フローのグループ版である「グループ・フロー(Group Flow)」についての論文レビューです。
論文はこちら(被引用数:62件 (2024年2月26日時点))
Sawyer, K. (2015). Group Flow and Group Genius. NAMTA Journal, 40(3), 29-52.
著者はKeith Sawyer。博士課程では、フローを提唱したチクセントミハイの指導を受けていたそうです。
フロー理論は有名ですよね。
Sawyerは、グループフローの理想的な条件として、以下の10個を挙げています。
①グループ目標(group goals)
②傾聴(close listening)
③完全な集中(complete concentration)
④コントロール(beingin control)
⑤エゴの融合(blending egos)
⑥平等な参加(equal participation)
⑦親交(Familiarity)
⑧コミュニケーション(communication)
⑨進歩志向(being progress-oriented)
⑩失敗の可能性(The potential for failure)
それぞれ、様々な組織・グループのケースも含めて記載されており、かなりイメージしやすかったです。
個別に簡易にまとめます。
【メモ】
「グループの創造性と即興行動による自発的なコラボレーションをグループ・フローと捉え、組織が最適なレベルで機能するために活用できるとしている」(Keith Sawyer)
論文はこちら(被引用数:62件 (2024年2月26日時点))
Sawyer, K. (2015). Group Flow and Group Genius. NAMTA Journal, 40(3), 29-52.
著者はKeith Sawyer。博士課程では、フローを提唱したチクセントミハイの指導を受けていたそうです。
フロー理論は有名ですよね。
チクセントミハイは、人がフローに入りやすい4つの特徴を以下のように述べています。
①自分のスキルがタスクの難易度に合っている
②ゴールが明確
③ゴールにどれだけ近づいているかというフィードバックが常に即座にある
①自分のスキルがタスクの難易度に合っている
②ゴールが明確
③ゴールにどれだけ近づいているかというフィードバックが常に即座にある
④タスクに完全に集中できる自由があるとき
更に面白い発見は、チクセントミハイが、最もフローになりやすい状況として
「人々がフローを経験する最も一般的な場所は、他者との会話であること」
と述べていること。特に管理職は、会話をしているときが最もフローになりやすいそうです。
「会話はフローにつながり、フローは創造性につながる」
非常に面白いですよね。
仕事でも学校でも効果的に会話を活用しフローを起こしやすい状況が作れそうです。
さて、上記のフローについて、著者のSawyerは、
「グループ自体がフロー状態になるのだろうか?」
「グループ・フローのようなものがあるのだろうか?」
という問いを立て、概念をまとめたものがこちらの論文になります。更に面白い発見は、チクセントミハイが、最もフローになりやすい状況として
「人々がフローを経験する最も一般的な場所は、他者との会話であること」
と述べていること。特に管理職は、会話をしているときが最もフローになりやすいそうです。
「会話はフローにつながり、フローは創造性につながる」
非常に面白いですよね。
仕事でも学校でも効果的に会話を活用しフローを起こしやすい状況が作れそうです。
さて、上記のフローについて、著者のSawyerは、
「グループ自体がフロー状態になるのだろうか?」
「グループ・フローのようなものがあるのだろうか?」
Sawyerは、グループフローの理想的な条件として、以下の10個を挙げています。
①グループ目標(group goals)
②傾聴(close listening)
③完全な集中(complete concentration)
④コントロール(beingin control)
⑤エゴの融合(blending egos)
⑥平等な参加(equal participation)
⑦親交(Familiarity)
⑧コミュニケーション(communication)
⑨進歩志向(being progress-oriented)
