OECD加盟国に「21世紀型スキル」や「コンピテンシー」についてアンケート調査を行い、その内容をまとめて教育政策の方向性を提案したレポートのレビューです。
レポートはこちら(被引用数:3,114件 (2024年3月23日時点))
Ananiadou, K., & Claro, M. (2009). 21St century skills and competences for new millennium learners in OECD countries. OECD education working papers, no. 41. OECD Publishing (NJ1).
内容は、タイトルの通り「21世紀型スキル」や「コンピテンシー」の定義や教育の実践状況についてOECD加盟国にアンケート調査を行い、回答のあった17の国や地域の内容をまとめたものになります。
※この中に日本が入っていなかったのは残念です。
各セクションは以下のような構成となっています。
第1節:はじめに
第2節:21世紀型スキルやコンピテンシーの定義や枠組み、重要性に関する議論
第3節:21世紀型スキルについて考えるための新しい枠組み
第4節:CERI事務局が実施したアンケート調査と結果
第5節:アンケート分析から得られたメッセージと結論
第6節:討論、議論、さらなる研究のための課題
ざっと読んだ所感をいくつか記載します。
新たな社会に適応するために必要と言われている「21世紀型スキル」や「コンピテンシー」。
これらの概念は、教育からの意見だけでなく、政策立案者、政治家、雇用主など、様々な利害関係者が共有しており、社会全体で総合的に必要だと認識されている重要な概念です。
これらの概念は、DeSeCoプログラムとPISAプログラムで精緻化が図られてきました。
※DeSeCoで策定された「キー・コンピテンシー」についてはこちらでまとめています。
さて、コンピテンシーとは何ぞや?ですが、当レポートでは以下のように定義されています。
「コンピテンスとは、単なる知識や技能以上のものであり、特定の状況において、(技能や態度を含む)心理社会的資源を引き出し、動員することによって、複雑な要求を満たす能力を含むものである」
そして、コンピテンシーの3つの側面とその下位概念、そこに含まれるスキル・コンピテンシーを以下のように提案しています。
【コンピテンシーの3つの側面、下位概念、スキル・コンピテンシー例】
①情報
・情報源としての情報(情報リテラシー、リサーチと探究、メディアリテラシーなど)
・製品としての情報(創造性、革新性、問題解決、意思決定)
②コミュニケーション
・効果的なコミュニケーション(情報・メディアリテラシー、批判的思考、コミュニケーション)
・コラボレーションとバーチャルな交流(コラボレーション/チームワーク、柔軟性、適応性等)
③倫理と社会的影響
・社会的責任(クリティカルシンキング、責任感、意思決定)
レポートはこちら(被引用数:3,114件 (2024年3月23日時点))
Ananiadou, K., & Claro, M. (2009). 21St century skills and competences for new millennium learners in OECD countries. OECD education working papers, no. 41. OECD Publishing (NJ1).
内容は、タイトルの通り「21世紀型スキル」や「コンピテンシー」の定義や教育の実践状況についてOECD加盟国にアンケート調査を行い、回答のあった17の国や地域の内容をまとめたものになります。
※この中に日本が入っていなかったのは残念です。
各セクションは以下のような構成となっています。
第1節:はじめに
第2節:21世紀型スキルやコンピテンシーの定義や枠組み、重要性に関する議論
第3節:21世紀型スキルについて考えるための新しい枠組み
第4節:CERI事務局が実施したアンケート調査と結果
第5節:アンケート分析から得られたメッセージと結論
第6節:討論、議論、さらなる研究のための課題
ざっと読んだ所感をいくつか記載します。
新たな社会に適応するために必要と言われている「21世紀型スキル」や「コンピテンシー」。
これらの概念は、教育からの意見だけでなく、政策立案者、政治家、雇用主など、様々な利害関係者が共有しており、社会全体で総合的に必要だと認識されている重要な概念です。
これらの概念は、DeSeCoプログラムとPISAプログラムで精緻化が図られてきました。
※DeSeCoで策定された「キー・コンピテンシー」についてはこちらでまとめています。
さて、コンピテンシーとは何ぞや?ですが、当レポートでは以下のように定義されています。
「コンピテンスとは、単なる知識や技能以上のものであり、特定の状況において、(技能や態度を含む)心理社会的資源を引き出し、動員することによって、複雑な要求を満たす能力を含むものである」
そして、コンピテンシーの3つの側面とその下位概念、そこに含まれるスキル・コンピテンシーを以下のように提案しています。
【コンピテンシーの3つの側面、下位概念、スキル・コンピテンシー例】
①情報
・情報源としての情報(情報リテラシー、リサーチと探究、メディアリテラシーなど)
・製品としての情報(創造性、革新性、問題解決、意思決定)
②コミュニケーション
・効果的なコミュニケーション(情報・メディアリテラシー、批判的思考、コミュニケーション)
・コラボレーションとバーチャルな交流(コラボレーション/チームワーク、柔軟性、適応性等)
③倫理と社会的影響
・社会的責任(クリティカルシンキング、責任感、意思決定)
・社会的影響(内省)
「情報をうまく収集・活用し、多様な人々と多様な手段で効果的にコミュニケーションをとり、倫理観を持って社会に影響を与えていく」といったイメージでしょうか。
上記の中で特にICTが強調されていたように思います。確かに、今の社会でICTを使わずに仕事をすることはほぼほぼないですし、教育においてもそれらをうまく活用することが今後より重要になってくるのでしょう。
尚、ICTスキルについては、以下のような分類が提案されていました。
続いて、OECD加盟国に実施したアンケートの結果についてです。
21世紀型スキルやコンピテンシーは、ほとんどの国でガイドラインを定めているものの、具体的な定義や評価はほぼないという結果でした。
この点は、まだ世界各国も苦戦しているようで、結構意外に感じました。
21世紀型スキルやコンピテンシーは、重要という認識はありながらも複雑で概念化が難しい。
定義が曖昧であれば、必然的に評価も難しくなる。
このあたりを明確に整理し、評価までを一本串で通していくことが今後の課題なのでしょう。
