが集まったら、「組織の見立て」を作っていきます。
アカデミックな課題解決は仮説検証ですが、コンサルタントにとって仮説の代わりになるのが「組織の見立て」。
これは、「理想と現実のギャップ」「課題」「解決策」「期待されるインパクト」の4点セットで描かれるクライアントにフィードバックする資料のことです。
そして、「組織の見立て」を作る上で必要な能力として「往還力」が挙げられています。
「定性データと定量データの往還」「理論と実践の往還」の2つの往還を繰り返すことが、正しく現場を見て適切な打ち手を考える上で非常に重要だということです。
・「理論(先行研究)を学び続けること」
・「実践(経験)を積み重ねること」
・「現場の生声を集め現場のリアルを把握すること」
・「様々な調査データから組織を見える化すること」
人材開発・組織開発コンサルタントとしてパフォーマンスを発揮するためには、少なくとも上記4点について常に研鑽していかなければいけないと思いました。
以下、メモ
現場のデータ収集の基本的な流れ
【先行研究に当たる際の5つのアプローチ】
①関連性
前回、「人材開発・組織開発の7ステップ」のステップ1,2をまとめましたが、今日は、その続きのステップ3「データを集める」です。
・ステップ1:出会う
・ステップ2:合意をつくる
・ステップ3:データを集める
・ステップ4:フィードバックする
・ステップ5:実践する
・ステップ6:評価する
・ステップ7:別れる
この章では、組織の課題解決に向けて、現場のデータを集め、それらをもとにして「組織の見立て」をつくるまでのプロセスについて書かれています。
まず、データの種類について、「定性・定量」軸と「一次・二次」軸で4象限に分けて解説されています。
ここで大事なのは一次情報に当たること。要は「現場に行け!」ということです。
机上でデータをこねくり回して出した分析結果より、しっかりと現場を見て、直接話を聞いて得たデータをもとに出した分析結果の方が、はるかに的を得ている可能性は高いでしょうし、何より、職場の方々から受け入れられる可能性も全然違うでしょう。
泥臭く現場に行くということは忘れてはいけないですね。
また、「数字(定量)」と「物語(定性)」を揃えることも重要と説明されています。
これは、Brunerが提唱した「論理実証モード」と「物語モード」が背景にあります。
つまり、「数字」か「物語」どちらかではなく、どちらもある方が人を説得する上では有利だということです。
定量データは、広く浅く傾向を掴むことができる特徴があり、定性データは、狭く深い生々しい細部を知ることができる特徴があり、そのどちらも使用することで現場を分析する解像度が上がるわけです。
【定性データ】
定性データ収集のため、まずは「働きかけの対象者を適切に見極めること」が重要です。
「問題のある人材」のラベルを貼られた人物だけでなく、その周囲にいる人たちにもヒアリングすることが重要であると述べられています。
問題は特定の個人の中だけで起きているのではなく、その周辺の人や環境、システムに問題があることがよくあるのだそうです。
対象者を適切に見極めたら、現場でしか得られない「現場粘着情報」を引き出していきます。
そのために「ありのままを聞く」「行動を聞く」「境界を聞く」「3人以上に聞く」の4点がポイントとなります。
また、インタービュ前にしっかりと準備をすること、これも重要です。
せっかくインタビューの機会を得たのに、準備不足で有益な情報が得られなかった。。とならないように注意したいです。
【定量データ】
定量データには様々な種類があります。
どのデータを選定するのかは、「人事が持つ定量データ」、「市販されている調査・サービスと独自開発した調査」のメリット・デメリットが表としてまとめられているので、非常に参考になると思います。
扱うデータを決め、収集したら、分析に移ります。
ここでのポイントは、「クロス」させることです。
「働きがい」×「職場」など、クロスさせることで意味が出てくるのが定量データの面白いところです。
そして、出てきた結果は、クライアントに受け取ってもらうように分かりやすく加工すること。
中原先生は基本的に%としか用いないそうです。
データ分析したらついつい全部見せて説明したくなりますが、ポイントを絞って分かりやすく伝えるよう気をつけなければいけません。
定性データと定量データが集まったら、「組織の見立て」を作っていきます。
アカデミックな課題解決は仮説検証ですが、コンサルタントにとって仮説の代わりになるのが「組織の見立て」。
これは、「理想と現実のギャップ」「課題」「解決策」「期待されるインパクト」の4点セットで描かれるクライアントにフィードバックする資料のことです。
そして、「組織の見立て」を作る上で必要な能力として「往還力」が挙げられています。
「定性データと定量データの往還」「理論と実践の往還」の2つの往還を繰り返すことが、正しく現場を見て適切な打ち手を考える上で非常に重要だということです。
・「理論(先行研究)を学び続けること」
・「実践(経験)を積み重ねること」
・「現場の生声を集め現場のリアルを把握すること」
・「様々な調査データから組織を見える化すること」
人材開発・組織開発コンサルタントとしてパフォーマンスを発揮するためには、少なくとも上記4点について常に研鑽していかなければいけないと思いました。
以下、メモ
ステップ3:データを集める
1.そもそもデータ収集・分析とは何か?
