アドベンチャー活動のファシリーテーションをする上で有益な「ディシジョンツリー(The Decision Tree)」について考察します。
このディシジョンツリーは、「選択のための樹形図」と言われていて、
グループに対して適切なアドベンチャー活動を選択するためのツールです。
ディシジョンツリーは、6つのステップで構成されます。
1:何を観察するか?(GRABBSSアセスメント)
2:グループに何を学んで欲しいのか?(フルバリュー行動)
3:適切な活動は何か?(活動の選択)
4:この活動が持つ意味は?(活動の構成)
5:この活動にどのような意味づけをするか?(枠づけ)
6:適切な活動の流れは?(アセスメントのための活動、シークエンス)
こちらの書籍のp.261で全ステップを1つの表にまとめてくれていたので、自分用に作成したものを貼っておきます。
※アメリカのものをそのまま翻訳しているので、日本の文化には馴染みのないものも含まれていますが一旦そのまま記載しました。
各ステップをひとつずつ見ていきます。
相手を知らずして、そのグループに適切な活動を選択することはできません。
観察する際、GRABBSSアセスメントの枠組みが役立ちます。
・Goals(目標):個人の成長やグループに焦点が当たっているか、目的を思い出させる
・Readiness(レディネス):これから行う活動のスキルがどのくらいあるか
・Affect(感情):グループや個人が体験した(出てきた)感情
・Behavior(行動・態度):グループやメンバーが取っている行動
・Body(身体):参加者の身体能力
・Setting(背景):活動が行われる場所、参加者の生い立ち(文化など)
・Stage of Development(発達段階):成長の過程において個人やグループが今現在いる場所
それのヒントを手がかりに、以下のフルバリュー行動の中から活動領域を決定します。
・今ここに(Be Here):他者といることとひとりでいること
【構成要素】存在感、参加、つながり、楽しさ(Fun)
・安全に(Be Safe):信頼と不信
【構成要素】注意、責任、コミットメント、境界、関係性
・目標に向かう(Commit to Goals):自発性/達成感と失敗/絶望
【構成要素】同一であることの確認、自発性、助けを利用する、評価
・正直に(Be Honest):アイデンティティ/個性化と役割混乱
【構成要素】アセスメント、フィードバックと勇気
・手放して前に進む(Let Go and Move On):区別と依存
【構成要素】チャレンジとリスク、受け入れることと赦すこと、転移と変化
・自分も他者も大切にする(Care for Self and Others):個人的/社会的責任と自分への没頭
【構成要素】バランス、セルフケア、より大きなコミュニティへの貢献、大いなるもの
例えば、アセスメントした結果、「つながり」や「楽しさ」が必要だと感じた場合は、「今ここに(Be Here)」が活動領域として選択される、というイメージです。
書籍の中では、たくさんの例が紹介されていましたので、表にまとめました。
知らないアクティビティが盛りだくさんなので、色々試してみながら自分の引き出しに入れていきたいです。
ファシリテーターが、その活動が持つ構造の意味に気づいていることが、活動を意味あるものにするために非常に有効だと言われています。
一般的なアドベンチャー活動の構造と解説は以下のように紹介されていました。
例えば、モホークウォークの比喩の例は以下のように紹介されていました。
「人生の中には知的なリスクをとらなければならないときがたくさんあるよね。学校では、教室で先生の質問に答えるために手をあげるときに注目を浴びることもリスクになるかもしれない。家の中では、自分がした間違いを親に素直に話すことかもしれない。周りの人たちに支えられていることを感じていて、その人たちがすぐに決めつけたり、怒ったり、じれったそうにしていたり、皮肉を言ったりしないことがわかっていたら、そんな挑戦は簡単なことになる。さて、ワイヤーロープに乗って旅をしよう。成功するためには安全を感じられなくてはならない。お互いの安全を守るためにグループとしてできることは何だろう?」
比喩をうまく使いこなすことで、体験から学びへの太い橋渡しができるようになりたいです。
活動の流れ(フロー)とは、アドベンチャーワークを活動案に盛り込むための、事前に選んだシークエンス(組み立て)のことを指します。
アセスメントを通して、難易度、タイミング、シークエンス、リーダーシップ、枠づけ、テーマや問題が明らかになり、適切な流れになるように活動の組み立てを修正していきます。