また、教員への研修も十分に実施できていないとの回答でした。
定義や評価が整理されていないと研修などもできないとは思いますが、そもそも教員が学べる機会が少ないように個人的には感じています。意欲のある人だけが自腹で学んでいるのが現状だと思いますが、もっと多くの教員が教育について学べるような社会体制(時間的にも金銭的にも)になっていけば良いのになと思います。
今後、日本でも21世紀型スキルやコンピテンシーに関する質の高い教育が普及していくためには、上記のような課題を早急にクリアしていく必要がありそうです。
以下、各セクションの気になった点のメモです。
・今日の労働力は、知識経済に適した一連の技能や能力を身につけなければならず、そのほとんどは知識管理に関連するもので、社会的にネットワーク化された環境における情報の選択、取得、統合、分析、共有に関連するプロセスを含む
・政府は、義務教育終了時までに必要とされる一連の技能や能力を適切に特定、概念化し、すべての生徒が到達できるようにすべき教育水準に組み込む努力をすべきである
・このプロセスを成功させるには、2つの要件を満たす必要がある
①企業から高等教育機関に至るまで、経済的・社会的機関の参加が不可欠
②この一連のスキルやコンピテンシーが、教師や学校の関心の核心となる必要
(コモン・コア・グループ(www.commoncore.org)批判)
・批判的思考や学習方法の学習といったスキルの教育よりも、内容や幅広いリベラルアーツ・カリキュラムの重視を主張
・そのようなスキルは重要だが、従来の教科のような特定の知識領域の外では、独立して教えることはできないし、特定の領域に関する適切な事実知識がなければ、生徒がそのようなスキルを応用することもできない、というもの
これとはまったく異なる観点から、コンピテンシーという概念は、教室でどのように教育や学習を展開すべきかを指導する上で非常に価値があるが、それは通常、企業や企業の声を代弁したものである、と主張する人もいる。
・21世紀型コンピテンシーというレトリックは、知識集約型経済、あるいは特定の企業のために労働者を準備することを主目標とする、経済学者による教育アプローチのもう一つの側面とみなされている
・コンピテンシーに関する言説は、人間のあらゆる能力の調和のとれた発達に重点を置く代わりに、仕事に関連するコンピテンシーの関連性を誇張
・21世紀型コンピテンシーがすべての若者の手に届くものではないという意見もあり、世界のエリートの間でこのようなコンピテンシーを推進することは、社会経済的格差を拡大する危険性がある
①今日の学生すべてが先進国でも知識集約型労働者になるわけではない
②このレトリックは世界の人口の大半を占める発展途上国のニーズを忘れている
(21世紀型スキルとコンピテンシーの定義)
「21世紀の知識社会で有能な労働者や市民となるために、若者が持つことが求められるスキルとコンピテンシー」
(意図的にオープンエンドな定義とした2つの理由)
i)政策立案者や研究者による教育論議において、この問題が重要視されているにもかかわらず、このようなスキルやコンピテンシーの具体的なセットやその定義について合意が得られていない
ii)本研究の目的のひとつは、各国(または地域)がこれらのスキルをどのように定義しているかを調べるとともに、その教育や評価に関するガイドラインや規制に関する情報を得ること
本稿では、できる限り両方の用語(「スキル」と「コンピテンシー」)を使用するが、実際には、議論される特定の状況に応じて、どちらか一方が使用されることもある。
・ポーランド、スロバキア共和国、イタリア、スペイン:欧州委員会(欧州委員会の「教育・訓練2010」作業計画など)やOECD(DeSeCoプロジェクト、PISA評価の結果など)といった国際機関の報告書や研究が、この分野での取り組みの出発点になった
(これらのスキルをどのように教えているか)
・ほとんどの国が、別々の科目として教えるのではなく、カリキュラム全体で統合して教えていると答えた
・アイルランド:「初等教育カリキュラムでは、教科を横断してこれらのスキルを教えることを定めている。特に、子どもが他のカリキュラム分野や将来の学習状況、人生経験に学習を移行させるのに役立つ一般的な技能や能力を身につけることの重要性を強調している」。
・ニュージーランド:コンピテンシーを「......生活や生涯学習のための能力(......)であり、学習分野での教育や学習に不可欠であるため、これらとともに評価されるべきである」と宣言し、改革の出発点とした
・他の多くの国も同じような回答をしているが、「一般的な」スキルと呼ばれるものと、デジタルリテラシーやテクノロジーといったICT関連のものを区別している国もあった
・後者は、例えばスロバキア共和国やトルコのように、別の科目として教えられることもある
・ICTが独立した教科として教えられていない国でも、ICT関連スキルの教育と評価に特化した別のガイドラインや枠組みが存在する場合がある(ベルギー(フランダース)、アイルランド、ポルトガルなど)
「情報をうまく収集・活用し、多様な人々と多様な手段で効果的にコミュニケーションをとり、倫理観を持って社会に影響を与えていく」といったイメージでしょうか。
上記の中で特にICTが強調されていたように思います。確かに、今の社会でICTを使わずに仕事をすることはほぼほぼないですし、教育においてもそれらをうまく活用することが今後より重要になってくるのでしょう。
尚、ICTスキルについては、以下のような分類が提案されていました。
①ICTファンクショナル・スキル:様々なICTアプリケーションの使用に関連するスキルを含む
②学習のためのICTスキル:認知能力または高次の思考スキルと、ICTアプリケーションの使用および管理のための機能的スキルの両方を組み合わせたスキルを含む
③21世紀型スキル:知識社会で必要とされるスキルをまとめたもの(ICT含む)であるが、ICTの利用は必須条件ではない
この整理を見てみると、今の教育環境では①はあるけれども②と③はまだ少ないように感じました。
3つを区別しつつ、うまく授業に取り入れていきたいです。
この整理を見てみると、今の教育環境では①はあるけれども②と③はまだ少ないように感じました。
3つを区別しつつ、うまく授業に取り入れていきたいです。
続いて、OECD加盟国に実施したアンケートの結果についてです。
21世紀型スキルやコンピテンシーは、ほとんどの国でガイドラインを定めているものの、具体的な定義や評価はほぼないという結果でした。
この点は、まだ世界各国も苦戦しているようで、結構意外に感じました。
21世紀型スキルやコンピテンシーは、重要という認識はありながらも複雑で概念化が難しい。
定義が曖昧であれば、必然的に評価も難しくなる。