(1)データ収集・分析の目的
現場からデータを収集し「解くべき課題を決める」
(2)組織にあるデータの種類
・「定性データ」と「定量データ」/「一次情報」と「二次情報」
一次情報:自分自身が現場で収集
現場のニーズに根ざしていない人材開発・組織開発ほど空しいものはない
①定性データ×一次情報:ヒアリング、聞き取り、1on1、面談、観察
②定性データ×二次情報:Webページ、広報誌、イントラネット情報、社史、他者の行なった面談ん記録/1on1記録、車内記録
③定量データ×一次情報:独自サーベイ調査、独自の観察&数量化
④定量データ×二次情報:人事/業績データベース、ES調査、従業員調査、職務満足度調査、エンゲージメントサーベイ、ストレスチェック、パルスサーベイ
(3)現場のデータ収集方法
典型的な調査パターン
①聞き取り調査を行う(現場に出向き、関係者にインタビュー)
②二次情報で裏づける(社内にある資料や調査データを検証)
③裏取りのために調査を行う(現場に対して独自調査を実施)
④総括する(これまでのデータを比較・総括する)
⑤課題設定する(解くべき課題を決める)
現場のデータ収集の基本的な流れ
①「聞き取り調査」を行う
・IPを取り巻くステークホルダー全員から聞き取りを行う
・クライアントから「問題があるとされた人材(Identified Person:IP)」のみを調査対象にしないよう注意
②「二次情報」で裏づける
③「裏取り」のために調査を行う
③「裏取り」のために調査を行う
④「総括」する
⑤「課題設定」する
(4)「数字」と「物語」を揃える
・「数字(定量)」、「物語(定性)」の両方が揃っているほうが有利
・人が現実を認識していく2つのモード(ジェローム・ブルーナー)
・論理実証モード:論理的な整合性を保ち、科学的な検証を行うことによって、客観性や数値化を意識し、合理的に理解を促す認識の仕方
・物語モード:「複数の出来事の連鎖」の中から、物事の本質を「意味」づけていくモード
2.定性調査:現場の声に耳を傾ける
(1)なぜ現場に行かなければならないのか?
数字には、必ず「取りこぼしてしまうもの」がある
現場とは以下の特徴を持つ場(小田博志, 2010)
①現在進行形で物事が動いている場
①現在進行形で物事が動いている場
②具体性こそ命である場
③複雑な要因に満ちている場
④予測不可能性がある場
⑤常に変化し、即興性を持つ場
自ら現場に「一歩踏み込み」情報を取りにいく、というプロアクティブな行動をとることが必要
(2)現場で情報収集を行う目的
【3つの目的】
①「あるべき理想」と「現状」をイメージできる情報:課題特定
②適切な働きかけの対象者は誰かを見極める:対象者特定
③解決策をさぐる情報:解決策採用
・「蛇口輸入」の状況に陥らないこと
・課題解決の精度は「情報の鮮度と量」で決まる
(3)現場粘着情報収取の4つのポイント
①ありのままをただ聴く
②行動を聞く
・1.現場の誰が、いつ、誰に対して、どのような行動をとっていることが、どのような問題・結果を生み出しているのか
・2.現場の誰が、いつ、誰に対して、どのような行動をとっていることが、理想(ゴール)なのか
・1と2のギャップを埋めるための方法を、誰に、いつ、どのように提供すると、目指す光景が見られるのか
③境界を聞く
・バウンダリーとは「人々が、会話をしていく中で、ウチとソトの区別をつけていく仮想の境界線」
・人は、会話をしていく中で「自分自身を境界のどこかにプロット(定位)させ続ける存在
・人は、言葉を用い、無意識に、バウンダリーを構成している
④3人以上に聞く
・知の三角測量:1つの出来事に対して、複数の人に話を聞くことで、裏づけ、裏取りをすること
(4)インタビューは前後が重要である
・準備が2割、実施が6割、記録が2割
(準備)
・相手の情報を知っておく
・インタビューの流れを考えておく
・聞きたいポイントを押さえておく
・聞きたいポイントをあらかじめ伝えておく
・提示する資料、データや調査結果などを用意しておく
3.定量調査:現場のデータを把握する
(1)人事が持つ定量データ
(一次情報)
①独自調査データ
①独自調査データ
(二次情報)
②人事データ(評価データ)
③ストレスチェックデータ
④従業員調査データ
(2)定量データは「クロス」してはじめて意味を持つ
「働きがい」×「職場」、「働きがい」×「年度」など
【定量データの特徴】
①浅いが、広く傾向をつかむ(定性データとの最大の違い)
②つなげることで付加価値が上がる(クロス集計して意味を持つ)
③比較することで鮮明になる(時系列や属性、他部署と比較する)
(3)データ収集・分析は誰のためのものか
・データは、フィードバックする相手に受け入れられてナンボ
・現場で分析結果について述べる際は、基本的に%しか用いない
(4)定量データを用いるのはなぜか?