元々予定していた流れが、アセスメントを通して変更することも頻繁にあるようです。
以上が、6つのステップです。
ステップ全体をまとめると、GRABBSSアセスメントのレンズを通して、個人・グループを観察し、必要な学びの領域を特定し、それに合う活動を選択、活動・体験からの学びが参加者に届きやすいような比喩とともに説明し、その都度流れを適切なのもになるよう修正していく、というイメージでしょうか。
大学の授業などでも、PAのアクティビティをよく取り入れているのですが、正直これらのステップをほとんど考えられていませんでした。
意識せずともこれらの流れが実践できるようになることを目指して、今後の授業では常にこのステップを意識し、頭と体に叩き込んでいきたいと思います。
このディシジョンツリーは、「選択のための樹形図」と言われていて、
グループに対して適切なアドベンチャー活動を選択するためのツールです。
ディシジョンツリーは、6つのステップで構成されます。
1:何を観察するか?(GRABBSSアセスメント)
2:グループに何を学んで欲しいのか?(フルバリュー行動)
3:適切な活動は何か?(活動の選択)
4:この活動が持つ意味は?(活動の構成)
5:この活動にどのような意味づけをするか?(枠づけ)
6:適切な活動の流れは?(アセスメントのための活動、シークエンス)
こちらの書籍のp.261で全ステップを1つの表にまとめてくれていたので、自分用に作成したものを貼っておきます。
※アメリカのものをそのまま翻訳しているので、日本の文化には馴染みのないものも含まれていますが一旦そのまま記載しました。
各ステップをひとつずつ見ていきます。
ステップ1:何を観察するか?(GRABBSSアセスメント)
最初にすべきことは、これから関わろうとする個人、グループについて観察することです。相手を知らずして、そのグループに適切な活動を選択することはできません。
観察する際、GRABBSSアセスメントの枠組みが役立ちます。
・Goals(目標):個人の成長やグループに焦点が当たっているか、目的を思い出させる
・Readiness(レディネス):これから行う活動のスキルがどのくらいあるか
・Affect(感情):グループや個人が体験した(出てきた)感情
・Behavior(行動・態度):グループやメンバーが取っている行動
・Body(身体):参加者の身体能力
・Setting(背景):活動が行われる場所、参加者の生い立ち(文化など)
・Stage of Development(発達段階):成長の過程において個人やグループが今現在いる場所
ステップ2:グループに何を学んで欲しいのか?
グループをGRABBSSアセスメントの視点で観察すると、どのような学びが必要かが見えてきます。それのヒントを手がかりに、以下のフルバリュー行動の中から活動領域を決定します。
・今ここに(Be Here):他者といることとひとりでいること
【構成要素】存在感、参加、つながり、楽しさ(Fun)
・安全に(Be Safe):信頼と不信
【構成要素】注意、責任、コミットメント、境界、関係性
・目標に向かう(Commit to Goals):自発性/達成感と失敗/絶望
【構成要素】同一であることの確認、自発性、助けを利用する、評価
・正直に(Be Honest):アイデンティティ/個性化と役割混乱
【構成要素】アセスメント、フィードバックと勇気
・手放して前に進む(Let Go and Move On):区別と依存
【構成要素】チャレンジとリスク、受け入れることと赦すこと、転移と変化
・自分も他者も大切にする(Care for Self and Others):個人的/社会的責任と自分への没頭
【構成要素】バランス、セルフケア、より大きなコミュニティへの貢献、大いなるもの
例えば、アセスメントした結果、「つながり」や「楽しさ」が必要だと感じた場合は、「今ここに(Be Here)」が活動領域として選択される、というイメージです。
ステップ3:適切な活動は何か?(活動の選択)
領域が決まれば、それに対応するアクティビティを選択します。書籍の中では、たくさんの例が紹介されていましたので、表にまとめました。
知らないアクティビティが盛りだくさんなので、色々試してみながら自分の引き出しに入れていきたいです。
ステップ4:この活動が持つ意味は?(活動の構成)
アドベンチャー活動の中には、身体的・感情的な構造が含まれていて、活動自体があらかじめ意味づけを持っています。ファシリテーターが、その活動が持つ構造の意味に気づいていることが、活動を意味あるものにするために非常に有効だと言われています。
一般的なアドベンチャー活動の構造と解説は以下のように紹介されていました。