このあたりを明確に整理し、評価までを一本串で通していくことが今後の課題なのでしょう。
また、教員への研修も十分に実施できていないとの回答でした。
定義や評価が整理されていないと研修などもできないとは思いますが、そもそも教員が学べる機会が少ないように個人的には感じています。意欲のある人だけが自腹で学んでいるのが現状だと思いますが、もっと多くの教員が教育について学べるような社会体制(時間的にも金銭的にも)になっていけば良いのになと思います。
今後、日本でも21世紀型スキルやコンピテンシーに関する質の高い教育が普及していくためには、上記のような課題を早急にクリアしていく必要がありそうです。
以下、各セクションの気になった点のメモです。
第1節:はじめに
・社会と経済の発展により、教育システムは若者に新しいスキルとコンピテンシーを身につけさせる必要があり、これらは21世紀型スキルやコンピテンシーと呼ばれ、産業的生産様式に適していた前世紀のものよりも、経済的・社会的発展の新たなモデルのニーズに関連したものであることを示している・今日の労働力は、知識経済に適した一連の技能や能力を身につけなければならず、そのほとんどは知識管理に関連するもので、社会的にネットワーク化された環境における情報の選択、取得、統合、分析、共有に関連するプロセスを含む
・政府は、義務教育終了時までに必要とされる一連の技能や能力を適切に特定、概念化し、すべての生徒が到達できるようにすべき教育水準に組み込む努力をすべきである
・このプロセスを成功させるには、2つの要件を満たす必要がある
①企業から高等教育機関に至るまで、経済的・社会的機関の参加が不可欠
②この一連のスキルやコンピテンシーが、教師や学校の関心の核心となる必要
第2節:21世紀型スキルやコンピテンシーの定義や枠組み、重要性に関する議論
・21世紀型スキルの教育と評価に関するイニシアチブは、教師、教育研究者、政策立案者、政治家、雇用主など、さまざまな利害関係者が共有している(コモン・コア・グループ(www.commoncore.org)批判)
・批判的思考や学習方法の学習といったスキルの教育よりも、内容や幅広いリベラルアーツ・カリキュラムの重視を主張
・そのようなスキルは重要だが、従来の教科のような特定の知識領域の外では、独立して教えることはできないし、特定の領域に関する適切な事実知識がなければ、生徒がそのようなスキルを応用することもできない、というもの
これとはまったく異なる観点から、コンピテンシーという概念は、教室でどのように教育や学習を展開すべきかを指導する上で非常に価値があるが、それは通常、企業や企業の声を代弁したものである、と主張する人もいる。
・21世紀型コンピテンシーというレトリックは、知識集約型経済、あるいは特定の企業のために労働者を準備することを主目標とする、経済学者による教育アプローチのもう一つの側面とみなされている
・コンピテンシーに関する言説は、人間のあらゆる能力の調和のとれた発達に重点を置く代わりに、仕事に関連するコンピテンシーの関連性を誇張
・21世紀型コンピテンシーがすべての若者の手に届くものではないという意見もあり、世界のエリートの間でこのようなコンピテンシーを推進することは、社会経済的格差を拡大する危険性がある
①今日の学生すべてが先進国でも知識集約型労働者になるわけではない
②このレトリックは世界の人口の大半を占める発展途上国のニーズを忘れている
i) OECDのアプローチ
・新しいコンピテンシーとスキルに対するOECDのアプローチは以下の2つの重要なイニシアティブを通じて精緻化されてきた
①コンピテンシーの定義と選択(DeSeCo)プログラム
②生徒の学習到達度調査(PISA)プログラム
(DeSeCoプロジェクト)
・目的:新しいコンピテンシー領域への長期的な評価の拡張の指針となる枠組みを提供すること
・3つの主要なコンピテンシーのクラスターを使用
i) 対話的にツールを使用する
ii) 異種集団の中で相互作用する
iii) 自律的に行動する
・DeSeCo のフレームワークの中心にあるのは、自分で考え、自分の学習と行動に責任を持つ個人の能力
①コンピテンシーの定義と選択(DeSeCo)プログラム
②生徒の学習到達度調査(PISA)プログラム
(DeSeCoプロジェクト)
・目的:新しいコンピテンシー領域への長期的な評価の拡張の指針となる枠組みを提供すること
・3つの主要なコンピテンシーのクラスターを使用
i) 対話的にツールを使用する
ii) 異種集団の中で相互作用する
iii) 自律的に行動する
・DeSeCo のフレームワークの中心にあるのは、自分で考え、自分の学習と行動に責任を持つ個人の能力
・DeSeCoの成果は、1997年に開始されたPISAの理論的基盤となっている
(PISA)
・目的:義務教育終了間近の15歳の生徒が、社会への完全参加に必要な知識と技能をどの程度身につけているかを監視する
・特定の学校のカリキュラムをどの程度習得したかよりも、現実の課題に対応するために知識や技能をどの程度活用できるかに焦点が当てられている
(この研究に含まれる2つの重要な特徴)
(PISA)
・目的:義務教育終了間近の15歳の生徒が、社会への完全参加に必要な知識と技能をどの程度身につけているかを監視する
・特定の学校のカリキュラムをどの程度習得したかよりも、現実の課題に対応するために知識や技能をどの程度活用できるかに焦点が当てられている
(この研究に含まれる2つの重要な特徴)
①主要教科分野の知識と技能を応用し、様々な状況において問題を提起し、解決し、解釈する際に、効果的に分析し、推論し、コミュニケーションする生徒の能力に関する革新的なリテラシーの概念
②生涯学習との関連性は、PISAを生徒のカリキュラムや教科横断的な能力の評価に限定せず、生徒自身の学習意欲、自分自身についての信念、学習戦略についての報告も求めている(OECD, 2004)
・様々なタイプのスキルについて考える際に、また、ICTとより強く関連するスキルとそうでないスキルを区別するために、有用だと思われる3つの類型を提案する
①ICTファンクショナル・スキル:さまざまなICTアプリケーションの使用に関連するスキルを含む
②学習のためのICTスキル:認知能力または高次の思考スキルと、ICTアプリケーションの使用および管理のための機能的スキルの両方を組み合わせたスキルを含む
③21世紀型スキル:知識社会で必要とされるスキルをまとめたものであるが、ICTの利用は必須条件ではない。したがって、本レポートでは、この最後のタイプのスキルを扱うが、以下に示す政策的根拠を検討する際には、上記の類型を念頭に置いておくと興味深い
ii) スキルとコンピテンシーの定義
(スキルとコンピンテンシーの区別:OECDのDeSeCoプロジェクト)
