教師に向けて書かれたプロジェクト学習(PBL:Project-Based Learning)のガイドブックについて章別にまとめていきます。

書籍はこちら(被引用数:175件 (2023年9月26日時点))
Fleming, D. S. (2000). A Teacher's Guide to Project-Based Learning. Washington: ERIC


著者は、カリキュラム開発、教育実践、学習評価の分野で学校や地区のコンサルティングを行っており、多数の書籍を出版しているDouglas S. Fleming。
全米の専門家養成ワークショップ、研究会、大学レベルのコースで、探究型教育・学習の実践のモデルとなっているそうです。

書籍は、以下の3章+Appendixの構成となっています。
第1章:学生PJを通して学ぶ(Learning through Student Projects)
PBLの根拠を示し、潜在的な利点と懸念事項を説明し、プロジェクト活動における教師と生徒の役割について論じ、プロジェクト(以下、PJ)が生徒の高い水準達成にどのように役立つかの説明

第2章:PBLのプロファイル(Profiles in Project-Based Learning)
13のPJ方法を紹介し、それぞれの特徴的な構成要素と特徴を説明し、各PJ方法のリソース紹介

第3章:教師が生徒のプロジェクトを計画・管理する際のステップ(Steps for Teachers in Planing and Managing Student Projects)

PJを計画し、管理するためのステップ・バイ・ステップのガイド

Appendix

PJ設計のためのチェックリストと、実際にPBLに取り組んでいる教師によるPJの説明とコメントを掲載

今回は、第1章についてまとめます。
第1章は、学生PJを通して学ぶ(Learning through Student Projects)です。
各節を翻訳し、端的に抜粋しながらまとめます。

【プロジェクトとは何か?】
・PJは、生徒が興味を持ち、履修コースにとって重要な活動に取り組む集中的な経験である
・地域の人々や環境を巻き込むこともあり、多くの場合、実社会の目的や聴衆のための展示や製品になる
・典型的なPJの期間は2週間から8週間
・PJのアイデアは、教師または生徒が、個人またはチームで開発することができる
・地域の人々を支援者や指導者として巻き込むこともある。
・校外での経験は、生徒が自分達の地域社会について学び、その特色を理解するのに役立つ
・通常、教師は、生徒が選択できるようなテーマのリストを提供するか、生徒にテーマを提出させ、承認を得る
・教師は、具体的な学習目標を選び、PJを進める前に、アウトライン、設計概要、提案書、分析などを準備することを生徒に義務づけ、生徒の努力の指針となる時間軸とマイルストーンを設定することによって、生徒の成功に必要な構造を提供する

◆PJをデザインする際の6つのA(The Six A's of Designing Projects)
1. authenticity(真正さ)
2. academic rigor(学問的厳密性)
3. applied learning(応用学習):学校の壁を越えた生活や仕事の文脈に根ざしたPJ
4. active exploration(積極的探求)
5. adult connections(大人とのつながり)
6. assessment practices(評価の実践):明確な基準の使用と構造化された自己評価を含む評価

◆PBLの活動例
PBLの活動例が複数記載されていて、非常に参考になりました。
これらの活動例を参考に各科目を掛け合わせると、色々な科目別PBL案が作成できそうです。
p.2を参考に翻訳・加筆し表にまとめました。
※大学で実施している企業の課題解決プロジェクトなどは当てはまる項目がなかったので、まだ更新できる気はします。
PBL-example

◆さまざまなPJ体制
(1)単独
(2)クラス内の小グループまたはチーム
(3)クラス全体
(4)クラス全体で同じ学校内の1つまたは複数のクラスと協力
(5)クラス全体で他校の1つまたは複数のクラスと協力

