教育指導者の養成を目的としたPBL(問題解決型学習)を通したリーダーシップ開発についての書籍を数回レビュー第2弾。今回は、第3章「問題解決型学習の授業への導入」のまとめです。
書籍はこちら(被引用数:388件 (2024年5月1日時点))
Bridges, E. M., & Hallinger, P. (1995). Implementing Problem Based Learning in Leadership Development. ERIC Clearinghouse on Educational Management, 5207 University of Oregon, Eugene, OR 97403-5207.
書籍の全体構成・目次は以下のようになっています。
1.問題解決型学習:専門能力開発への有望なアプローチ
2.PBL教材の開発
3.問題解決型学習の授業への導入
4.学生の評価
5.教育博士の研究の焦点として問題解決型学習の活用
6.問題解決型学習の実施課題
第3章では、主にPBLを成功させるための教師の意識や役割について考察されています。
各節の内容は以下のとおりです。
書籍はこちら(被引用数:388件 (2024年5月1日時点))
Bridges, E. M., & Hallinger, P. (1995). Implementing Problem Based Learning in Leadership Development. ERIC Clearinghouse on Educational Management, 5207 University of Oregon, Eugene, OR 97403-5207.
書籍の全体構成・目次は以下のようになっています。
1.問題解決型学習:専門能力開発への有望なアプローチ
2.PBL教材の開発
3.問題解決型学習の授業への導入
4.学生の評価
5.教育博士の研究の焦点として問題解決型学習の活用
6.問題解決型学習の実施課題
第3章では、主にPBLを成功させるための教師の意識や役割について考察されています。
各節の内容は以下のとおりです。
・医学教育におけるPBLとの比較
・問題解決型学習環境で成功するための教師の態度
・PBLプロジェクト前の教師の役割
・PBLプロジェクト中の教師の役割
・プロジェクト終了後の教師の役割
では、順番に見ていきます。医学教育におけるPBLとの比較
問題解決型学習(Problem-based Learning)は、元々医学教育分野から始まっています。
(サーポート)
(高い期待)
PBLプロジェクト前の教員の役割
(3) PBLプロジェクトのためにクラスを準備する
ここまで。
長い章だったので改めてまとめると、第3章は、問題解決型学習の授業への導入ということで、オリジナルの医療系PBLとの違いや教師に求められる態度、各フェーズにおける教師の役割についての内容でした。
本書で紹介されている問題解決型学習は、チューターが付き指導を受けながら進める医療系PBLとは異なり、全てのプロセスを学生チームが管理して進行するというものでした。学生が壁にぶつかることも必然的に多くなると思いますが、ここで即時介入をし続けると、学生を回り道させることになり、結果的に学生自身に問題を解決させた場合よりも生産性が低くなることがよくあるそうで、この点は非常に考えさせられるものがありました。失敗を歓迎し、積極的に失敗することでそこからリカバリーする方法を学習する。共感できる部分もありつつ、取り返しのつかない失敗をしてしまうこともあるため、ここは注意が必要だと思いました。(企業担当者への無礼な言動で協力が得られなくなる等)
一方で、教師は学生達のリソースとして機能するとも書かれていました。常に側にいてサポートするのではなく、助けが必要な時に学生達から声をかけるというものだと思います。ここでは、教師に助けを求めることに消極的な学生が多いので、意見を求めても良いことをきちんと伝えるべきであるとも述べられていました。
これは自分の授業の改善点でもあるように思います。学生達は割と質問したり相談はしてくれますが、自分から「いつでも何でも聞いてください」と明示しておけば、もっと声がかけやすい環境が作れるかもしれません。