・「コンピテンスとは、単なる知識や技能以上のものであり、特定の状況において、(技能や態度を含む)心理社会的資源を引き出し、動員することによって、複雑な要求を満たす能力を含むものである。例えば、効果的にコミュニケーションをとる能力は、個人の言語に関する知識、実用的なITスキル、コミュニケーションをとる相手に対する態度などを活用した能力である(Rychen & Salganik, 2003)」
・欧州委員会のCedefop用語集(Cedefop, 2008)は、スキルを次のように定義している
「タスクを実行し、問題を解決する能力であり、コンピテンスとは、定義された文脈(教育、仕事、個人的または専門的な能力開発)において学習成果を適切に適用する能力である。コンピテンスとは、認知的要素(理論、概念、暗黙知の使用を含む)に限定されるものではなく、機能的側面(技術的スキルを含む)だけでなく、対人的属性(社会的スキルや組織的スキルなど)や倫理的価値観も含む」
「タスクを実行し、問題を解決する能力であり、コンピテンスとは、定義された文脈(教育、仕事、個人的または専門的な能力開発)において学習成果を適切に適用する能力である。コンピテンスとは、認知的要素(理論、概念、暗黙知の使用を含む)に限定されるものではなく、機能的側面(技術的スキルを含む)だけでなく、対人的属性(社会的スキルや組織的スキルなど)や倫理的価値観も含む」
・国や言語によって、この2つの用語が同じ意味で使われたり、微妙に異なる定義で使われたりすることがあるため、各国代表に送ったアンケートには、両方の用語を含めた
(21世紀型スキルとコンピテンシーの定義)
「21世紀の知識社会で有能な労働者や市民となるために、若者が持つことが求められるスキルとコンピテンシー」
(意図的にオープンエンドな定義とした2つの理由)
i)政策立案者や研究者による教育論議において、この問題が重要視されているにもかかわらず、このようなスキルやコンピテンシーの具体的なセットやその定義について合意が得られていない
ii)本研究の目的のひとつは、各国(または地域)がこれらのスキルをどのように定義しているかを調べるとともに、その教育や評価に関するガイドラインや規制に関する情報を得ること
本稿では、できる限り両方の用語(「スキル」と「コンピテンシー」)を使用するが、実際には、議論される特定の状況に応じて、どちらか一方が使用されることもある。
第3節:21世紀型スキルについて考えるための新しい枠組み
・コンピテンシーは「①情報」「②コミュニケーション」「③倫理と社会的影響」という3つの側面から考えることができる
・このサブディメンションに属するスキルやコンピテンシーの例(情報リテラシー、リサーチと探究、メディアリテラシーなど)
・情報リテラシーという概念は、このプロセスに焦点を当てている(Anderson, 2008)
・情報リテラシーの前提
①生徒がまず質問、問題、課題に基づいて情報の必要性を理解し、明確に定義すること
②デジタル的に適切な情報源を特定する方法を知っていること
③解決すべき問題を考慮して、効果的かつ効率的な方法で必要なデジタル情報を検索し、選択する方法を知っていること
④いったん情報が見つかったら、その情報源や内容が目の前の課題にとってどの程度価値があり有用であるかを評価できること
⑤データやデジタル情報を再び利用できるように効率的に保管・整理できること
①情報の側面
・ICTによって引き起こされた情報の爆発は、デジタル環境における情報へのアクセス、評価、整理のための新しいスキルを必要とする
・知識が中心的な価値を持つ社会では、情報を処理・整理できるだけでは不十分であり、情報をモデル化して変換し、新たな知識を創造したり、新たなアイデアの源泉として利用したりする能力も必要
・この側面における典型的なスキルは、「リサーチスキル」と「問題解決スキル」であり、情報の定義、検索、評価、選択、整理、分析、解釈を含む
・管理、組織化、批判的分析、問題解決、情報の創造といった高次の能力にとって、ICTアプリケーションは特に適切な環境であることを研究結果は示唆している(Balanksatら, 2006; Kirriemur & McFarlane, 2004; SeftonGreen, 2002; Rosasら, 2002; Cox, 1997; Bonnetら, 1999)
・フリン効果(Flynn effect)(Flynn, 2007)によると、近代化の産物である変化、たとえば知的要求の高い活動、テクノロジーの利用拡大、家族の小規模化などは、現代人が1世紀前と比べて、仮説やカテゴリーといった抽象的な概念で物事を考えることに慣れていることを示している
・フリン効果(Flynn effect)(Flynn, 2007)によると、近代化の産物である変化、たとえば知的要求の高い活動、テクノロジーの利用拡大、家族の小規模化などは、現代人が1世紀前と比べて、仮説やカテゴリーといった抽象的な概念で物事を考えることに慣れていることを示している
・この次元の2つの下位次元(1. 情報源としての情報、2. 製品としての情報)
1. 情報源としての情報:情報の検索、選択、評価、整理
・インターネット上には膨大な量の情報があり、データベースも普及しているため、情報を迅速かつ効率的に検索し、整理する能力が重要なスキルとなっている・このサブディメンションに属するスキルやコンピテンシーの例(情報リテラシー、リサーチと探究、メディアリテラシーなど)
・情報リテラシーという概念は、このプロセスに焦点を当てている(Anderson, 2008)
・情報リテラシーの前提
①生徒がまず質問、問題、課題に基づいて情報の必要性を理解し、明確に定義すること
②デジタル的に適切な情報源を特定する方法を知っていること
③解決すべき問題を考慮して、効果的かつ効率的な方法で必要なデジタル情報を検索し、選択する方法を知っていること
④いったん情報が見つかったら、その情報源や内容が目の前の課題にとってどの程度価値があり有用であるかを評価できること
⑤データやデジタル情報を再び利用できるように効率的に保管・整理できること
2. 製品としての情報:情報の再構築とモデル化、自分のアイデア(知識)の開発
・デジタル情報を収集・整理した後に、生徒がデジタル情報を使って何ができるかを示している
・生徒は、以下のようなさまざまな方法で情報を変換し、発展させる
・生徒は、以下のようなさまざまな方法で情報を変換し、発展させる
①情報をよりよく理解し、より効果的に他者に伝え、解決すべき疑問や課題に基づいて解釈や自分自身の考えを発展させる
②ICTは、情報を統合し要約する、情報を分析し解釈する、情報をモデル化し、モデルがどのように機能するか、その要素間の関係を観察する