◆生徒のPJが最も良く組織され、管理される条件
1. 生徒の疑問や関心に基づいて、プロジェクト作品を選択、作成、または編成する
2. 地域社会の資源、問題、決定事項が、プロジェクトの調査の中心となっている
3. 教師の役割は、進行役、協力者、指導者である
4. 学問的な内容は、州または地域のカリキュラムの枠組みや学習基準と関連している
5. プロジェクト活動は、生徒の成果物、パフォーマンス、調査に重点を置く
6. プロジェクト活動では、生徒が創造的で、知的に富み、審美的に満足できる製品を開発するよう奨励する
7. プロジェクト活動は、相互指導、チームワーク、小グループでの問題解決を中心に構成される
8. プロジェクトワークでは、生徒が要所要所で自分の作品について意識的かつ思慮深く振り返ることが求められる
9. プロジェクト作業では、情報の検索、アクセス、交換、管理、提示のためのツールとして最新技術を統合する
10. プロジェクトの成果を、教師や教室を超えた聴衆と共有する
11. 以前の調査で提起された疑問から新しいプロジェクトが生まれる
12. プロジェクトの方法は、教師と生徒によって厳密に評価され、技能の向上、内容の理解、態度の変 化に関するフィードバックが提供される

【なぜプロジェクトベースのアプローチが重要で、正当な学習方法なのか?】
◆学生PJを指導戦略として活用する利点
1. モチベーションの向上
・生徒が「問題を自分のものにする」ようになり、校外でプロジェクトに取り組む時間が増える
・より多くのオプションを提供し、個々の才能や興味を追求するようになり、生徒の意欲を高める
2.自主性の向上
・生徒が責任感を持ち、自主的に学習するようになる
3.達成度の向上
・生徒は、解釈、結論、批判的判断を下す際に事実知識を直接活用することで、より高いレベルの思考を実践する
・問題解決的課題は、生徒が知識をより容易に記憶し、他の状況でも呼び出すのに役立つ
・PJは、生徒が創造的に、自主的に、責任を持って自分の頭脳を働かせることに挑戦し、満足感と達成感を得ることができる
・職場環境の典型であるチーム設定の中で、話を聞き、発言し、決定を下すことを学ぶ
・将来の学業や仕事に不可欠な、計画、組織化、研究、時間管理などのスキルも身につける
・生徒たちは、何がうまくいき、何がうまくいかなかったのか、そしてその経験からどのように学ぶことができるのかを振り返りながら、自分自身の仕事をよりよく観察するようになる
・生徒は、自分の長所を活かして学習を実証することで、自信と自己認識を深める

(教師のメリット)
・PJは、さまざまな知性、学習嗜好、学習スタイルに対応することができる
・プロジェクトから生まれた成果物やパフォーマンスによって、教師は、学習がどのように行われたかをより正確に評価することができる
・PBLは、各教科で重要な「心の習慣」(好奇心、柔軟性、粘り強さ、責任感、創造性、卓越性へのコミットメントなど)を奨励する機会を教師に与える
・PJは、教師が分野の垣根を越え、学習目標を組み合わせる手段にもなる
・このような「束ね方(bundling)」をすることで、教師は時間を効果的に使うことができ、生徒はカリキュラムの要件を断片化したり孤立したりすることなく体験することができる

◆PBLと学習構成主義
・生徒のPJは、個人的な関心事と社会的な関心事の両方に関連していることが多く、心理学的構成主義/社会的構成主義のどちらか、あるいは両方の学派に属することがある
 ・心理学的構成主義(Psychological constructivism):教育目的は、子供たちが個人のニーズや興味をサポートする方法で学習できるようにすることであると考える
 ・社会的構成主義(Social constructivism):社会変革のための教育を重視する

・PJをうまく活用するには、教師が指導者、監視者、コーチ、進行役の役割を果たす学習中心主義のアプローチが有効である
・このアプローチは、生徒が生涯学習者になるための心の習慣を身につけることを奨励する
◆学習者中心のアプローチの特徴
・学習者は予備知識、経験、興味を基礎とする
・可能な限り一次資料を活用する
・問題解決、高次の思考、概念や原理の深い理解を重視する
・生徒は、自分自身の思考について考え、自分の仕事を評価し、学習内容を振り返り、自分自身の目標と目的を設定する
・間違いや誤解を学習の機会と捉える
・生徒が自分の学習について複数の視点や表現を形成することを奨励する
・複数の評価方法が組み込まれ、学習の継続的な一部となっている

【PBLについての一般的な懸念事項とは?】
・PJは多くの場合、長期間にわたる集中的な努力を必要とする
・PJの焦点を選んだり、プレゼンテーションや成果物の形式を決めたりするのが難しい生徒もいる
・PJは、多くの場合、自主的で監督者のいない学習を伴うため、従来の方法では、グループでの取り組みに対する個人の貢献を評価することが難しい場合がある
・生徒の調査や完成の段階が異なることもあり、教師にとってモニタリングが難しくなる
・PJ調査の「結果」は一様ではなく、予測もできない
・PJに着手する教師は、質問を通して生徒を指導したり、新しい技術を応用したり、学校やより大きなコミュニティの他の人々と新しい方法で協力したりするなど、新しい役割やスキルを学ぶ必要があるかもしれない

