2つのPBLを組み合わせた授業が、リーダーシップとコミュニケーションスキルにどのような影響を与えるのかを調査した研究論文をレビューします。
論文はこちら(被引用数:73件 (2024年5月1日時点))
Walters, R. C., & Sirotiak, T. (2011, April). Assessing the effect of project based learning on leadership abilities and communication skills. In 47th ASC Annual International Conference Proceedings (pp. 1-8).
端的に研究の概要を以下にまとめます。
・実施時期:2005年秋学期(F05)と2006年春学期(S06)(1学期:16週間)
・対象者:アイオワ州立大学の建設管理プログラムのシニア・キャップストーン・クラスの学生
・F05:22人、S06:48人のうち、プレポステスト両方を受けた58名
・授業:問題解決型学習(Problem-Based Learning)とプロジェクト型学習(Project-Based Learning)を組み合わせたアクティブ・ラーニング
・調査:Competing Values Skills Survey (CVSS)を用いた、Pre/Post調査
・分析手法:対応のあるt検定
調査結果は以下の通りです。
【リーダーシップ】
リーダーシップについては、以下の3つのリーダーシップ能力のすべてが事前よりも事後の方が向上し、t検定でp<.01の強い統計的有意性を示しました。
・Designing and Organizing(設計と組織化)
・Setting Goals and Objectives(ゴールと目標の設定)
・Developing and Communicating a Vision(ビジョンの策定と伝達)
【コミュニケーション】
対してコミュニケーションについては、自己と他者の理解以外のコンピテンシーが、事前より事後の方が上昇していました。尚、一貫した統計的有意性を示したのは、3つのうち1つ(従業員の育成)のみであったようです。
・Developing Employees(従業員育成)
・Communicating Effectively(効果的なコミュニケーション)
・Understanding Self and Others(自己と他者の理解)
これらの結果を受けて、結論として以下のような点が述べられています。
・PBLは調査対象者のいくつかのソフトスキルにプラスの影響を与えることが示唆された
・自信とストレス対処、リーダーシップとコミュニケーション、適応力と管理スキルのすべてがポジティブな影響を受けることが示唆された
・この過程において、PBLが提供する実社会への応用によって、学生がより総合的な影響を受けたことも示唆された
ここまで。
分かりやすい研究デザインで、PBLがリーダーシップ能力に効果があるという示唆が得られた点は良き収穫でした。
また、新たな発見として、今回使用されているアセスメントツールであるCompeting Value Skill Surveys(CVSS)がありました。CVSSの上位概念であるCVFは、世界中の多くの経営学修士(MBA)プログラムで、主要なコンセプトとして認識されているそうです(Quinn 2004)。
リーダーシップの要素は表で示された3項目だけなのだろうかと、ちょっと疑問に思うところもありましたので、CVFについては、また別記事でまとめようと思います。
また、本研究で使用された、アクティブ・ラーニングのハイブリッド学習法(Problem/Project-Based-PBL)(Prince & Felder, 2006)についても調べてみようと思いました。
以下、メモ
「研究者たちは、リーダーシップやコミュニケーションスキルはPBLの使用を通じて教えるのが最善であると主張してきた(Ribeiro et al., 2005)」
論文はこちら(被引用数:73件 (2024年5月1日時点))
Walters, R. C., & Sirotiak, T. (2011, April). Assessing the effect of project based learning on leadership abilities and communication skills. In 47th ASC Annual International Conference Proceedings (pp. 1-8).
端的に研究の概要を以下にまとめます。
・実施時期:2005年秋学期(F05)と2006年春学期(S06)(1学期:16週間)
・対象者:アイオワ州立大学の建設管理プログラムのシニア・キャップストーン・クラスの学生
・F05:22人、S06:48人のうち、プレポステスト両方を受けた58名
・授業:問題解決型学習(Problem-Based Learning)とプロジェクト型学習(Project-Based Learning)を組み合わせたアクティブ・ラーニング
・調査:Competing Values Skills Survey (CVSS)を用いた、Pre/Post調査
・分析手法:対応のあるt検定
調査結果は以下の通りです。
【リーダーシップ】
リーダーシップについては、以下の3つのリーダーシップ能力のすべてが事前よりも事後の方が向上し、t検定でp<.01の強い統計的有意性を示しました。
・Designing and Organizing(設計と組織化)
・Setting Goals and Objectives(ゴールと目標の設定)
・Developing and Communicating a Vision(ビジョンの策定と伝達)
【コミュニケーション】
対してコミュニケーションについては、自己と他者の理解以外のコンピテンシーが、事前より事後の方が上昇していました。尚、一貫した統計的有意性を示したのは、3つのうち1つ(従業員の育成)のみであったようです。
・Developing Employees(従業員育成)
・Communicating Effectively(効果的なコミュニケーション)
・Understanding Self and Others(自己と他者の理解)
これらの結果を受けて、結論として以下のような点が述べられています。
・PBLは調査対象者のいくつかのソフトスキルにプラスの影響を与えることが示唆された
・自信とストレス対処、リーダーシップとコミュニケーション、適応力と管理スキルのすべてがポジティブな影響を受けることが示唆された
・この過程において、PBLが提供する実社会への応用によって、学生がより総合的な影響を受けたことも示唆された
ここまで。
分かりやすい研究デザインで、PBLがリーダーシップ能力に効果があるという示唆が得られた点は良き収穫でした。
また、新たな発見として、今回使用されているアセスメントツールであるCompeting Value Skill Surveys(CVSS)がありました。CVSSの上位概念であるCVFは、世界中の多くの経営学修士(MBA)プログラムで、主要なコンセプトとして認識されているそうです(Quinn 2004)。
リーダーシップの要素は表で示された3項目だけなのだろうかと、ちょっと疑問に思うところもありましたので、CVFについては、また別記事でまとめようと思います。
また、本研究で使用された、アクティブ・ラーニングのハイブリッド学習法(Problem/Project-Based-PBL)(Prince & Felder, 2006)についても調べてみようと思いました。
以下、メモ
「研究者たちは、リーダーシップやコミュニケーションスキルはPBLの使用を通じて教えるのが最善であると主張してきた(Ribeiro et al., 2005)」
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