続いて第4章以降についてもまとめていきます。
以下、メモ
「問題解決型学習では、従来の指導よりも生徒がより多くの時間と労力をかけて課題に取り組むという信念が実証されている。医学教育の文献にも、同様の報告がある。このことは、PBLは学生に多くのことを要求しすぎるという理由で、潜在的な欠点として挙げられることさえある(Parks 1994)」
「管理職としてさまざまなタイプの人と仕事をすることを学ばなければならないし、プロジェクト・チームに誰が参加するかを常に選べるわけではない」
学生がグループに分かれて与えられた問題を解決するチュートリアル形式が採用され、通常は教授または先輩学生のチューターが、学生が問題に取り組むプロセスをサポートします。
このオリジナルの医学分野のPBLと、本書で紹介されているPBL型リーダーシップ開発モデルは2つの本質的な違いがると述べられています。
このオリジナルの医学分野のPBLと、本書で紹介されているPBL型リーダーシップ開発モデルは2つの本質的な違いがると述べられています。
第1に、学生は教員の指導を受けずに活動する点です。すなわち、各PBLプロジェクトの全期間において、学生は実質的に学習の全プロセスを管理します。これは、「効果的なリーダーシップの本質的な要素は、人を通じて結果を出す能力であるという信念」からそうしたのだそうです。
この教師の関わりについて、学生達は、"ガイド"、"リソース"、"灯台 "というメタファーで表現しています。
第2に、問題状況の解決につながる「行動の実行」をより重視している点。
問題解決型学習の医学教育者は、問題の解決よりも、医学的問題の根底にある科学的・人間的プロセスを理解することに重きを置いているのに対して、効果的なリーダーシップを発揮するためには、問題分析力と実行力の両方が不可欠であるため、実行することを明確に組み込んでいるそうです。
(PBLプロセスへの自信)
教師は、生徒がPBLプロジェクトを、自分自身の学習目標に向かって努力するための手段として利用することを奨励する必要があります。教師が意図した学習から遠ざかることになるかもしれませんが、生徒の実験と意思決定をサポートすることの利点は、そのコストを上回ると信じる必要があります。
(経験)
学生にとっても教師にとっても、新しいことに挑戦する最大の障害は、失敗を恐れること。
私たちが実際に学ぶことのほとんど全ては、リスクを冒すことを伴うものなのだから、長期的な学習目標のためには、短期的な失敗の可能性も支持することが重要になります。
そのためには、実験的な態度を教師が持ち、その重要性を学生に伝える必要があります。
(忍耐)
この教師の関わりについて、学生達は、"ガイド"、"リソース"、"灯台 "というメタファーで表現しています。
第2に、問題状況の解決につながる「行動の実行」をより重視している点。
問題解決型学習の医学教育者は、問題の解決よりも、医学的問題の根底にある科学的・人間的プロセスを理解することに重きを置いているのに対して、効果的なリーダーシップを発揮するためには、問題分析力と実行力の両方が不可欠であるため、実行することを明確に組み込んでいるそうです。
問題解決型リーダーシップ教育モデルを実施するにあたって求められる教師の態度
教師に求められる態度として「PBLプロセスへの自信」「経験」「忍耐」「サポート」「高い期待」の5つが挙げられています。これらの態度は、教室でPBLを実施するための基本的な感情的基盤を形成します。逆に言うと、このような学習環境がなければ、PBLは生徒の参加と学習の潜在能力を十分に発揮することはできないのです。(PBLプロセスへの自信)
教師は、生徒がPBLプロジェクトを、自分自身の学習目標に向かって努力するための手段として利用することを奨励する必要があります。教師が意図した学習から遠ざかることになるかもしれませんが、生徒の実験と意思決定をサポートすることの利点は、そのコストを上回ると信じる必要があります。
(経験)
学生にとっても教師にとっても、新しいことに挑戦する最大の障害は、失敗を恐れること。
私たちが実際に学ぶことのほとんど全ては、リスクを冒すことを伴うものなのだから、長期的な学習目標のためには、短期的な失敗の可能性も支持することが重要になります。