◆懸念への対処
内容を網羅する
・教科書ではなく、基準に基づいて指導を決定する
・よく設計されたPJは、生徒が複数の基準を同時に練習し、適用することを可能にする
・活動ではなく、結果に焦点を当てる
教師の計画と準備
・生徒の調査を導くために、活動を構成し、質問を投げかける
・生徒が自分自身の疑問に対する答えを探し求め、知識を発見するのをサポートする
生徒の評価
(PJ作業における努力のばらつきへの対策)
・授業時間中にPJ計画の多くを生徒に行わせる
・PJ作業を個別の時間区分またはフェーズに分ける
・PJの報告および報告会をより多く実施する、特定の成果物(考察や一般化など)を授業時間中に起草するよう要求する、などの方法で管理することができる

【多くの保護者や教師が自分たちの学校経験から想起するPJと、今日課せられているPJは、どのように違うのか?】
生徒がプロジェクトは、何年も前から行われてきたが、より高い学力水準と新しいテクノロジーによって、PBLの様相をいくつかの点で変えてきたと言われています。
以下に、旧PBLと現代のPBLの比較を表でまとめました。
「社会が求める能力の変化」と「旧プロジェクト学習と新プロジェクト学習の比較」の表を合わせて見ると、結構関連性がありそうな気がします。
old-new_PBL

【プロジェクト型学習における生徒の役割とは?】
・生徒には、単に知識を消費するだけでなく、知識を応用するよう、自分ができると思っている以上のことが求められる
・PBLでは、生徒の役割は "情報の受信者 "から "意味の作り手 "へと移行する
・実社会の文脈や問題は、生徒が専門家が使うアプローチ、方法、材料、役割、言葉遣いを模倣するのに役立つ
・明確な基準(standard)と規準(criteria)により、生徒は自分の作品を頻繁に振り返ることができる
・教師との面談、講評会、相互評価、クラスでのディスカッションは、生徒がプロジェクト全体の質を向上させるための調整をするのに役立つ
・このような活動や交流の中で、生徒は、自分にとって、また自分の目的にとって何が有意義であるかについて、多くの決断をしなければならない。
・生徒は、リソースを探したり、協力的なチームの役割(進行役、タイムキーパー、報告者、記録者)を引き受けるなど、より大きな責任を負うことができる
・生徒は、プレゼンテーション、ディスカッション、ケーススタディ、ロールプレイング、インタビュー、アンケートの作成と実施、実験室での実習、社会見学、ゲストスピーカーイベント、ビデオに録画したセグメントの分析などの活動の計画、組織化、支援、実施を支援することができる
・生徒は最終成果物、パフォーマンス、展示、デモンストレーションを校外の聴衆に発表することが多い(聴衆は、教師、生徒、他の生徒とともに最終評価に協力することもある)
・生徒は、教材の知識や理解(技能、作業習慣、問題解決技術など)に加えて、さまざまな学習側面について評価されることがある

【メモ】くじけそうな生徒をサポートする
生徒のプロジェクトを通しての学習は、従来の授業方法とは大きく異なる。
教師は、そうしなければやる気をなくしてしまうかもしれない生徒をサポートする戦略を使う必要があるかもしれない。
1. プロジェクト調査の全体的な時間軸と段階を生徒に説明する
2. 生徒が時間通りに課題に取り組めるよう、モニタリングや足場固めの手段を開発する。プロジェクトの計画書、提案書、報告書の草稿、予備的な結論を作成することで、生徒が集中力を維持できるようにする: 生徒が複雑なプロジェクトを管理しやすい一連のステップに「分割」し、それに付随する成果物を作成できるように支援することで、教師は生徒が長期的な課題を成功裏に完了できるようにする。
3. 個人や研究チームと定期的に話し合う。これは、遅れをとりそうな生徒を特定するのに役立つ。また、進捗状況を確認するための簡単な「チェックイン」やクラスミーティングも有効である。
4. 生徒が自分の成績をどのように評価されるかを知ることができる、明確でわかりやすい評価基準を作成する。研究プロジェクトの各段階ごとに採点ガイドを作成することができる。