③新しいアイデアを開発するために新しい情報を生成する
これらの活動に関わる多くのプロセスに対処するための有用なツールを提供する。
・このサブディメンションに属するスキル:創造性、革新性、問題解決、意思決定
②ICTは、情報を統合し要約する、情報を分析し解釈する、情報をモデル化し、モデルがどのように機能するか、その要素間の関係を観察する
③新しいアイデアを開発するために新しい情報を生成する
これらの活動に関わる多くのプロセスに対処するための有用なツールを提供する。
・このサブディメンションに属するスキル:創造性、革新性、問題解決、意思決定
ii) コミュニケーションの側面
・コミュニケーションは、生徒が生涯学習者となるだけでなく、発言力と他者に対する責任感を備えたより大きなコミュニティの一員となるための準備において重要な役割を果たす
・若者は、デジタル文化に参加し、積極的に貢献するために、ICTアプリケーションの使用を含め、情報や考えを交換し、批判し、発表するコミュニケーション能力を持つ必要がある
・若者は、デジタル文化に参加し、積極的に貢献するために、ICTアプリケーションの使用を含め、情報や考えを交換し、批判し、発表するコミュニケーション能力を持つ必要がある
・ICTアプリケーションはコミュニケーションの可能性を強化・増大させ、仲間同士の協調や協力のスキルの発達を強化する(例:ビデオゲームは若者たちに仲間との強い交流を促し、出会いの場を作り、経験を交換し、コミュニケーションとコラボレーションのスキルを強化することが観察されている(Dede, 2009))
・ゲーム理論では、「メタゲーム」という用語を使って、ビデオゲームの周囲でプレイヤーが自分の知っていることを共有したり、より専門的なプレイヤーに質問したり、複雑な課題を解決するための努力に加わったりすることで、戦略に関する会話が発生することを指す
・このようなゲームへの関わり方は、教育心理学者が「メタ理解(meta-understanding)」と呼ぶもの、つまり自分自身の学習について振り返るプロセスに似ている(Squire and Jenkins, 2003)
・ゲーム理論では、「メタゲーム」という用語を使って、ビデオゲームの周囲でプレイヤーが自分の知っていることを共有したり、より専門的なプレイヤーに質問したり、複雑な課題を解決するための努力に加わったりすることで、戦略に関する会話が発生することを指す
・このようなゲームへの関わり方は、教育心理学者が「メタ理解(meta-understanding)」と呼ぶもの、つまり自分自身の学習について振り返るプロセスに似ている(Squire and Jenkins, 2003)
この次元の2つの下位次元(1. 効果的なコミュニケーション、2. コラボレーションとバーチャルな交流)
1. 効果的なコミュニケーション
・情報や知識を使った作業の初期段階が完了したら、その結果や情報のアウトプットを共有し、伝達することが、この作業のインパクトにとって非常に重要
・実際、このプロセスは、情報の処理、変換、フォーマット化、特定の聴衆にアイデアを提示する最善の方法についての考察など、分析作業そのものを必要とする重要な段階
・一方、効果的なコミュニケーションには実践的なスキルが必要
・利用可能な適切なツールの使用、正しい言語の使用、その他効果的なコミュニケーションを達成するために文脈を考慮するあらゆる側面と関連している
・このサブディメンションに属するスキル:情報・メディアリテラシー、批判的思考、コミュニケーション
・実際、このプロセスは、情報の処理、変換、フォーマット化、特定の聴衆にアイデアを提示する最善の方法についての考察など、分析作業そのものを必要とする重要な段階
・一方、効果的なコミュニケーションには実践的なスキルが必要
・利用可能な適切なツールの使用、正しい言語の使用、その他効果的なコミュニケーションを達成するために文脈を考慮するあらゆる側面と関連している
・このサブディメンションに属するスキル:情報・メディアリテラシー、批判的思考、コミュニケーション
2. コラボレーションとバーチャルな交流
・ICTは、学校の内外で仲間同士の共同作業を支援するツールを提供する(例:他人の作業に対する批判的な考察を通じて建設的なフィードバックを提供したり、ある者は生徒の役割を、ある者は教師の役割を担う自発的な学習コミュニティを作ったりすることができる)
・今日、デジタル文化への参加は、バーチャルな友人グループや関心のあるグループで交流する能力にかかっており、若者は日常的にアプリケーションを流暢に使いこなすことができる
・このサブディメンションに属するスキル:コラボレーション/チームワーク、柔軟性、適応性など
・今日、デジタル文化への参加は、バーチャルな友人グループや関心のあるグループで交流する能力にかかっており、若者は日常的にアプリケーションを流暢に使いこなすことができる
・このサブディメンションに属するスキル:コラボレーション/チームワーク、柔軟性、適応性など
倫理と社会的影響の側面
・グローバル化、多文化主義、ICT利用の増加は倫理的な課題ももたらすため、倫理や社会的影響に関するスキルや能力も21世紀の労働者や市民にとって重要である
この次元の2つの下位次元(1. 社会的責任、2. 社会的影響)
1. 社会的責任
・社会的責任とは、個人の行動が、肯定的な意味(行動する責任がある)だけでなく、否定的な意味(特定の行動を控える責任がある)でも、社会全体に影響を与える可能性があることを意味する
・例えば、ICTに関しては、潜在的なリスクを認識し、ウェブ上での適切な社会的交流を促進する行動ルールを使用するだけでなく、個人的・社会的レベルで責任ある使用のための基準を適用する能力を指す。
・このサブディメンションに関連するスキル:クリティカルシンキング、責任感、意思決定
・例えば、ICTに関しては、潜在的なリスクを認識し、ウェブ上での適切な社会的交流を促進する行動ルールを使用するだけでなく、個人的・社会的レベルで責任ある使用のための基準を適用する能力を指す。
・このサブディメンションに関連するスキル:クリティカルシンキング、責任感、意思決定
2. 社会的影響
・新しいデジタル時代の課題に対する意識の発達を意味する
・例えば、ICTが社会生活に与える大きな影響は、個人と社会に対する社会的、経済的、文化的な影響を考慮し、若者が考えるべき問題であるというコンセンサスがあり、こうしたスキルや能力は、しばしばデジタル・シチズンシップと呼ばれる
・「若者の行動」が環境に与える影響もまた、内省を必要とする分野であり、これに関連するスキルや能力もまた、この下位次元に属する
・例えば、ICTが社会生活に与える大きな影響は、個人と社会に対する社会的、経済的、文化的な影響を考慮し、若者が考えるべき問題であるというコンセンサスがあり、こうしたスキルや能力は、しばしばデジタル・シチズンシップと呼ばれる