そのためには、実験的な態度を教師が持ち、その重要性を学生に伝える必要があります。
(忍耐)
PBLでは、学生が与えられた学習プロジェクトをどう実行するかについて、かなりの責任と自由裁量を与えるため、グループが暗礁に乗り上げたり、問題に直面することがしばしば起こります。
そこで、必要以上の介入をせずぐっと耐える忍耐力が教員には求められます。
相互介入によって学習プロセスをショートカットしようとすると、生徒を回り道させることになり、生徒自身に問題を解決させた場合よりも生産性が低くなることがよくあるからです。
忍耐には教師にとって2つの報酬があると述べられています。
そこで、必要以上の介入をせずぐっと耐える忍耐力が教員には求められます。
相互介入によって学習プロセスをショートカットしようとすると、生徒を回り道させることになり、生徒自身に問題を解決させた場合よりも生産性が低くなることがよくあるからです。
忍耐には教師にとって2つの報酬があると述べられています。
1点目は学生をじっくり観察できるということ。教師は、学生が概念を理解し、実際の問題に適用しようと奮闘しているときの思考にじっと耳を傾けることができ、学生が理論、研究、問題をどのように解釈しているかを実際に観察できます。
2点目は、学生の統合的エッセイやその他の学習成果物を通して、重要な知識、スキル、態度の発達を見ることができることです。認知理論では、このような学習プロセスは、生徒が教室を出たあとも定着すると言われています。
(サーポート)
PBLの学習環境は、より伝統的な指導形態に慣れている生徒にとって難題を突きつけます。
教師と学生の双方にとって、PBLという手法に自信を持たせる一つの方法は、学生にPBLを体系的に紹介することだと述べられています。本書では、学生がPBL環境に移行するのをサポートするために、以下のステップが紹介されています。
教師と学生の双方にとって、PBLという手法に自信を持たせる一つの方法は、学生にPBLを体系的に紹介することだと述べられています。本書では、学生がPBL環境に移行するのをサポートするために、以下のステップが紹介されています。
①シラバスに「教師に期待すること、指導方法の性質、PBLにおける学生の役割」について詳細に記述し、それを紹介することで、学生に変化が起こることを予期させる。
②コースの最初に4~5時間のPBL入門プロジェクトに直接参加させることで、PBLへの移行を促す。早い段階での成功は、教師、PBL手法、そして学生主導の学習環境で働く能力に対する学生の自信を育む。
(高い期待)
PBL環境では、学生に対する高い期待が不可欠です。なぜなら、教師は、従来の教室での管理機構を、学生の努力の動機づけとしての集団規範と自己動機づけに置き換えようとしているからです。
高い期待は、教師からのフィードバックを通じても学生に伝えられます。
PBLプロジェクト前の教員の役割
続いて、以下の3つのフェーズで教員の役割についてまとめられています。
(1) PBL教材の選択
(2) PBLプロジェクトの教材とロジスティクスを検討し、準備する
(3) PBLプロジェクトのためにクラスを準備する
(1)PBL教材の選択
PBL教材は、コースセッション中の教員のインプットの代わりとして機能します。
また、教材はコースの内容を伝えるだけでなく、学生の学習活動の構造も提供します。
また、教材はコースの内容を伝えるだけでなく、学生の学習活動の構造も提供します。
プロジェクトを検討する際、教師は以下の6つの特徴に注目することが有効と言われています。
①学習目標、②前提条件となる技能と知識、③想定される聴衆と問題の関連性、④プロジェクトにおける主体者の役割、⑤問題の文脈、⑥時間的制約
①学習目標:学習目標がコースの目標に適しているかどうか
②前提となるスキルと知識:前提条件となるスキルが、学生に欠けていないかどうかを検討
③想定される聴衆と問題の関連性:学生の切実な問題(ニーズ)を事前に知る必要がある場合もある
④PJにおける主要アクターの役割:開発したPBLのほとんどは、参加者を学校長として位置づけ
⑤問題の文脈:問題を再構成し、成果物やリソースを調整することで適応させることができる
⑥時間的制約:カリキュラムの実施に関連する時間的制約を考慮しなければならない