⑩失敗の可能性(The potential for failure)
それぞれ、様々な組織・グループのケースも含めて記載されており、かなりイメージしやすかったです。
個別に簡易にまとめます。
1. グループの目標(The Group's goal)
・問題解決型と問題発見型
(問題解決型)
・ビジネスチームでは、ゴールがよく理解され、明示できるのであれば、問題解決の創造的な作業となる
・グループのメンバーは、以前に共に仕事をしたことがあり、同じ知識や前提を多く共有し、説得力のあるビジョンや共通の使命を持っていれば、そのような目標に向かっている間、フローに入る可能性が高くなる
・30社の500人以上の専門家と管理職を対象にしたある調査によると、効果的なチーム・パフォーマンスを妨げる最大の障壁は、目標が不明確であることだった
(問題解決型)
・ビジネスチームでは、ゴールがよく理解され、明示できるのであれば、問題解決の創造的な作業となる
・グループのメンバーは、以前に共に仕事をしたことがあり、同じ知識や前提を多く共有し、説得力のあるビジョンや共通の使命を持っていれば、そのような目標に向かっている間、フローに入る可能性が高くなる
・30社の500人以上の専門家と管理職を対象にしたある調査によると、効果的なチーム・パフォーマンスを妨げる最大の障壁は、目標が不明確であることだった
(問題発見型)
・ジャズや即興演奏:比較的構造化されておらず、唯一の目標は、パフォーマンスそのものに内在するもので、うまく演奏し、聴衆を楽しませること(アンサンブルに明確なゴールはない)
・これは、問題発見型の創造性、問題を解決しながら問題を「発見」し、定義しなければならない
・即興的イノベーションの鍵は、パラドックスを管理すること、つまり、チームに集中力を与える目標を設定すること
・3Mのポストイット開発:賛美歌集から紙のしおりが落ちて何度も悔しい思いをしていたところ、Silverの接着剤を使えば落ちないしおりが作れることに気づき、ポストイットが誕生。これは問題解決型の創造性とは正反対で、正しい問題を思いつくことが秘訣
・BMW:新製品開発に向けて、複数のチームをコンペティションに参加させる。競争とゆるやかに指定された目標が混ざり合うことは、集団の天才を生み出すのにちょうどいいレシピとなりうる
・ジャズや即興演奏:比較的構造化されておらず、唯一の目標は、パフォーマンスそのものに内在するもので、うまく演奏し、聴衆を楽しませること(アンサンブルに明確なゴールはない)
・これは、問題発見型の創造性、問題を解決しながら問題を「発見」し、定義しなければならない
・即興的イノベーションの鍵は、パラドックスを管理すること、つまり、チームに集中力を与える目標を設定すること
・3Mのポストイット開発:賛美歌集から紙のしおりが落ちて何度も悔しい思いをしていたところ、Silverの接着剤を使えば落ちないしおりが作れることに気づき、ポストイットが誕生。これは問題解決型の創造性とは正反対で、正しい問題を思いつくことが秘訣
・BMW:新製品開発に向けて、複数のチームをコンペティションに参加させる。競争とゆるやかに指定された目標が混ざり合うことは、集団の天才を生み出すのにちょうどいいレシピとなりうる
2. 傾聴(Close listening)
・各メンバーは、自分自身がパフォーマンスに貢献しながらも、他のメンバーに対してオープンで耳を傾けている
・即興演奏家が「deep listening」と呼ぶように、全員が完全に参加しているとき、グループのフローは生まれやすくなる
・参加者の一人または複数が、ゴールに到達するための方法について先入観を持っている場合、イノベーションは妨げられる
・参加者の一人または複数が、ゴールに到達するための方法について先入観を持っている場合、イノベーションは妨げられる
・グループ・フローを促進したマネージャーの例:「彼女はミーティングで、私たちが何をしたのか、なぜそれをしたのかに耳を傾け、対話の間中、的確な質問をしていた」
・耳を傾ける人は活力を与え、人を活気づける人は高い業績を上げる
3. 完全な集中(Complete concentration)
・グループ・フローは、注意がタスクに集中し、他のことが気にならなくなったときに起こりやすい
・小さな苛立ちには気づかず、タスク後に待っているかどうかもわからない外的報酬は忘れられる
