昨日に続き、A Teacher's Guide to Project-Based Learningをまとめていきます。
今回は第3章です。

書籍はこちら(被引用数:175件 (2023年9月26日時点))
Fleming, D. S. (2000). A Teacher's Guide to Project-Based Learning. Washington: ERIC


第3章は、生徒のプロジェクトを計画・管理するための教師のステップ(Steps for Teachers in Planning and Managing Student Projects)です。

この章では、実際にPBLを実行するにあたり、教師がすべきステップがまとめられています。
ステップは、全部で8つで、以下のような流れになります。

ステップ1: プロジェクトの焦点を選ぶ
ステップ2: プロジェクト活動を通して学ぶ必要のある知識や技能の分野を特定する
ステップ3: プロジェクトを紹介し、その形成に生徒を参加させる
ステップ4: 教師主導の活動と生徒主体の活動のバランスを選ぶ
ステップ5: プロジェクトのタイムラインとマイルストーンを設定する
ステップ6: 計画、報告、フィードバックのツールを使って、生徒の進歩を監視する
ステップ7: プロジェクトの影響と学習成果を評価する
ステップ8:収集したデータを振り返り、次のステップを計画する

一つずつ、書籍の一部を抜粋しまとめながら考察していきます。

ステップ1:プロジェクトの焦点を選ぶ

まず、プロジェクトで何を達成しようとしているか? 取り組む学習基準は何か?というゴールの設定から始まります。
そして、第2章で紹介した、様々なプロジェクトタイプ(またはその組み合わせ)が、最も適切かを以下の表を参考にしながら検討します。
例として、地域のことを学びたい場合には、「地域研究」「環境調査」「サービス・ラーニング」などが、生徒により多くの選択と決定の機会を与えたい場合は、「PBL」「フォックスファイヤー」「マイクロソサエティ」等が有効であると紹介されていました。

上記のように、学習目標と、生徒・学生がどの程度自律的に活動できるかを鑑みて、プロジェクトタイプを選択するかがポイントとなりそうです。
以下の表(Figure3.1)では、小中高それぞれの年代に適したPBLが示されています。これも参考になりますね。
figure3.1

ステップ2:プロジェクト活動を通じて習得すべき必須知識・技能分野の明確化

ステップ2は、PJ活動を通じて達成したい具体的な学習目標(知識、技能、態度)を明確にする、です。
学習目標が明確になったら、以下のような点を決めていきます
・どのような内容をどのように習得させるか(座学、実践的デモンストレーション等)
・学習するタイミングをどうするか(打ち込み、復習など)
・具体的な評価基準、評価方法をどうするか(製品、パフォーマンス、ルーブリック等)
・自己評価や相互評価をどう活用するか
・支援となるリソース(印刷物、メディア、技術、人材等)をどうするか
・ロジスティックな要件(スケジューリング、資金、出張の手配、協力関係)をどうするか
・プロジェクトの豊かさ、厳しさ、妥当性は、生徒が主要な教科の概念や技能を習得し、分析、統合、評価などの高次の思考スキルを身につけ、カリキュラム全体の文献を統合し、生徒の関心や疑問を研究の枠組みに利用し、生徒の作文や成果物の開発を重視するよう、プロジェクトがどれだけうまく設計されてい るかによって決まる。
・これらと同じ設計上の配慮は、生徒が社会で必要とされるスキルを身につけるのに役立つ。
雇用主はますます、次のような能力を持つ従業員を求めている。
1. 情報を整理し、活用することができる複雑な概念、問題、または課題の本質を見つけ、アクセスし、解釈し、他者に説明する方法を知ることができる
2. 選択肢を検討し、その中から選ぶことができる 複数の異なる解決策、戦略、視点、または観点を特定し、最適な解決策を選択することができる
3. 概念的理解を示す - 内容分野における重要な考え方、理論、視点を把握する
4. 適切な探究、調査、コミュニケーションのプロセスを適用する
5. 自分の考えを明確に表現し、説明、解釈、または評価のために裏付けとなる詳細を提供する
6. 問題を調査する。地域的および世界的な文脈における概念、問題、または課題に取り組む
7. 調査結果を対象とする聴衆に提示する

ステップ3:プロジェクトを紹介し、学生を巻き込んでプロジェクトを形成する

学生にプロジェクトの要件を紹介し、学生とともにプロジェクトを作っていくフェーズです。
・導入は、PJの期日、要件、期待事項を発表し、印刷した情報を配布するといった簡単なものでよい
・導入段階では、学生が共同作業を行うための準備をすることもある
・生徒の意見を聞く前に、プロジェクトを計画しすぎないことが重要
・PJの方向性の形成に生徒を参加させることは、意欲を育み、責任と自主性を促す
・パフォーマンス基準についての話し合いに生徒を参加させるのも良い
・学際的なプロジェクトやテーマに基づく単元は、生徒が重要な概念に取り組むよう導く組織的な問いや問題提起によって枠組みを決めると、より効果的になることが多い

プロジェクトを教師側で計画しすぎない、というのは難しい点ですがポイントだと思いました。
全く計画していないと、生徒達は路頭に迷うこともになりかねませんが、
あまりにガチガチに教師側で計画してしまっていると、生徒が考える余地が少なくなってしまいます。
生徒の能力とプロジェクトの難易度を考慮して、バランスを取る必要がありますね。

ステップ4:教師主導の活動と生徒主体の活動をバランスよく選択する

上述した教師の介入のバランスがこちらでも出てきます。
要は、「教師が行うこと」「個々人で行うこと」「チームで行うこと」のバランスをとるということです。
・プロジェクトは、教師が提示するものではなく、生徒が行うものである
・上記を明示するために、グリッド(Figure3.4)が活用できると紹介されていました
figure3.4
私が実践している際には、個人タスクとチームタスクは明確に示してはいましたが、教師側で何をどこまで行うかは意図して明示はしていなかったため、今後導入してみようと思いました。