・PBLはさまざまな時間形式に適応させることが可能であることが示唆される
・PJが1週間から3週間にわたるまとまった時間(たとえば、1回につき2時間から3時間)で計画されたときに、学生が最も効果的に活動することを発見
・時間が短いと、プロジェクトの一部である長時間のシミュレーションを実施する努力が制限されたり、複雑になったりする
・非常に短い期間(週末など)の長いセッションは、長時間の活動のための時間を提供するが、生徒が読書から得た概念を問題の理解に密接に統合する能力を制限する
・PJが1週間から3週間にわたるまとまった時間(たとえば、1回につき2時間から3時間)で計画されたときに、学生が最も効果的に活動することを発見
・時間が短いと、プロジェクトの一部である長時間のシミュレーションを実施する努力が制限されたり、複雑になったりする
・非常に短い期間(週末など)の長いセッションは、長時間の活動のための時間を提供するが、生徒が読書から得た概念を問題の理解に密接に統合する能力を制限する
(2) PBLプロジェクトの教材とロジスティクスを検討し、準備する
教材とロジスティクス
使用するPBLプロジェクトの教材を選んだら、次にプロジェクトのリソースと仕組みを検討します。
一般的に教室の準備に関わる作業として以下の5つが紹介されています。
(1)本やその他のリソースの選択、(2)人的資源の手配、(3)教材の準備、(4)物理的環境の準備、(5)備品の入手などが含まれる。
一般的に教室の準備に関わる作業として以下の5つが紹介されています。
(1)本やその他のリソースの選択、(2)人的資源の手配、(3)教材の準備、(4)物理的環境の準備、(5)備品の入手などが含まれる。
(1)本やその他のリソースの選択:PJTを割り当てる前に、全ての資料に目を通す
・時間的な制約が特に厳しい場合は、ある読書は任意、他の読書は必須とすることで、教師は読書量を減らすことができる
・時間的な制約が特に厳しい場合は、ある読書は任意、他の読書は必須とすることで、教師は読書量を減らすことができる
(2)人的資源の手配:PBLプロジェクトでは、通常2種類の人的資源を活用する
・実務家:様々なプロジェクトの成果物に関連したロールプレイのため(教育委員会へのプレゼン等)
・専門家コンサルタント:PJTで提示される問題に関して特別な専門知識を持つ教授や実務家のこと
・実務家:様々なプロジェクトの成果物に関連したロールプレイのため(教育委員会へのプレゼン等)
・専門家コンサルタント:PJTで提示される問題に関して特別な専門知識を持つ教授や実務家のこと
(3)教材の準備:学生のために実際の学習教材を準備
・プロジェクトは学際的なリソースから構成されるため、テキストを使って作業することは不可能
(4)物理的環境の準備:PBLに適した物理的な学習環境を設計することは非常に重要
・少人数のグループワークのために並べ替えられるテーブルと椅子がある部屋が最適
(5)備品の入手:PBLプロジェクトに必要な備品はさまざま
・ほとんどの場合、ブッチャー・ペーパーやパッド、イーゼル、マーキング・ペン、マスキング・テープ、ビデオ・テープ・プレーヤーが必要で、時にはビデオカメラやコンピュータ室が必要な場合もある
・プロジェクトは学際的なリソースから構成されるため、テキストを使って作業することは不可能
(4)物理的環境の準備:PBLに適した物理的な学習環境を設計することは非常に重要
・少人数のグループワークのために並べ替えられるテーブルと椅子がある部屋が最適
(5)備品の入手:PBLプロジェクトに必要な備品はさまざま
・ほとんどの場合、ブッチャー・ペーパーやパッド、イーゼル、マーキング・ペン、マスキング・テープ、ビデオ・テープ・プレーヤーが必要で、時にはビデオカメラやコンピュータ室が必要な場合もある
(3) PBLプロジェクトのためにクラスを準備する
PBLプロジェクトを実際に実施する前の最後の準備は、学生をPBLグループ(プロジェクトチームとも呼ばれる)に割り当てることです。
著者らは、他の学生から積極的に誘われていない学生や、自分のグループに満足していない学生にとって、クラス内で不健全な力学が働くことになると考えていることから、学生が自分たちでグループを作ったり、同じグループを続けたりするのを積極的に拒んでいるとのこと。