・グループ・フローでは、管理職が設定した期限を守ることではなく、仕事から生まれる自然な進歩に集中する
・グループ・フローは、厳しくプレッシャーのかかる締め切りの前では衰える傾向にある
・小さな苛立ちには気づかず、タスク後に待っているかどうかもわからない外的報酬は忘れられる
・グループ・フローでは、管理職が設定した期限を守ることではなく、仕事から生まれる自然な進歩に集中する
・グループ・フローは、厳しくプレッシャーのかかる締め切りの前では衰える傾向にある
・創造性はプレッシャーの少ない職場環境と関連している(ハーバード大学テレサ・アマービル)
・フローを鼓舞するチャレンジとは、タスクそのものに内在するチャレンジである
・フローを鼓舞するチャレンジとは、タスクそのものに内在するチャレンジである
・グループ・フローは、一時的であれ仮想的であれ、グループ活動とそれ以外のものとの間に境界線を引ける場合に起こりやすくなる
・企業は、グループ・フローのための特別な場所を特定するか、パフォーマンスへの移行を区切る短い「リハーサル」または「ウォームアップ」期間に取り組むべきである
・企業は、グループ・フローのための特別な場所を特定するか、パフォーマンスへの移行を区切る短い「リハーサル」または「ウォームアップ」期間に取り組むべきである
・完全に集中することの弊害:他の重要な優先事項がおろそかになってしまうこと
・Crookはフローを「私がやっていることすべての中心にある」と述べている
ここまで。
グループ・フローが起こりやすい条件を知れたことで、授業や研修などの学びの場面においてもこれらの要素を取り入れることができるように思いました。
授業設計、レクチャー・フィードバック、グループの関係性作りの3つのカテゴリーでそれぞれ分けてメモしておきます。
(設計上のポイント)
①グループ目標:明確な目標を設定、見つけられるような仕掛け
③完全な集中:クリアするために高い集中力が求められる課題・プロジェクトの設計
④コントロール:参加者にコントローラーを渡す。自律性、有能性、関連性を感じさせる
⑥平等な参加:参加者全員に平等な役割を付与
⑩失敗の可能性:失敗のリスクを内包
(レクチャー・フィードバックのポイント)
②傾聴:メンバーの声を聞く重要性を伝える
⑤エゴの融合:自己認識と活動との結びつけ
⑨進歩志向:常に前進し続けるような働きかけ、フィードバック
(グループの関係性作りのポイント)
⑦親交:メンバーを深く知れ、仲良くなれる機会づくり
⑧コミュニケーション:良質なコミュニケーションに繋がるチームビルディング
「人々がフローを経験する最も一般的な場所は、他者との会話である」という点もとても重要だと思いました。
他者との会話がフローを生み出すのだから、やはりそういう機会をもっと学習に盛り込んでいく必要性があるのでしょう。
また、グループの関係性が良くなるにつれてグループ・フローは起こりやすくなり、創造性も増しますが、2、3年経つと、グループは馴れ合いになり、その有効性は低下し始めるというのも面白い発見でした。
以前、Katz(1982)の論文で、組織にも寿命があるということをまとめましたが、それとも通じるものを感じました。同一組織内でグループ・フローが起こりやすい環境を維持するためには、クロスファンクショナルチームを組んだり、社外のメンバーを取り入れるなどして、メンバー間の新鮮さを維持することも大事なのだろうなと思いました。
学習でも仕事でもメンバーの「ピーク体験(PEAK EXPERIENCE)」を意図的に引き出すことができればより大きな効果を生むことは間違いないでしょう。そのためのヒントが本論文には多く書かれていたと思います。これらの内容を色々試してみたいです。
4. コントロールできる(Being in control)
・人は、自分の行動や環境をコントロールできているときにフローに入る
・つまり、上級管理職から自律性を認められない限り、集団はフローに入らないことを意味する
・つまり、上級管理職から自律性を認められない限り、集団はフローに入らないことを意味する
・グループ・フローは、人々が自律性、有能性、関連性を感じることで高まる
・チームに関する多くの研究で、チームの自律性がチームのパフォーマンスを予測する最大の要因であることがわかっている