- バランス(バランスを取る):集中、理解、他者の重要性
- 輪になる(サークル):形状自体が「コミュニティ」と「平等な立場」を意味している。輪は、「サポート」「独立」「自立」「相互関係」を意味する
- クライミング:「限界を打ち破ること」「至高体験(ピークエクスペリエンス)」「知的なリスクテイク」を意味する
- 競う:「個人とグループの持つエネルギーとパワー」を意味する
- 築く:グループが自らの能力を継続的に高めていくという概念を示している。アドベンチャーの分野では、実体験(doing)からグループが構築されていく。「築く」とは成果物を必要としない「作り上げていく」活動
- 渡る・横断する:自分たちが持っているスキルと関係性を駆使して、今いる場所から新しい場所に移動すること。「現状から離れる」「新しい世界に達する」「新しさ」「つながり」などを意味する
- 自由を奪う:互いに委ね合うことを学ぶ。失ったものを補うために持っている資源を有効に使うことも学ぶ。「失うこと」「依存すること」を意味する
- プロジェクトの実行:地域のために活動が行われることが多く、自分自身と他者を大切にするというフルバリュー行動の大切さを振り返る。「実際に何かを作り上げていく活動」と「コミュニティを巻き込む」こと
- グループ:「関係性」「コミュニケーション」「親密さ」
- 個性化:グループに属する個々のメンバーをエンパワーする。活動の個性化とは体験における「個人的な意義」を意味する
- 旅:グループと個人の歴史を「作り上げること」と「共有すること」を意味する
- 手放す(倒れる):「こだわらない」「リスク」「信頼」「寛容」を意味する。「手放す」はとてもパワフルな比喩的な活動を構成するものであり、アドベンチャープログラムにおける信頼関係を構築する活動の全てに流れている
- ごちゃごちゃ:混乱した状況からいかにして秩序を築いていくかを促進させる。「混乱」と「体系化・まとめる」ことを意味する
- 解決:アドベンチャー活動に一貫していることは「問題を解決する必要性」。「基本的な人間の原動力」「人的資源の豊富さ」「創造性」を意味する
- アンバランス(不安定):「混乱」「新しさ」「変容の機会」を持つことを意味する
ステップ5:この活動にどのような意味づけをするか?(枠づけ)
ステップ4で、活動そのものが意味を持っていると説明したところですが、ファシリテーターは比喩を使うことで、その意味をより参加者に協力に伝達することができます。例えば、モホークウォークの比喩の例は以下のように紹介されていました。
「人生の中には知的なリスクをとらなければならないときがたくさんあるよね。学校では、教室で先生の質問に答えるために手をあげるときに注目を浴びることもリスクになるかもしれない。家の中では、自分がした間違いを親に素直に話すことかもしれない。周りの人たちに支えられていることを感じていて、その人たちがすぐに決めつけたり、怒ったり、じれったそうにしていたり、皮肉を言ったりしないことがわかっていたら、そんな挑戦は簡単なことになる。さて、ワイヤーロープに乗って旅をしよう。成功するためには安全を感じられなくてはならない。お互いの安全を守るためにグループとしてできることは何だろう?」
比喩をうまく使いこなすことで、体験から学びへの太い橋渡しができるようになりたいです。
ステップ6:適切な活動の流れは?(アセスメントのための活動、シークエンス)
ステップ6は、活動の流れを考えるフェーズです。活動の流れ(フロー)とは、アドベンチャーワークを活動案に盛り込むための、事前に選んだシークエンス(組み立て)のことを指します。
アセスメントを通して、難易度、タイミング、シークエンス、リーダーシップ、枠づけ、テーマや問題が明らかになり、適切な流れになるように活動の組み立てを修正していきます。
元々予定していた流れが、アセスメントを通して変更することも頻繁にあるようです。
以上が、6つのステップです。
ステップ全体をまとめると、GRABBSSアセスメントのレンズを通して、個人・グループを観察し、必要な学びの領域を特定し、それに合う活動を選択、活動・体験からの学びが参加者に届きやすいような比喩とともに説明し、その都度流れを適切なのもになるよう修正していく、というイメージでしょうか。
大学の授業などでも、PAのアクティビティをよく取り入れているのですが、正直これらのステップをほとんど考えられていませんでした。
意識せずともこれらの流れが実践できるようになることを目指して、今後の授業では常にこのステップを意識し、頭と体に叩き込んでいきたいと思います。
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