・「若者の行動」が環境に与える影響もまた、内省を必要とする分野であり、これに関連するスキルや能力もまた、この下位次元に属する
第4節:CERI事務局が実施したアンケート調査と結果
・OECD加盟国が21世紀型スキルをどのように教え、評価しているかについての最新情報を得るため、 2009年6月から8月にかけてアンケート調査が実施された
・アンケートは、OECDの常任代表部を通じてすべてのOECD加盟国に送られ、以下のトピックについて情報を求めた:
・アンケートは、OECDの常任代表部を通じてすべてのOECD加盟国に送られ、以下のトピックについて情報を求めた:
①21世紀型スキルのうち、現行の政策指針や規則に含まれているものはどれか。
②どのように定義されているか
③21世紀型スキルの導入に至った背景の詳細
④21世紀型スキルを教えるための指針や規則の詳細
⑤それらを評価または査定するための指針または規則に関する詳細
⑥教員養成プログラムへの影響
i) 方法論
・アンケートは、CERI 事務局が外部の専門家と協議し、フランドル教育省の支援を受けて作成
・21世紀型スキルやコンピテンシーに関する標準的な定義や合意がないことから、上記の概念的枠組みに基づき、情報、コミュニケーション、倫理・社会的影響の3つの側面すべてのスキルやコンピテンシーがカバーされるよう、可能な限り広範かつ包括的な定義とリストを採用
・加えて、各国が適切と考えるその他のスキルやコンピテンシーを含め、独自の定義やコメント、関連文書の参照などを記載する余地も設けた
・21世紀型スキルやコンピテンシーに関する標準的な定義や合意がないことから、上記の概念的枠組みに基づき、情報、コミュニケーション、倫理・社会的影響の3つの側面すべてのスキルやコンピテンシーがカバーされるよう、可能な限り広範かつ包括的な定義とリストを採用
・加えて、各国が適切と考えるその他のスキルやコンピテンシーを含め、独自の定義やコメント、関連文書の参照などを記載する余地も設けた
・2009年9月末までに17の国・地域回答: オーストラリア、オーストリア、ベルギー(フランダース)、カナダ(ニューブランズウィック)、フィンランド、アイルランド、イタリア、韓国、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア共和国、スペイン、トルコ(※日本は入ってないんですね。。)
ii)結果
背景
・多くの国において、21世紀型スキルやコンピテンシーのカリキュラムや基準への導入は、より一般的な改革、あるいはオーストラリアにおける最初のナショナル・カリキュラムの開発やニュージーランドにおけるマオリ語カリキュラムの導入のような、より急進的な改革の文脈で行われた
・ノルウェー:2006年のカリキュラム改革は「知識推進」として知られ、「すべての生徒が知識社会に十分に参加できる基礎的なスキルを身につける」ことを目標とした
・ポーランドでは、科学、技術、文化の急速な変化と高等教育への進学希望者の増加に対応するため、2009年に新しいナショナル・コア・カリキュラムが導入された
・メキシコでは、2006年に中等教育、2008年に初等教育で改革が導入されたが、その理由のひとつは、最近の教育研究の成果に照らしてカリキュラムや教育方法を更新し、生徒が現代社会にうまく溶け込めるような能力を育成する必要があった
・オーストリア:Future Learningプロジェクトという具体的な取り組みによって、こうした能力の開発と導入が可能になった・ノルウェー:2006年のカリキュラム改革は「知識推進」として知られ、「すべての生徒が知識社会に十分に参加できる基礎的なスキルを身につける」ことを目標とした
・ポーランドでは、科学、技術、文化の急速な変化と高等教育への進学希望者の増加に対応するため、2009年に新しいナショナル・コア・カリキュラムが導入された
・メキシコでは、2006年に中等教育、2008年に初等教育で改革が導入されたが、その理由のひとつは、最近の教育研究の成果に照らしてカリキュラムや教育方法を更新し、生徒が現代社会にうまく溶け込めるような能力を育成する必要があった
・ポーランド、スロバキア共和国、イタリア、スペイン:欧州委員会(欧州委員会の「教育・訓練2010」作業計画など)やOECD(DeSeCoプロジェクト、PISA評価の結果など)といった国際機関の報告書や研究が、この分野での取り組みの出発点になった
・21世紀型スキルの導入に特別な要因や刺激がなかった国や、より漸進的な方法で変化が起こった国(オランダなど)もある
21世紀型スキルの適用範囲
・アンケートに回答した国の圧倒的多数が、自国の規則やガイドラインに21世紀型スキルやコンピテンシーを具体的に盛り込んでいるかどうかという最初の質問に肯定的に答えていた
・かなり長い包括的なリストから、どのスキルをカバーしているかを具体的に尋ねたところ、ほとんどの国がそのすべて、あるいはほとんどを選択した
・オーストラリアとカナダ(ニューブランズウィック州)だけが、これらのスキルやコンピテンシーを自国の規則で現在カバーしていないと回答した
※オーストラリアでは、全国的な教職の枠組みと基準、そして2011年から実施される同国初のナショナル・カリキュラムに、これらのスキルを導入する具体的な計画がある
※カナダ(ニューブランズウィック州)では、「21世紀型学校イニシアティブ」が最近開始され、21世紀型スキルの定義、促進、重点化、革新的な学習環境の構築、教室でのテクノロジーへのユビキタス・アクセスを目的としている
・かなり長い包括的なリストから、どのスキルをカバーしているかを具体的に尋ねたところ、ほとんどの国がそのすべて、あるいはほとんどを選択した
・オーストラリアとカナダ(ニューブランズウィック州)だけが、これらのスキルやコンピテンシーを自国の規則で現在カバーしていないと回答した
※オーストラリアでは、全国的な教職の枠組みと基準、そして2011年から実施される同国初のナショナル・カリキュラムに、これらのスキルを導入する具体的な計画がある
※カナダ(ニューブランズウィック州)では、「21世紀型学校イニシアティブ」が最近開始され、21世紀型スキルの定義、促進、重点化、革新的な学習環境の構築、教室でのテクノロジーへのユビキタス・アクセスを目的としている
・具体的なスキルとその定義では、「意思決定」(フィンランドとオランダは未選択)、「デジタル・シチズンシップ」(フィンランド、ポルトガル、スロバキア共和国は未選択)、「生産性」(フィンランド、アイルランド、ノルウェー、ポルトガルは未選択)が最も選択率が低かった