・最も革新的なチームとは、メンバーがコントロールしていると感じつつ、同時に柔軟性を保ち、耳を澄ませ、常にグループの創発的な流れに従うことを厭わない、このパラドックスを管理できるチーム
・パタゴニアのCEOであるMichael Crookは、1995年に『Flow』を読み、以来パタゴニアでフロー志向の環境を構築し、スタッフに自律性を与えてきた(玄関には従業員のサーフボードが並び、「部下をサーフィンに行かせよう」という方針を打ち出した)・チームに関する多くの研究で、チームの自律性がチームのパフォーマンスを予測する最大の要因であることがわかっている
・最も革新的なチームとは、メンバーがコントロールしていると感じつつ、同時に柔軟性を保ち、耳を澄ませ、常にグループの創発的な流れに従うことを厭わない、このパラドックスを管理できるチーム
・Crookはフローを「私がやっていることすべての中心にある」と述べている
5. エゴの融合(Blending egos)
・ジャズ・ミュージシャンは、自分のエゴをコントロールする必要があることを知っている
・エゴをグループ・マインドに沈め、自分の声と深い傾聴のバランスをとる能力が求められる
・エゴをグループ・マインドに沈め、自分の声と深い傾聴のバランスをとる能力が求められる
・グループ・フローとは、すべてがひとつになる魔法の瞬間であり、グループが同調し、演奏者たちがひとつの心で考えているように見えるときのこと
・各パフォーマーは、深い傾聴と創造的な貢献のバランスを取りながら、即興のパラドックスを管理している
・各パフォーマーは、深い傾聴と創造的な貢献のバランスを取りながら、即興のパラドックスを管理している
・グループ・フローでは、各人のアイデアは、メンバーが出したアイデアの上に構築される
6. 平等な参加(Equal participation)
・グループ・フローは、最終的なパフォーマンスの集団的創造において、参加者全員が平等な役割を果たすときに起こりやすくなる
・メンバー全員のスキルレベルが同等でなければならない(プロとアマが同じチームでプレーすると、プロは退屈し、アマチュアはフラストレーションを感じるため、グループ・フローは生まれない)
・メンバー全員のスキルレベルが同等でなければならない(プロとアマが同じチームでプレーすると、プロは退屈し、アマチュアはフラストレーションを感じるため、グループ・フローは生まれない)
・管理職がフローにあるグループに参加する場合、他の人と同じように参加しなければならない
7. 親交(Familiarity)
・心理学者は、様々な仕事のチームを研究することで、親しさが生産性と意思決定の有効性を高めることを発見
・グループメンバーは、しばらく一緒にいると、共通言語や暗黙の了解を共有するようになる(暗黙知)
・グループメンバーは、しばらく一緒にいると、共通言語や暗黙の了解を共有するようになる(暗黙知)
・インプロでは、プレイヤー全員が暗黙知をマスターして初めて、グループ・フローが生まれる
・インプログループには、グループ・フローに貢献する3種類の共有知識がある(演奏の全体的な流れやアウトライン(ただし、各セグの正確な長さやトランジションのタイミングは即興)、リフのレパートリーを共有し、グループ内の相互作用を支配する暗黙の慣習)
・しかし、グループのメンバーが似すぎていると、フローは起こりにくくなる
・2、3年経つと、グループは馴れ合いになり、その有効性は低下し始める
・全てが共有されると、驚きがなくなり、細心の注意を払う必要がななり、傾聴の必要性が低くなる
・グループ・フローが薄れていき、たいていの場合、メンバーはフローの欠如に気づき、別の場所で新たな挑戦を見つけるために去っていくので、グループは解散する
・2、3年経つと、グループは馴れ合いになり、その有効性は低下し始める
・全てが共有されると、驚きがなくなり、細心の注意を払う必要がななり、傾聴の必要性が低くなる
・グループ・フローが薄れていき、たいていの場合、メンバーはフローの欠如に気づき、別の場所で新たな挑戦を見つけるために去っていくので、グループは解散する
・シカゴのインプロアンサンブルは、3ヶ月以上一緒に公演を続けることは稀
・組織は、創造的なグループの寿命におけるメカニズムを理解しておくべきである
・組織は、創造的なグループの寿命におけるメカニズムを理解しておくべきである
・親しみやすさは、問題解決型の創造性により役立つ