著者らは、他の学生から積極的に誘われていない学生や、自分のグループに満足していない学生にとって、クラス内で不健全な力学が働くことになると考えていることから、学生が自分たちでグループを作ったり、同じグループを続けたりするのを積極的に拒んでいるとのこと。
また、グループ人数は、学生のプロジェクトへの参加を最適なレベルに保つことができるよう、5人から7人の間にしているそうです。
※グループの人数が7人を超えると、生徒がチームの学習活動に個人的に参加する機会が著しく減少する
チーム内での役割について、「インタラクション・メソッド」(Doyle and Straus 1982)を使用するよう学生に奨励しているそうで、この手法では、3人のグループメンバーをリーダー、記録係、進行係という専門的な役割に配置(少なくとも5人が必要)し、定期的にメンバー間で交代することで、できるだけ多くの学生がリーダーの役割を担う機会を持つようにしているそうです。
また、個性について配慮している点も面白い点だと思いました。
※グループの人数が7人を超えると、生徒がチームの学習活動に個人的に参加する機会が著しく減少する
チーム内での役割について、「インタラクション・メソッド」(Doyle and Straus 1982)を使用するよう学生に奨励しているそうで、この手法では、3人のグループメンバーをリーダー、記録係、進行係という専門的な役割に配置(少なくとも5人が必要)し、定期的にメンバー間で交代することで、できるだけ多くの学生がリーダーの役割を担う機会を持つようにしているそうです。
また、個性について配慮している点も面白い点だと思いました。
学生の性格タイプを特定する手段として、「パーソナル・スタイル・インベントリー」(Keirsey 1984;付録Cのシラバスのサンプルを参照)を使用することで、異なるタイプの人々がグループ内でどのように相互作用するかに関する有益な学習を促しているそうです。
PBLプロジェクト中における教師の役割
続いて、PBLプロジェクトを実施している中での教師の役割についてです。
(学習の個別化)
(セルフ・モニタリング)
PBLプロジェクトの導入
あるコースやプログラムの後方支援に関する取り決めによって、プロジェクトを実際にどのように学生に紹介するかが決まります。
プロジェクトの開始時に、教師は学生にプロジェクトチームへの配属と役割(もしあれば)を伝えます。その後、一般的にプロジェクトの簡単な概要(約15分)を説明してから、各チームに作業を開始させます。この概要説明では、管理者の仕事に対するプロジェクトの問題の重要性、望ましい学習目標、学生が開発する製品の性質、クラスがプロジェクトを完了するまでの時間的制約について説明します。その後、プロジェクトの資料(仕様書、読み物、ビデオテープ、コンサルタントの連絡先など)を配布し、チームに最初のプロジェクト会議を始めるよう合図します。
プロジェクトの開始時に、教師は学生にプロジェクトチームへの配属と役割(もしあれば)を伝えます。その後、一般的にプロジェクトの簡単な概要(約15分)を説明してから、各チームに作業を開始させます。この概要説明では、管理者の仕事に対するプロジェクトの問題の重要性、望ましい学習目標、学生が開発する製品の性質、クラスがプロジェクトを完了するまでの時間的制約について説明します。その後、プロジェクトの資料(仕様書、読み物、ビデオテープ、コンサルタントの連絡先など)を配布し、チームに最初のプロジェクト会議を始めるよう合図します。
【PBLプロジェクトを導入する際のロジスティックスの留意点】
①導入は簡潔に行い、単に概要を説明し、期待されることを明確にする
①導入は簡潔に行い、単に概要を説明し、期待されることを明確にする
②可能な限り、プロジェクトの仕様書に先立ってリーディングを配布しない
・読み物やその他の資料の見直しは、学生が個人で、できればグループで問題を検討した後に行う
・読み物やその他の資料の見直しは、学生が個人で、できればグループで問題を検討した後に行う
③PBLプロジェクトの導入時に、プロジェクトの計画を立てやすいように構成する