・ほとんどの国々は、これらのスキルやコンピテンシーがどのように定義されているのかについて、自国の文書で明確な回答を示していないか、単にそのような国内定義は存在しないと述べた
※一般的に、今ある概念を明確に理解していない証拠かもしれない
※一般的に、今ある概念を明確に理解していない証拠かもしれない
・いくつかの国では、より広範な「重要な」コンピテンシーやスキルについて言及しており、その中には、私たちが提示したリストにある個々のスキルの多くも含まれている
・ニュージーランド:カリキュラムで「思考」「言語、記号、テキストの使用」「自己管理」「他者との関係」「参加と貢献」の5つの主要コンピテンシーに言及
・ポーランドでは、中等教育終了時までに習得すべきスキルやコンピテンシーとして、読解力、数学的思考力、科学的思考力、コミュニケーション能力、技術的スキル、情報活用能力、自己志向性、チームワークを挙げている
・ニュージーランド:カリキュラムで「思考」「言語、記号、テキストの使用」「自己管理」「他者との関係」「参加と貢献」の5つの主要コンピテンシーに言及
・ポーランドでは、中等教育終了時までに習得すべきスキルやコンピテンシーとして、読解力、数学的思考力、科学的思考力、コミュニケーション能力、技術的スキル、情報活用能力、自己志向性、チームワークを挙げている
・同様の包括的な基本スキルやコンピテンシーを定めている他の国には、ベルギー(フランダース)、イタリア、韓国、メキシコ、ニュージーランド(英語とマオリ語のカリキュラム)、ポーランド、スロバキア共和国、スペイン、トルコがある。
(これらのスキルをどのように教えているか)
・ほとんどの国が、別々の科目として教えるのではなく、カリキュラム全体で統合して教えていると答えた
・アイルランド:「初等教育カリキュラムでは、教科を横断してこれらのスキルを教えることを定めている。特に、子どもが他のカリキュラム分野や将来の学習状況、人生経験に学習を移行させるのに役立つ一般的な技能や能力を身につけることの重要性を強調している」。
・ニュージーランド:コンピテンシーを「......生活や生涯学習のための能力(......)であり、学習分野での教育や学習に不可欠であるため、これらとともに評価されるべきである」と宣言し、改革の出発点とした
・他の多くの国も同じような回答をしているが、「一般的な」スキルと呼ばれるものと、デジタルリテラシーやテクノロジーといったICT関連のものを区別している国もあった
・後者は、例えばスロバキア共和国やトルコのように、別の科目として教えられることもある
・ICTが独立した教科として教えられていない国でも、ICT関連スキルの教育と評価に特化した別のガイドラインや枠組みが存在する場合がある(ベルギー(フランダース)、アイルランド、ポルトガルなど)
・ICT関連技能は他の技能とは性質が異なるとみなされることがあり、そのために各国が政策の中で区別していると言える(前節で示したICTファンクショナル・スキルと学習のためのICTスキルを区別する類型と一致)
・多くの国(オーストリア、フィンランド、ノルウェー、オランダなど)では、特定の教科やコンピテンシーを教えるための国家レベルのガイドラインは最小限かまったくない
・しかし、教科横断的なテーマに関するフィンランドの教師用ガイドブックや、カリキュラムにICTを統合するためのアイルランドのICTフレームワークのように、関連するガイドラインや補助教材が存在する場合もある
・しかし、教科横断的なテーマに関するフィンランドの教師用ガイドブックや、カリキュラムにICTを統合するためのアイルランドのICTフレームワークのように、関連するガイドラインや補助教材が存在する場合もある
アセスメントと評価
・21世紀型スキルに関するアセスメント方針やガイドラインを設けていないとする国が非常に少ないが、詳しく見てみると、実際にはこれらのスキルの具体的な評価は行われておらず、各国で実施されている一般的な評価方針の一部として評価されると理解されている
・ほとんどの国では、これらのスキルは、様々なカリキュラム分野での通常の評価を通じて、暗黙のうちに評価されている(21世紀型スキルは、ほとんどの場合、独立した科目として教えられているのではなく、カリキュラム全体にわたって教えられているから)
・ほとんどの国では、これらのスキルは、様々なカリキュラム分野での通常の評価を通じて、暗黙のうちに評価されている(21世紀型スキルは、ほとんどの場合、独立した科目として教えられているのではなく、カリキュラム全体にわたって教えられているから)
・これらのスキルやコンピテンシーは定義が曖昧であるため、標準化された方法で評価するのが難しい
・明確でよく定義された評価方針は、これらのスキルを教師が効果的に教え、生徒が身につけるための重要な条件であり、必須条件であるとも言える。
・曖昧な言説や相反するメッセージ(コモン・コアの見解など)は、政策立案者が明確なガイドラインや規制を設けることを特に困難にしている
・このような状況を踏まえると、21世紀型スキルの評価と教育に関するシスコ/インテル/マイクロソフトのATC21Sプロジェクトのようなイニシアティブの成果は、特に貴重なものとなる可能性がある
・曖昧な言説や相反するメッセージ(コモン・コアの見解など)は、政策立案者が明確なガイドラインや規制を設けることを特に困難にしている
・このような状況を踏まえると、21世紀型スキルの評価と教育に関するシスコ/インテル/マイクロソフトのATC21Sプロジェクトのようなイニシアティブの成果は、特に貴重なものとなる可能性がある
教員養成への影響
・21世紀型スキルの発展が教員養成に与えた影響は、ほとんどの国が肯定的な回答をしているが、提供されている研修の種類は国によってかなり異なっている
・いくつかの国や地域では、これらのスキルの教育について、新任教員や現職教員を訓練するための具体的なプログラムについて言及しているが、その多くは主にICTやeラーニングなどに焦点を当てている
・いくつかの国や地域では、これらのスキルの教育について、新任教員や現職教員を訓練するための具体的なプログラムについて言及しているが、その多くは主にICTやeラーニングなどに焦点を当てている
・ニュージーランド:キー・コンピテンシーに焦点を当てた数多くの現職研修プログラムがある
・韓国:教育研究情報サービス(KERIS)が、21世紀型学習者に関する研修を提供している
・ベルギー(フランダース):すべての教員研修プログラムにおいてICT研修が高い優先順位を与えられており、新技術の教育学的利用や、コンピュータの利用に関して教員を「自立」させることに重点が置かれている
・オーストリアの研修機関は、例えば、協同学習(www.cooltrainers.at)や欧州教育ICTライセンス(www.epict.at)を通じたICTの教育学的利用など、さまざまなプログラムを提供している