・特定の目標があり、参加者が十分な共通知識を共有していない場合、グループが目標を達成するのは非常に難しい
・グループの凝集性が高いほど、特に大きなグループ(7人以上)の場合、高いパフォーマンスと相関することが繰り返し発見されている
・特定の目標があり、参加者が十分な共通知識を共有していない場合、グループが目標を達成するのは非常に難しい
・グループの凝集性が高いほど、特に大きなグループ(7人以上)の場合、高いパフォーマンスと相関することが繰り返し発見されている
・グループが新しい問題を発見し定義する必要がある場合、共有する情報が多すぎることが問題になる
・問題発見型のグループは、多様性がある方がグループ・フローに乗りやすい
・問題発見型のグループは、多様性がある方がグループ・フローに乗りやすい
・問題解決型のグループは、より多くの暗黙知が共有されている方が効果的であることが多い
8. コミュニケーション(Communication)
・グループ・フローには絶え間ないコミュニケーションが必要である
・グループ・フローにつながるようなコミュニケーションは、会議室では起こらないことが多く、むしろ、廊下での自由奔放で自然発生的な会話や、終業後や昼食時の社交の場で起こることの方が多い
・Ericssonの副社長であるStefan Falkは、フローを企業哲学の中核とするために会社を再設計(各マネージャーは年に6回、1時間以上にわたる入念なフィードバック・セッションで各社員と面談することが義務づけられた)
・スカンジナビアの大手運送会社グリーンカーゴに移ったFalkは、さらに踏み込んで、管理職と従業員との月1回の面談を義務づけ、エグゼクティブ・コーチングのような集中的なセッションを行った
・2004年、グリーンカーゴは120年にわたる政府所有の歴史で初めて黒字に転換したが、CEOはその理由の多くをFalkのフロー戦略の賜物と述べている
・グループ・フローにつながるようなコミュニケーションは、会議室では起こらないことが多く、むしろ、廊下での自由奔放で自然発生的な会話や、終業後や昼食時の社交の場で起こることの方が多い
・Ericssonの副社長であるStefan Falkは、フローを企業哲学の中核とするために会社を再設計(各マネージャーは年に6回、1時間以上にわたる入念なフィードバック・セッションで各社員と面談することが義務づけられた)
・スカンジナビアの大手運送会社グリーンカーゴに移ったFalkは、さらに踏み込んで、管理職と従業員との月1回の面談を義務づけ、エグゼクティブ・コーチングのような集中的なセッションを行った
・2004年、グリーンカーゴは120年にわたる政府所有の歴史で初めて黒字に転換したが、CEOはその理由の多くをFalkのフロー戦略の賜物と述べている
9. 進歩志向(Keeping it moving forward)
・グループ・フローは、即興的な演技の第一法則に人々が従うときに花開く
・FastTrack社は、製品のばらつきを修正するのではなく、ばらつきを利用して顧客との関係を築くという、創発的で即興的な解決策に行き着いた
・バグを修正することは重要だったが、チームメンバーが会話を前に進め続けたおかげで、さらに重要なイノベーションが生まれた
・バグを修正することは重要だったが、チームメンバーが会話を前に進め続けたおかげで、さらに重要なイノベーションが生まれた
10. 失敗の可能性(The potential for failure)
・ジャズ・アンサンブルは、リハーサル中にフローを経験することはほとんどない
・フローには聴衆が必要であり、それに伴って実際に意味のある失敗のリスクが伴う
・プロの役者は、舞台恐怖症を無視せず、その感覚をフロー体験に向かわせる強力な力として活用する
・フローには聴衆が必要であり、それに伴って実際に意味のある失敗のリスクが伴う
・プロの役者は、舞台恐怖症を無視せず、その感覚をフロー体験に向かわせる強力な力として活用する
・多くのグループは、グループ・フローに入るために、事前のウォーミングアップを必要とする
・ビジネスの世界では「リハーサル」の時間はほとんどないが、問題は、ほとんどのビジネスがリスクを最小限に抑えるように設計されていること、そしてそのほとんどが失敗を罰するものであることだ
・研究によれば、イノベーションの双子の兄弟は頻繁に失敗することである
