以前、アドベンチャー活動のディシジョンツリーについてまとめましたが、以下の同書籍にフィードバックシートが紹介されていたので、こちらについてもまとめたいと思います。


フィードバックシートは、アドベンチャーウェーブの中のディブリーフィングの際に使用します。
アドベンチャーウェーブとは、以下の3つで構成されます。
①ブリーフィング:グループの土台づくり(グラウンディング)、これから行う活動の枠づけ
②実体験(doing):方向づけ、共に創造する
③ディブリーフィング:リフレクション、一般化

この①②③が波のように連続するそのプロセスが、大きな学びを生み出す構造となっています。
ちなみに、この連続体は、別の表現をすれば体験学習/経験学習サイクルとも重なると言われています。
(体験-ふりかえり-抽象化と一般化-転移-再び体験へ)

アドベンチャーウェーブのディブリーフィングは、経験学習サイクルで言うところの「ふりかえり-抽象化と一般化」の部分に該当し、学びを日常生活に転移させるために非常に重要な役割を担っています。
そのふりかえり・リフレクションの際に活用できるのが、このフィードバックシートです。
feedback_sheet

上述の書籍の中では、2種類が紹介されていましたが、横に並べて1枚にしてみました。(p.459,460)
こちらのシートは、「送り手が記入してグループの他のメンバーに渡す」という方法の他、「自分自身にフィードバック」する際にも活用することができます。
型があることで、的外れにならない、効果的なフィードバックがしやすくなりますね。
ちなみに、このシートの枠組みは、中原先生の言われるSBI情報にも重なるものがあると思いました。
・Situation:どのような状況で、どんな状況のときに 
・Behavior:どんな振る舞い・行動が  
・Impact:周囲やその仕事に対して、どんな影響をもたらしたのか。何がダメだったのか
【参考文献】



「グループの中に癒しと成長の場をつくる」では、シートと併せてフィードバックのポイントがいくつか書かれていたのでそちらもいくつかメモしておきます。

まず、効果的なフィードバックについてです。
【効果的なフィードバックとは】(p.454)
・建設的に(相手が必要であるものを考慮に入れ、直接的な状況に関連したことに焦点を当てる)
・簡潔に(評価はせず描写的に、一般的なことではなく具体的に、簡潔な言葉で)
・思いやりをもって(受け手のレディネスを理解、できないことよりも強みに焦点)
・具体的に(一般的なことにはあまり意味はなく、ほとんど理解されない)

次に、I(アイ)メッセージです。
こちらの概念は、フィードバックセクションの土台となっています。
【I(アイ)メッセージに関する4項目】(マーク・マーレイ)(p.454)
①観察したことを具体的に。判断せずに明確に言う
②行動体験に沿って、感情を明らかに
③行動によって送り手に起こる(起こった)影響を明らかに
④「これは私の認識で、あなたが変える必要はないのですが」という表現を使って寄り添う

最後に、フィードバックの基本原理です。
【フィードバックの基本原理】(p.455-456)
①フィードバックを送る人の名前を使う
②否定的なフィードバックと肯定的なフィードバックのバランスをできるだけ取る
③「これは私の認識で、あなたは変えなければならないのではないのですが」と受け手に伝えておく
④観察した行動をできるだけ具体的にする。一方的な判断は最小限に留め、明確に言う
⑤どの行動があなたにその感情を持たせたかを明確にする。フィードバックは言いすぎても控え目すぎても、その感情を明確にできない。
⑥一旦フィードバックを送ったら、聞く側になる
⑦行動は感情レベルに影響を与えているので、あなたのメッセージは感情と一致した形で届けられるということを理解しておく
⑧解決策を押しつける前に、その状況に対する最善策を考える時間を受け手に与える
⑨あなたは贈りものを送り、その価値や意味は受け手にすぐに理解されないかもしれないということを理解しておく
⑩他者に対するあなたのフィードバックは、自分へのフィードバックになるかもしれない。正直さは正直さを生む。何を学ぶべきかを教えてくれる

プロジェクトアドベンチャーのアクティビティは、非常に楽しく、チーム作りにも大いに活用できますが、良きリフレクションができれば学びはさらに広がり、深まります。
そのために重要な役割をなすフィードバックであり、それを補強するのがフィードバックシートです。
授業でもガンガンに使っていこうと思います。