・韓国:教育研究情報サービス(KERIS)が、21世紀型学習者に関する研修を提供している
・ベルギー(フランダース):すべての教員研修プログラムにおいてICT研修が高い優先順位を与えられており、新技術の教育学的利用や、コンピュータの利用に関して教員を「自立」させることに重点が置かれている
・オーストリアの研修機関は、例えば、協同学習(www.cooltrainers.at)や欧州教育ICTライセンス(www.epict.at)を通じたICTの教育学的利用など、さまざまなプログラムを提供している
・最近改革が行われた国(ベルギー(フランダース)、ニュージーランド、スペインなど)では、教師が新しい方針に慣れるための研修プログラムが用意されている
・しかし、これらの研修プログラムが、21世紀型スキルの教育と評価にどの程度重点を置いているかは明らかではない
・しかし、これらの研修プログラムが、21世紀型スキルの教育と評価にどの程度重点を置いているかは明らかではない
第5節:アンケート分析から得られたメッセージと結論
・アンケート調査に参加したほぼすべての国が、21世紀型スキルとコンピテンスの重要性と政策的妥当性を認めているが、その詳細で明確な定義は示していない。
・ほとんどの国が、21世紀型スキルやコンピテンシーの育成を教科横断的に、教科の枠を超えて統合している。ICT関連技能は例外であることが多く、別の教科として教えている国もある
・21世紀型スキルの導入は、多くの場合、大規模なカリキュラム改革の中で行われてきた
・21世紀型スキルの明確な(形成的または総括的)評価方針は事実上存在しない。21世紀型スキルの指導に関する唯一の評価は、全校監査の一環として、外部の検査官に委ねられることが多い
・21世紀型スキルの教育や育成を対象とした教員研修プログラムは、初任者であれ現職であれ、ほとんどなく、教員のICT教育スキルの育成に焦点を当てた教員研修の取り組みはいくつかあるものの、そのほとんどは選択制である
第6節:討論、議論、さらなる研究のための課題
・知識社会がもたらす経済的・社会的課題は、このような改革を導入するために各国が頻繁に言及した要因である。場合によっては、the European Commission‟s Education and Training 2010 programme(ポーランド、スペイン)やOECDのDeSeCoプロジェクト(ニュージーランド)のように、特定のプロジェクトや報告書が具体的な推進力として機能したこともある
・アンケートに回答した17のOECD加盟国・地域のほとんどが、21世紀型スキルの教育および/または評価に関するガイドラインまたは規制を定めている
・これらのスキルの定義があまりに不明確なため、政策立案者の頭の中では、これらのスキルがひとつの「パッケージ」として概念化され、それぞれのスキルを区別したり、それぞれがカバーする特定の領域について理解したりすることがほとんどない、という可能性がある
・この分野の研究者やアナリストの重要な仕事のひとつは、これらのスキルやコンピテンシーをより明確に定義し、その指導や評価をどのように規制や指導要領、国の教育指針、評価基準でカバーできるかを示すことであろう
・この分野の研究者やアナリストの重要な仕事のひとつは、これらのスキルやコンピテンシーをより明確に定義し、その指導や評価をどのように規制や指導要領、国の教育指針、評価基準でカバーできるかを示すことであろう
・すでに一部の国では、これらのスキルをより広範な「キー・コンピテンシー」にグループ化することで、暗黙のうちにこの問題に取り組んでいる
・少なくともいくつかの国では、ICT関連技能と、批判的思考や問題解決などの技能を区別しているようである。
・21世紀型スキルの議論において、ICTのこれらすべての補完的な役割を区別してみることが、この分野における今後の潜在的な研究分野であろう
・それらを概念化する1つの方法は、ICT機能スキル、学習のためのICTスキル、21世紀型スキルの観点から考えることである
・21世紀型スキルの議論において、ICTのこれらすべての補完的な役割を区別してみることが、この分野における今後の潜在的な研究分野であろう
・それらを概念化する1つの方法は、ICT機能スキル、学習のためのICTスキル、21世紀型スキルの観点から考えることである
・早急に取り組むべき2つの重要な課題は、評価と教員研修である
・評価に関しては、ATC21Sプロジェクトのような取り組みは特に歓迎すべきものであり、我々の知識における重要なギャップを埋めることが期待される
・この分野におけるすべての研究成果や政策イニシアチブは、教員や生徒がそれらを価値あるものであり、彼らの教育・学習経験に関連するものであると考えて初めて実践に移すことができる
・そのためには、質の高い教員養成プログラムが不可欠であり、今一度、ほとんどの国で、より多くの取り組みが必要な分野である
・特に教師は、生徒がこうしたスキルや能力を身につけるのを助ける方法について研修を受けるだけでなく、こうしたスキルの価値を確信し、十分な時間を割くためのインセンティブやリソースを提供される必要がある
・評価に関しては、ATC21Sプロジェクトのような取り組みは特に歓迎すべきものであり、我々の知識における重要なギャップを埋めることが期待される
・この分野におけるすべての研究成果や政策イニシアチブは、教員や生徒がそれらを価値あるものであり、彼らの教育・学習経験に関連するものであると考えて初めて実践に移すことができる
・そのためには、質の高い教員養成プログラムが不可欠であり、今一度、ほとんどの国で、より多くの取り組みが必要な分野である
・特に教師は、生徒がこうしたスキルや能力を身につけるのを助ける方法について研修を受けるだけでなく、こうしたスキルの価値を確信し、十分な時間を割くためのインセンティブやリソースを提供される必要がある
・この重要な政策トピックに関する考察と議論を促すことを期待し、以下の問いでディスカッション・セクションを終える
・21世紀型スキル政策の重要な成功要因は何か?
1. 質の高い適切な教員研修
2. カリキュラムの統合
3. 明確で厳格な評価
・21世紀型スキルは教科ベースのカリキュラムに統合されるべきか?
・ICTスキルは他のスキルとは異なり、それに応じて政策的に異なる扱いを受けるべきか?
・全体的な議論や、特に教員養成プログラムの設計に、どのように教員を参加させることができるか?
・21世紀型スキルとコンピテンシーのモニタリングと評価にはどのような種類の評価が適切か?どのように開発できるのか?
これより先はプライベートモードに設定されています。閲覧するには許可ユーザーでログインが必要です。
コメント