・失敗なくして創造性はなく、失敗のリスクなくしてグループ・フローはない
・この2つの共通の研究結果は密接に関係しており、グループ・フローこそが最も重要なイノベーションを生み出すことが多い
・ビジネスの世界では「リハーサル」の時間はほとんどないが、問題は、ほとんどのビジネスがリスクを最小限に抑えるように設計されていること、そしてそのほとんどが失敗を罰するものであることだ
・研究によれば、イノベーションの双子の兄弟は頻繁に失敗することである
・失敗なくして創造性はなく、失敗のリスクなくしてグループ・フローはない
・この2つの共通の研究結果は密接に関係しており、グループ・フローこそが最も重要なイノベーションを生み出すことが多い
・グループ・フローは、多くの緊張が完璧なバランスを保っているときに起こる(慣例と斬新さ、構造と即興、批判的で分析的な心と自由奔放で既成概念にとらわれない心、他のメンバーの意見に耳を傾けることと自分自身の声で発言することの緊張関係)
・即興のパラドックスは、ルールがあり、プレーヤーが暗黙の了解を共有しているときにのみ、即興が起こりうる(※ルールが多すぎたり、結束力が強すぎたりすると、イノベーションの可能性が失われる)
・イノベーションを起こさなければならないグループが直面する重要な問題は、即興をサポートするちょうどいい構造を見つけることであり、創造性を窒息させるほどの構造を見つけることではない
・ジャズと即興演劇は、これらの緊張感のバランスをいかにうまくとっているかという点でユニーク
・イノベーションを起こさなければならないグループが直面する重要な問題は、即興をサポートするちょうどいい構造を見つけることであり、創造性を窒息させるほどの構造を見つけることではない
・ジャズと即興演劇は、これらの緊張感のバランスをいかにうまくとっているかという点でユニーク
ここまで。
グループ・フローが起こりやすい条件を知れたことで、授業や研修などの学びの場面においてもこれらの要素を取り入れることができるように思いました。
授業設計、レクチャー・フィードバック、グループの関係性作りの3つのカテゴリーでそれぞれ分けてメモしておきます。
(設計上のポイント)
①グループ目標:明確な目標を設定、見つけられるような仕掛け
③完全な集中:クリアするために高い集中力が求められる課題・プロジェクトの設計
④コントロール:参加者にコントローラーを渡す。自律性、有能性、関連性を感じさせる
⑥平等な参加:参加者全員に平等な役割を付与
⑩失敗の可能性:失敗のリスクを内包
(レクチャー・フィードバックのポイント)
②傾聴:メンバーの声を聞く重要性を伝える
⑤エゴの融合:自己認識と活動との結びつけ
⑨進歩志向:常に前進し続けるような働きかけ、フィードバック
(グループの関係性作りのポイント)
⑦親交:メンバーを深く知れ、仲良くなれる機会づくり
⑧コミュニケーション:良質なコミュニケーションに繋がるチームビルディング
「人々がフローを経験する最も一般的な場所は、他者との会話である」という点もとても重要だと思いました。
他者との会話がフローを生み出すのだから、やはりそういう機会をもっと学習に盛り込んでいく必要性があるのでしょう。
また、グループの関係性が良くなるにつれてグループ・フローは起こりやすくなり、創造性も増しますが、2、3年経つと、グループは馴れ合いになり、その有効性は低下し始めるというのも面白い発見でした。
以前、Katz(1982)の論文で、組織にも寿命があるということをまとめましたが、それとも通じるものを感じました。同一組織内でグループ・フローが起こりやすい環境を維持するためには、クロスファンクショナルチームを組んだり、社外のメンバーを取り入れるなどして、メンバー間の新鮮さを維持することも大事なのだろうなと思いました。
学習でも仕事でもメンバーの「ピーク体験(PEAK EXPERIENCE)」を意図的に引き出すことができればより大きな効果を生むことは間違いないでしょう。そのためのヒントが本論文には多く書かれていたと思います。これらの内容を色々試してみたいです。
【メモ】
「グループの創造性と即興行動による自発的なコラボレーションをグループ・フローと捉え、組織が最適なレベルで機能するために活用できるとしている」(Keith Sawyer)
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