・チームリーダーが最初のチームミーティングの前にプロジェクトの予備計画を立てておくと、チームがより効果的に機能する
・教師がチームリーダーにプロジェクト計画を立てさせる3つのステップ
・チームリーダーが最初のチームミーティングの前にプロジェクトの予備計画を立てておくと、チームがより効果的に機能する
・教師がチームリーダーにプロジェクト計画を立てさせる3つのステップ
1. チームリーダーがプロジェクト計画を立案し、そのコピーを提出することを明示
2. プロジェクト開始時に計画を立てやすいような時間構成を提供
3. 学生が使用する計画書式を提供(付録Dを参照)
3. 学生が使用する計画書式を提供(付録Dを参照)
問題解決型学習をサポートする授業規範の開発
教師は、生徒がミスから学ぶ習慣を身につけられるような学習環境を作ることも同様に重要です。
プロジェクトの構造的な要素に加えて、いくつかの授業規範もPBLを支えています。
プロジェクトの構造的な要素に加えて、いくつかの授業規範もPBLを支えています。
(時間を効果的に使う)
プロジェクト期間中の時間の使い方を決めるのは学生の責任であることを強調することで、積極的な規範を育成することができます。また、プロジェクトにおけるコンサルタントの利用について指針を示すことで、他の人の時間を貴重なものとして扱うことの重要性を学生に伝えます。最後に、PBLプロジェクト「時間管理」を通して、「7つの習慣」(Covey, 1989)から時間の管理について考える枠組みを学生に紹介するそうです。
(問題に焦点を当てた学習志向の育成)
PBLでは、学生が問題に焦点を当てた学習ができるように支援することも教師の仕事であり、学生に、PBLプロジェクトで提示された問題に照らして、あらゆる学習資源を吟味するよう求めます。これは、学生が読んだ本の内容を報告するような典型的な考え方とは対照的です。
(学習の個別化)
学生がPBLプロジェクトに関連した個人的な学習目標を特定することで学習を個別化することも強化しなければならない習慣です。学生は、あるプロジェクトで重要な問題を特定し、その後のプロジェクトで個人的な学習目標としてそれを設定することができます。連続するプロジェクトを通して、経験学習を回し続け、個人で設定した学習目標の達成に向けて学習を続けていくわけですね。
(臨機応変な学習)
学生が知識を問題解決の道具として使えるように指導することを目的として、PBLでは、有益な情報がどこにあろうと、それを探し求めるように学生を促します。
「学生が教室で臨機応変に学習できるようになれば、仕事でも臨機応変に対応できるリーダーになる準備ができると、私たちは信じている」
(セルフ・モニタリング)
学生は個人的にも集団的にも自己を監視する能力を身につける必要があります。
グループのプロセスをモニターする手段として、相互フィードバックを利用し、学生同士が具体的でかつ偏見のないフィードバックをし合うことが推奨されています。
・各ミーティングの最後に、5分間の報告会を行う
・ミーティング中に何がうまくいったか、自分の役割はどうだったか、今後のミーティングでチームのパフォーマンスを向上させるために何ができるかを確認
グループのプロセスをモニターする手段として、相互フィードバックを利用し、学生同士が具体的でかつ偏見のないフィードバックをし合うことが推奨されています。
・各ミーティングの最後に、5分間の報告会を行う
・ミーティング中に何がうまくいったか、自分の役割はどうだったか、今後のミーティングでチームのパフォーマンスを向上させるために何ができるかを確認
「モニタリング・プロセスのさまざまな側面から、(教師が)学生たちに望んでいる目標は、単に成績を上げることでも、テストのためにプロジェクトの特定の成果を思い出すことでもなく、学習方法を学ぶことだという認識をさらに植え付けた。このことは、生徒一人ひとりを鼓舞し、継続的な内省を促すとともに、グループメンバー間のコミュニケーションも刺激した」とも書かれており、このメッセージは是非とも参考にしたいと思いました。
プロジェクト中の生徒との交流
