サービス・ラーニング関連の論文を当たっていると、大学において効果的な教育実践の10形態がまとめられた論文を発見したので軽くレビューします。被引用数はなんと約6,000!
論文はこちら(被引用数:5,980件 (2023年10月16日時点))
Kuh, G. D. (2008). Excerpt from high-impact educational practices: What they are, who has access to them, and why they matter. Association of American Colleges and Universities, 14(3), 28-29.
まず、著者のGeorge D. Kuhについて調べてみました。
どうやら、アメリカの高等教育研究者で、大学の教育改革に関する研究で有名なようで、アメリカで広く使われている全米学生エンゲージメント調査(National Survey of Student Engagement :NSSE)の創設ディレクターを務められていたそうです。
学生エンゲージメント、アセスメント、組織改善、大学文化について幅広く執筆し、米国内外の大学350校にコンサルティングを行っている、まさに高等教育の改革者ですね。
当論文は、そんな著者が、効果的な教育実践の10形態をまとめたものになります。
まず、冒頭では以下のように述べられています。
以下の教育・学習法は、広く検証され、さまざまな背景を持つ大学生にとって有益であることが示されている。これらの実践方法は、学習者の特性や教育機関の優先事項や状況によって、さまざまな形をとる。多くのキャンパスでは、これらのようなアクティブ・ラーニングへの学生の参加を評価することで、学生の累積学習に対する実践の貢献を評価することが可能になっている。しかし、ほとんどすべてのキャンパスにおいて、アクティブ・ラーニングの活用は体系化されておらず、学生の学習に悪影響を及ぼしている。以下に示すのは、教育研究が示唆する、学生の定着率と学生のエンゲージメントを高める効果の高い実践方法の簡単な説明である。
そんな効果的な教育実践の10形態とは以下の通り。
- 初年次セミナーと体験(First-Year Seminars and Experiences)
- 共通の知的経験(Common Intellectual Experiences)
- 学習コミュニティ(Learning Communities)
- ライティング短期集中コース(Writing-Intensive Courses)
- 協同課題とプロジェクト(Collaborative Assignments and Projects)
- 学士課程の研究(Undergraduate Research)
- 多様性/グローバル学習(Diversity/Global Learning)
- サービス・ラーニング、地域密着型学習(Service Learning, Community-Based Learning)
- インターンシップ(Internships)
- キャップストーン・コースとプロジェクト(Capstone Courses and Projects)
初年次教育については、私立大学の経常費補助金(教育の質に係る客観的指標)の項目にもなっていますね。
初年次セミナーとサービス・ラーニングは、本学でもある程度実施しているのですが、学習コミュニティ作りはもっと色々工夫できそうだなと思いました。
各手法の翻訳を全て載せるわけにはいかないので、サービス・ラーニングの部分だけ抜粋します。
サービス・ラーニング、地域密着型学習(Service Learning, Community-Based Learning)
初年次セミナーとサービス・ラーニングは、本学でもある程度実施しているのですが、学習コミュニティ作りはもっと色々工夫できそうだなと思いました。
各手法の翻訳を全て載せるわけにはいかないので、サービス・ラーニングの部分だけ抜粋します。
サービス・ラーニング、地域密着型学習(Service Learning, Community-Based Learning)
このようなプログラムでは、地域社会のパートナーとのフィールドベースの「体験学習」が指導戦略であり、しばしばコースの必修科目となっている。これは、カリキュラムで学習している問題や、地域社会の問題を分析し解決するための継続的な取り組みを、学生に直接体験させるというものである。このようなプログラムの重要な要素は、学生が実社会で学んだことを実践し、教室で奉仕活動の経験を振り返る機会を持つことである。このようなプログラムは、地域社会に何かを還元することが大学での重要な成果であり、地域社会のパートナーと協力することが、市民、仕事、そして人生にとって良い準備になるという考えをモデルとしている。
「地域社会のパートナーと協力することが、市民、仕事、そして人生にとって良い準備になる」
この考えは正に自分も感じていたこと。
社会の一員になっていくプロセス(正統的周辺参加)として、サービス・ラーニングやインターンシップは特に有効だと感じています。
最後に、著者のKuhについて調べていると、以下のようなことにも着手されていたようなので、また別途まとめて考察してみたいと思います。
・「The Essential Learning Outcomes」全学生が大学教育において獲得すべきラーニング・アウトカムズ
・「Valied Assessment of Learning in Undergraduate Education(VALUE: 学士課程教育における学習の効果的な測定)」:学習の質を評価することを目的としたVALUEルーブリック
【参考文献】
Kuh, George D. (2008). “High-impact educational practices: What they are, who has access to them, and why they matter.” AAC&U, Washington, D.C. 34 pp.
この考えは正に自分も感じていたこと。
社会の一員になっていくプロセス(正統的周辺参加)として、サービス・ラーニングやインターンシップは特に有効だと感じています。
最後に、著者のKuhについて調べていると、以下のようなことにも着手されていたようなので、また別途まとめて考察してみたいと思います。
・「The Essential Learning Outcomes」全学生が大学教育において獲得すべきラーニング・アウトカムズ
・「Valied Assessment of Learning in Undergraduate Education(VALUE: 学士課程教育における学習の効果的な測定)」:学習の質を評価することを目的としたVALUEルーブリック
【参考文献】
Kuh, George D. (2008). “High-impact educational practices: What they are, who has access to them, and why they matter.” AAC&U, Washington, D.C. 34 pp.
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