ステップ5:プロジェクトのタイムラインとマイルストーンを設定する

プロジェクト全体のタイムライン、マイルストーンを設定します。
・一般的なプロジェクトの期間は2週間から8週間である
・プロジェクトに費やす時間を決定する際、教師は、コースのカリキュラムのどれだけをプロジェクトで扱うか、また、生徒が州や国の基準に対応した計画的な活動を実施するためにどれだけの時間が必要かを考慮しなければならない
・タイムラインの例については、以下が参考となります
timeline
タイムライン、マイルストーンを決めておくことはMustだと思います。
生徒側でマイルストーンを設定することも大きな学びになるとは思いますが、大まかなポイントは教師側で決めておいた方が無難ではあると思います。
また、本書では記載はありませんでしたが、スケジュールに遅れた場合のバッファーは儲けておいた方が良いと述べていた論文も以前ありましたので、その辺もポイントかもしれません。

ステップ6:計画、報告、フィードバックツールを使って、生徒の進捗状況を監視する

個人またはチームが予定通りに進行しているかどうかを監視するフェーズです。
状況を把握するために、以下のようなものが活用できます。
・個人とチームの両方の報告書
・中間成果物
・共有セッション
・プロジェクト提案書
・参考文献リスト 
・個人課題チェックリスト 
・インタビュー計画ページ
・プロジェクト完了への貢献についての相互評価

学生個人・チームの進捗を把握するためには、色々な方法がありますね。
私の場合は、毎回の授業の最後に各チームの進捗を報告してもらう、毎回授業後アンケートをとる、チーム課題である議事録やプロジェクトシートを見ながら状況を把握するようにしていました。
各チームとのミーティング(セッション)は、授業内で回りながら声をかける程度だったので、きちんと設計してもよいかなと思いました。

ステップ7:プロジェクトの影響と学習成果を評価する

教師または教育チームは、プロジェクト中に完了した生徒の課題をさまざまな角度から評価することができます。
・通常、プロジェクトには複数の評価方法が含まれる。
・PJ全体の評価のため、従来のテストとパフォーマンスベースの評価を組み合わせることがよくある
・評価は個々の課題、または個人とグループの成果の組み合わせに基づいて行われる
・(評価される成果の例)
 「調査対象の選定」「様々な情報源からの情報収集」「情報の分析と解釈」
 「妥当な一般化、結論、推奨事項を導き出し」「調査結果の報告、伝達」
・(その他、以下についても評価される)
 「態度」「内容知識」「技能開発」「仕事の習慣」
・学生の学習をうまく実証する鍵は、プロジェクト開始時に学生に教師の期待を伝えることである
・評価課題と採点基準の形成に学生を参加させる
・また、質の高い製品やパフォーマンスのモデルだけでなく、優秀ではないモデルも見せる
・成功の基準を確立するために、早い段階から生徒を参加させる

評価のポイントは複数の評価方法を組み合わせること(個人、チーム、定量、定性、自己、他者など)がポイントになると思います。
また、基準を引き上げるため、前年度の優良事例は紹介していましたが、優秀ではないモデルを見せることも効果的であるとのことなので、これはやってみようと思いました。

ステップ8:収集したデータを振り返り、次のステップを計画する

最後のステップは、今後に向けた改善のためのリフレクションです。
・プロジェクトの評価では、ほとんどの場合、改善の可能性が示唆される
・生徒の参加と達成度について十分に振り返ることは、教師がプロジェクト計画を練り直すのに役立つ
・以下は、新しく完了したプロジェクトを振り返る際に、教師または指導チームが提起する反省的な質問の例である
 「何がうまくいったか?」
 「何がうまくいかなかったか?」
 「次回は、どのような点を改善するか?」
 「私たちの生徒は...に苦労した」
 「より良い準備のために何ができるか?」
 「次回は何を追加するか?」
 「次回は何を省くか?」
・教師は、プロジェクトの効果に関する全体的な評価も行う
・以下は、チームが尋ねる可能性のある質問である。
・適切さ:選択されたPJの種類は、意図された学習目標を達成するのに適した手段であったか?
・十分さ:PJ活動は、望ましい知識や技能の使い方を訓練するのに十分だったか?
・有効性:成果物やパフォーマンスは、生徒の理解を評価し、知識や技能の活用を実証する有効な方法であったか?

授業をやりっぱなしにせず、しっかりとリフレクションし、次回に活かすようにすることでより良いプロジェクト学習が作り上げられていきます。
教師もまた、「プロジェクト学習を作るというプロジェクト」を実施しているわけですね。
私自身も担当するPBLについて、毎年様々な失敗を経験しながら、少しずつ改善を加え、3,4年目にしてやっとそれなりの形に整ってきた印象です。
リフレクションも自分だけでなく、協力くださる外部の関係者など様々な視点を取り入れた方が良いと思います。


これで、本書籍のまとめは完了となります。
個人的にすごくヒットだったのは、第2章の「PBLのプロファイル」でした。
様々なPBLの種類が紹介されていてアイデアが膨らみましたし、それらの手法がどの年代に適しているかも第3章で示されていました。
PBLは幼児〜大人まで実践できる効果的な学習手法ですが、やはり学習目標や年齢などにより適した手法は異なってきます。
この辺りをより解像度高く見れるようになったという点で、本書からは大きな気づきをいただいたと感じました。
--以下、プライベートモード)にて翻訳版をメモしてます---

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