PBLの教室では、教師はプロジェクト期間の90%以上、バックグラウンドで生活します。これは、教師にとって最も困難な変化の1つである。PBLでは、教員が教材や学習リソースの選択、授業中の限定的な介入、学生へのフィードバックを通じて専門知識を伝える立場に置かれます。このことは、教師が自己鍛錬の蓄積と、生徒の学習を促進する新しい指導スキルのレパートリーの両方を開発する必要性を示唆している。PBLクラスでは、教師は物理的にも比喩的にもバックグラウンドにいますが、PBLプロジェクトでは、教師は多くのタスクをこなします。
(コンテンツ情報の提供)
教師は、問題やリソースの内容に取り組むグループのリソースとして機能します。
学生はプロジェクトに関連して教員の知識を利用することに消極的な場合が多いため、意見を求めてもよいことを明示的に再確認しているそうです。
学生はプロジェクトに関連して教員の知識を利用することに消極的な場合が多いため、意見を求めてもよいことを明示的に再確認しているそうです。
長年の授業経験から、学生たちは教師の頭の中に正解が隠されていると思い込んでいるため、ソクラテス式のスタイルを用いて、規定事項を提示するのではなく、質問を投げかけ、他のリソースに生徒を誘導し、代替の視点を提起することが推奨されています。
また、学生から教師に対してフィードバックをもらうことも重要です。
本書では、報告会で口頭で求めるだけでなく、"Talk Back "シートや統合エッセイを通じても求めるとのこと。プロジェクト終了後、できるだけ早くこれらのメモを将来のために記録しておくと、次のプロジェクトの活動でぼやけることなくしっかりと活かすことができます。
(プロセス・オブザーバーとして行動)
教師は、プロジェクト・チームのプロセス・オブザーバーとしての役割も果たします。
通常、各グループをローテーションし、それぞれのグループの進行状況を把握し、グループが行き詰まってしまうときは、介入を検討します。しかし、介入前に強制的に立ち止まり、「私が介入する内容は、グループがこのプロセスの問題に対処する方法を学ぶ(あるいは問題を理解する)ために重要なのか?もしそうなら、私の介入なしに、彼らが現在の障害を克服する可能性はあるのだろうか?」と考えることが重要です。
通常、各グループをローテーションし、それぞれのグループの進行状況を把握し、グループが行き詰まってしまうときは、介入を検討します。しかし、介入前に強制的に立ち止まり、「私が介入する内容は、グループがこのプロセスの問題に対処する方法を学ぶ(あるいは問題を理解する)ために重要なのか?もしそうなら、私の介入なしに、彼らが現在の障害を克服する可能性はあるのだろうか?」と考えることが重要です。
本書では、学生が遭遇した問題についてメモを取り、プロジェクト終了後に口頭または文書で生徒と考えを共有することが多くなったそうです。
(プロジェクト特有の問題を明確にする)
プロジェクト中、教師は学生の役割やプロジェクト特有の問題を明確にする必要があるかもしれません。ミーティング・マネジメントのテクニックを使用する場合、特に学生がPBLを経験する初期に、実践におけるさまざまな役割の責任を明確にすることが必要になることがよくあります。時には、教師はプロジェクトの特定の要素、例えば、期待される製品の性質や問題状況に関する仮定を明確にする必要があるかもしれません。
(個別の問題に関する相談)
学生は、プロジェクトの過程で教師と個別に面談する時間を要求することができ、可能な限りこれを奨励します。
(モニタリングの時間)
プロジェクト期間中、教師は時間の流れを監視し、プロジェクトに割り当てられた時間を変更するかどうか、またどのように変更するかを評価するため、チームとコミュニケーションを取る必要があります。
(授業の報告)
最後の作業は、プロジェクトの終了時に行われる報告会です。
プロジェクトが、教育委員会でのプレゼンテーションや教師との監督会議など、公の場でのパフォーマンスで終了する場合、教師はパフォーマンスの直後にクラスで報告会を行うことができます。
プロジェクトが、教育委員会でのプレゼンテーションや教師との監督会議など、公の場でのパフォーマンスで終了する場合、教師はパフォーマンスの直後にクラスで報告会を行うことができます。