【PBLにおける教師の役割とは?】
・「学ぶことはすべて教えられなければならない」つまり教師によって提示され、媒介されなければならないと考えがちである。この信念の根底にある前提は、情報を完璧に伝達すれば、知識や理解を完璧に受け取ることができるというものである。
・一方、PBLは、生徒が調査や創造的なプロセスに従いながら学ぶことができることを認識する
・生徒がPJに取り組む間、教師の役割は「内容の専門家」から「支援コーチ」へと移行することが多い
・教師によるプレゼンテーションに重点を置くことは少なくなり、サポートや仕組みを提供することに重点が置かれる
・一般的に、教師コーチは、自由形式の質問を使用し、内省的ディスカッションを促進する
・学習者とその質問の多様性を尊重し、大切にする
・アイデア、質問、結論を複数で表現できるようにする

◆PBLをサポートするために教師が行うことの例
・生徒がプロジェクトの要件を満たせるよう、直接指導を含む一連の教育・学習活動を計画する
・プロジェクトに不可欠なさまざまな資料を調査し、探索する。学校や地域のメディアセンターまたは図書館で利用できるよう手配する
・生徒が問題や疑問を定義し、時間の制約の中で目的を達成するための計画を立てるのを助ける
・模範を示し、フィードバックを与え、足場(道具、書式、ガイドライン)を提供する。生徒の学習が進むにつれ、相談に応じる
・柔軟な職場環境を維持し、全員が同じことに取り組んでいるとは限らないようにする
・個人やグループとの面談では、生徒の考えを探り、挑戦させる
・グループダイナミクスを管理し、プロジェクト課題の難易度や挑戦の度合いを監視・調整することで、プロセスの進行を維持する
・多くの教室では、教師によるプレゼンテーション、教師主導の暗唱、教師が実施するテストが普通であるが、PBLでは、生徒が自ら問いを立て、探究の形態、知識を生み出す
・学習したことをどのように表現し、表示するかは生徒が決める
・これらの概念は、プロジェクト学習の核心である
・これらのコンセプトを実行に移すには、教師側の調整が必要かもしれない
・特に、教師自身がプロジェクトを通して教わったことがなく、プロジェクト学習を指導したり評価したりするための専門的な能力開発の機会を通じて準備されていない場合に当てはまる

また、教師がプロジェクト学習に対して不安を抱いている場合もある(「コントロールできるか自信がない」、「時間がかかりすぎる」、「欠席した場合の補習が大変」、「採点が簡単でない」、「生徒が責任を持てない」、「地域社会が自分の知識を伝えることを期待している」、「生徒が嫌がる」)。
・教師は、PBLの要である学習を導くための問いに慣れていないかもしれない
・地区の教員評価制度が、教員の責任をあまりに狭く定義しているかもしれない
・一般的な教育文化も、教師がPBLを自分のレパートリーに容易に取り入れるかどうかに影響する

【プロジェクトは、生徒が高い水準を達成するためにどのように役立つか?】
・多くの州が、さまざまな教科分野の生徒の成績に関する新しい基準を承認している。これらの基準には、数学、科学、技術、言語、保健、社会、健康、世界言語、音楽、芸術などにおいて、優れたプログラムを持つとはどういうことかについての新しい定義が含まれていることが多い
・新基準は、アメリカの生徒が何を知り、何ができるようになるべきかという高い期待値を明示しているが、基準そのものがカリキュラムになることを意図しているわけではない
・カリキュラムとは、生徒が基準を達成できるように、教師が生徒と一緒に行うものである
・新基準は、よりよい教育・学習方法を促進し、各地域でのカリキュラム開発と有意義な生徒評価の実践を奨励することを意図している
・各州の教育省は、承認された新教科基準に沿った州全体の評価を実施している
・教師や管理者にとって重要なことは、州の基準と地域のカリキュラムの構成要素を比較し、生徒の進歩状況を追跡するために使用できるパフォーマンス指標を特定し、基準を満たすための生徒の進歩の証拠を収集する評価課題を作成することである
・基準に基づく改革の難しい点は、新しい基準が生徒に何を要求しているのかについて合意に達することと、生徒が新しい基準を達成するのを助けるために、教師がどのような別の方法をとることができ るのかを探ることである
・新基準の多くは、単に情報を思い出すだけでなく、より高いレベルの生徒の思考を強調している
・新基準に付随する文言は、生徒が学習過程にもっと積極的に参加するよう求めている