・第1の理由:組織の全体像を把握することができる
「Respect:尊敬の念」と「Suspect:疑いの目」両方使って
・第2の理由:人は数字に多くの信頼を置いている
数値は、個人的なものを超えて、新しい信頼を生み出すための手段
(5)先人の肩に乗る(科学知を調べる)
・メリット:過去に似た事例をさがし、そこで用いられている解決策や、その効果を参考にして、課題解決を行うことができる
・だが、科学の知がそのまま、まるごと、コピペのように「あなたの職場に適用できるかどうかはわからない」
4.分析する
(1)「組織の見立て」をつくる
・アカデミックな課題解決=仮説検証、仮説とは「真偽を判定できる命題」のこと
・コンサルタントは「真偽判定」ではなく「現場に貢献する仕事」、仮説の代わりになるのが「組織の見立て」
①組織の目指す理想と現実のギャップとは何か?
②理想と現実のギャップを解決するために、何が「課題(人材課題・組織課題)」として存在しているのか?
③課題(人材課題・組織課題)を解決するために、どのような「解決策」を実施すればいいのか?
④経営・現場にどのようなインパクトが期待できるのか?
(2)「組織の見立て」を構築するプロセス
①定性データ、②定量データの2つのソースがあり、現実の組織を横目に見ながら、過去に類似した③先行研究がないか調べ、④分析・解釈し、組織の見立てを提案する
「往還力」:「定性データと定量データの往還」「理論(先行研究)と実践(現実の組織)の往還」
【先行研究に当たる際の5つのアプローチ】
①関連性
・現場で起きている現象を説明している理論・概念は?
・もしあるなら、どのような理論・概念か?
②過去への遡及「縦糸」
・過去に類似した現象を扱っている研究は?
・過去に類似した現象を扱っている研究は?
・過去に類似する先行事例・先行する課題解決は?
③国際比較「横糸」
・他の国や地域で、類似している現象は起きていないか?
・他の国や地域では、どのような課題を、どのように解決しているか?
④他領域の適用「ナナメ系」
・他業種や他業界には、類似する現象はないか?
・他業種や他業界で、知識移転できるものはないか?
・他業種や他業界では、どのように課題解決を行なっているか?
⑤人材開発・組織開発の改善策の妥当性
・自分の解決策は効果があると考えられるエビデンスは?
・自分の解決策の効果性を予測できる研究は?
コラム:複雑な問題を「ループ図」で捉える
コラム:複雑な問題を「ループ図」で捉える
ループ図を描き、ループを断ち切る=システムに変容をもたらすかを考える
Punctuation(句読点を切る):ある特定な関係への着目と、その意味づけのこと
Punctuation(句読点を切る):ある特定な関係への着目と、その意味づけのこと
ステップ3「データを集める」のまとめ
1.「定性調査(現場インタビュー)」とは
・効果の高い課題解決を行うためには、現場に足を運び、そこに生きる人々から、現場にこびりついた「現場粘着情報」を聞き出し、現場の課題や目指す姿を解像度高くイメージすることが不可欠
・現場の人々が語ったことは、安易に要約したりせず、リアルな「生声」「物語(ストーリー)」をそのまま蓄積することが重要
2.「定量調査(軽量的なデータ収集)」とは
・エンゲージメントサーベイやES調査で得られる「定量データ」は、組織の中で起こっている現象・出来事の「傾向や全体像を掴む」のに役立つ。定性データとは対照的に「広く浅く」情報を集める
・定量データは、他のデータと「クロス(重ね合わせ)」して、属性分析やパフォーマンス分析を行うことで、付加価値のある情報を生む
3.「分析(組織の見立てをつくる)」とは
・分析では、現場の定性情報を紐解き、定量情報で俯瞰し、先行研究を参照しながら、クライアントに提示する「組織の見立て」をつくる
・「組織の見立て」は、①組織の目指す理想と現実のギャップを見極めたうえで、②何を課題として設定し、③どのような解決策を実施して、④どのようなインパクトが期待できるのか、の4点セット
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