教師は、プロジェクト終了後、できるだけ早くフィードバックを提供することで、これを生かすべきです。そうすることで、生徒はプロジェクトに区切りをつけることができ、次のプロジェクトに対するモチベーションを高めることができます。また、教師のフィードバックを統合エッセイに反映させることもできます。
グループ・ディブリーフィングでは、学生に学習目標に立ち戻らせ、完了したプロジェクトを管理的役割の観点から捉え直させます。報告会では、学生は自分たちのパフォーマンスに関する教師の反応を求める傾向がありますが、ここでも、正解主義を避けることが重要です。
プロジェクト終了後の教師の役割
プロジェクト終了後に、教師の役割として、「学生へのフィードバック」と「教師へのフィードバックの確認」という2つの重要な側面があります。
学生に対しては、学期や研究会の期間中に展開される学生との長期的な対話の一環として、フィードバックを行います。個人に対してもグループに対しても、気づきを促すためにはフィードバックの質と量が大事ですね。これは自分もまだまだ不足している点だと痛感しました。
また、学生から教師に対してフィードバックをもらうことも重要です。
本書では、報告会で口頭で求めるだけでなく、"Talk Back "シートや統合エッセイを通じても求めるとのこと。プロジェクト終了後、できるだけ早くこれらのメモを将来のために記録しておくと、次のプロジェクトの活動でぼやけることなくしっかりと活かすことができます。
【Talk Backシートの内容】
このPBLプロジェクトに対する皆さんの反応が必要です。これらは、このプロジェクトに関する私たちの決定(修正 or そのまま or中止)に重要な役割を果たします。今回の出来事に対する率直な反応をお聞かせください。私たちはそれを真摯に受け止めます。必要であれば、このシートの裏にコメントを続けてください。
1. 今日のセッションで最も重要なことは何でしたか?
2. 今日のセッションで、未解決のままになっている問題は何ですか?
3. このセッションをより有益なものにするために、どのような変更が考えられますか?(できるだけ具体的にお書きください。)
ここまで。
長い章だったので改めてまとめると、第3章は、問題解決型学習の授業への導入ということで、オリジナルの医療系PBLとの違いや教師に求められる態度、各フェーズにおける教師の役割についての内容でした。
本書で紹介されている問題解決型学習は、チューターが付き指導を受けながら進める医療系PBLとは異なり、全てのプロセスを学生チームが管理して進行するというものでした。学生が壁にぶつかることも必然的に多くなると思いますが、ここで即時介入をし続けると、学生を回り道させることになり、結果的に学生自身に問題を解決させた場合よりも生産性が低くなることがよくあるそうで、この点は非常に考えさせられるものがありました。失敗を歓迎し、積極的に失敗することでそこからリカバリーする方法を学習する。共感できる部分もありつつ、取り返しのつかない失敗をしてしまうこともあるため、ここは注意が必要だと思いました。(企業担当者への無礼な言動で協力が得られなくなる等)
一方で、教師は学生達のリソースとして機能するとも書かれていました。常に側にいてサポートするのではなく、助けが必要な時に学生達から声をかけるというものだと思います。ここでは、教師に助けを求めることに消極的な学生が多いので、意見を求めても良いことをきちんと伝えるべきであるとも述べられていました。
これは自分の授業の改善点でもあるように思います。学生達は割と質問したり相談はしてくれますが、自分から「いつでも何でも聞いてください」と明示しておけば、もっと声がかけやすい環境が作れるかもしれません。
続いて第4章以降についてもまとめていきます。
以下、メモ
「問題解決型学習では、従来の指導よりも生徒がより多くの時間と労力をかけて課題に取り組むという信念が実証されている。医学教育の文献にも、同様の報告がある。このことは、PBLは学生に多くのことを要求しすぎるという理由で、潜在的な欠点として挙げられることさえある(Parks 1994)」
「管理職としてさまざまなタイプの人と仕事をすることを学ばなければならないし、プロジェクト・チームに誰が参加するかを常に選べるわけではない」
これより先はプライベートモードに設定されています。閲覧するには許可ユーザーでログインが必要です。
コメント