◆生徒が自分の学習により積極的に参加する方法、教室での機会
・概念やプロセスを教え合い、説明し合う
・証拠や証明をまとめ、発表する
・ある状況を異なる視点から研究する
・多様な問題を解決する際に、共通の特徴を見つける
・自分のパフォーマンスを評価し、何がうまくできていて、何を改善する必要があるかを明らかにする
・葛藤やジレンマを解決するために、情報を批判的に評価する

・学際的な単元やプロジェクトは、生徒が問題を解決し、コミュニケーションを図り、推論し、 関連性を持たせるような課題を中心に組み立てることができる
・ブロック・オブ・タイム・スケジューリング、体験学習、テクノロジーを活用した研究、その他の関連するアプローチは、より高い学習水準に到達するための手段として、一部の学校や地区で活用されている

【メモ】プロジェクトは「一石二鳥」
The Mid-continent Regional Educational Laboratory(McREL)は、進化する基準について調査した結果、カバーすべき内容の量と利用可能な指導時間の間にミスマッチがあることを示している。
実際、McRELは、「国および州レベルの基準文書で特定された内容に適切に対応するためには、...DC12教育を幼稚園から21年生まで拡大する必要がある」と判断した。
通常、多くの分野の境界を横断するPJは、「一石二鳥」の学習経験を設計するための自然な方法である


ここまでが第1章のまとめです。
端的にまとめられていて、非常に分かりやすかったです。
個人的に特に収穫だと思ったのは、上記で表としてまとめた「PBLの活動例」と「旧プロジェクト学習と新プロジェクト学習の比較」についてです。

「PBLの活動例」については、PBLをやってみたいが、どのような授業設計をすれば良いか分からないという先生方にとっては参考になる部分が多いと思いました。
特に小中高では、生徒が「探求学習」のイメージを持てず、テーマに何を選べば良いか分からないケースが少なくないと思います。(ちょうど先日、ある高校の先生から探求学習の設計についてご相談がありましたが正にこの表などは活用できそうです)
この表に加え、科目別の事例などもあれば、更に活用しやすいだろうなと思いました。もうあるかな?作ろうかな?

また、「旧プロジェクト学習と新プロジェクト学習の比較」についても大きな気づきがありました。
「プロジェクトに取り組む学習は昔からあるじゃない。PBLって何が新しいの?」という疑問への回答になるのがこちらの表です。
以前、「ハイパー・メリトクラシー」のポストで、社会から必要とされる能力が時代とともに変化してきている件についてまとめました。
かつては、『近代型能力』として基礎学力が重視されていましたが、 VUCAと呼ばれる現代社会においては、『ポスト近代型能力(生きる力)』として、意欲や創造性、コミュニケーション能力などの、より不定形な能力が求められるようになっています。
社会から求められる能力の変化に合わせて、教育にも変化が求められ、アクティブラーニングなどの重要性が増加。その文脈でPBLにも注目が集まっているわけですね。
そして、その変化は、「旧プロジェクト学習と新プロジェクト学習の比較」にもしっかりと現れているように感じました。
「個人ではなくチームで、様々なテクノロジーや情報資源を使い、広い範囲で複雑なプロジェクトに取り組み、より高次な思考(創造、評価、分析等)を鍛えていく」
これらは正に、現代社会で活躍するために必要な経験やスキルですよね。
「PjBL学ぶスキルの多くは、他者とうまく働き、対人関係の対立を処理し、思慮深い決断を下し、実践し、複雑な問題を解決する能力など、今日の雇用主が強く求めているものである(Kloppenborg & Baucus, 2004)。」と、ちょうど昨日読んだ論文にも以下の引用がありました。
やはり、エンプロイアビリティを高め、社会で活躍するための能力を伸ばすために、 PBLは活用できそうです。

第1章から学びが多く良書な印象です。 
続いて第2,3章についてもまとめていきたいと思います。 

--以下、プライベートモード)にて翻訳版をメモしてます---

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