プロジェクト学習(PBL)を取り入れた大学の情報工学プロジェクトコースで、創造性の高い学習者と低い学習者の違いを、認知、個人的動機づけ、性格特性の観点から調査した台湾の研究論文をレビューします。
論文はこちら(被引用数:203件 (2024年6月5日時点))
Wu, T. T., & Wu, Y. T. (2020). Applying project-based learning and SCAMPER teaching strategies in engineering education to explore the influence of creativity on cognition, personal motivation, and personality traits. Thinking Skills and Creativity, 35, 100631.
研究概要を以下にざっとまとめます。
対象者
・国立台湾大学工学部のコンピュータ・サイエンスおよびエンジニアリング・プロジェクト・コース(1)(2)に在籍する3年生(55名と5名)
・学生は11のグループに分けられ、Moodleの学習プラットフォーム上での指導とガイダンスを通して、プロジェクト学習とSCAMPERの活動内容に取り組んだ
実験手順
・コンピュータサイエンスとエンジニアリングのプロジェクト科目(1)と(2)は、前期と後期に開講
・前後期は各18週間で、毎週2つの授業が実施(実験手順はfigure2の通り)
ここまで。
Project-based Learningを用いた学習効果について、創造性の高い/低いグループに分けて分析した研究は初めて目にしましたが非常に多くの学びがありました。
論文を概観したところ、創造性の高い学生は、創造性の4つの側面の伸びも高く、自分の意見を積極的に述べ、内発的動機が高く、世間体ではなく自身のために学習の焦点を当てているなど、多くの面で望ましい結果が示されていました。
学習態度や内発的動機づけは非常に重要な概念だとは理解していましたが、内発的動機と関連していることからも創造性の重要さを改めて認識しました。
「高い内発的動機づけによってフロー状態を維持できれば、創造的な仕事への熱意が高まる」
(Csikszentmihalyi, 1990)
研究手法としても、事前調査として創造性を測るTTC分析を行い、その結果を基にグループを高低に分け、様々な側面でグループの差を見ていくというやり方は非常に参考になりました。
論文はこちら(被引用数:203件 (2024年6月5日時点))
Wu, T. T., & Wu, Y. T. (2020). Applying project-based learning and SCAMPER teaching strategies in engineering education to explore the influence of creativity on cognition, personal motivation, and personality traits. Thinking Skills and Creativity, 35, 100631.
研究概要を以下にざっとまとめます。
対象者
・国立台湾大学工学部のコンピュータ・サイエンスおよびエンジニアリング・プロジェクト・コース(1)(2)に在籍する3年生(55名と5名)
・学生は11のグループに分けられ、Moodleの学習プラットフォーム上での指導とガイダンスを通して、プロジェクト学習とSCAMPERの活動内容に取り組んだ
実験手順
・コンピュータサイエンスとエンジニアリングのプロジェクト科目(1)と(2)は、前期と後期に開講
・前後期は各18週間で、毎週2つの授業が実施(実験手順はfigure2の通り)
(前期)
1週目:学生は創造性を測るTTCT(Torrance Tests of Creative Thinking)を受講
2週目:TTCTの結果に従って、学習者を創造性の高いグループと低いグループに分けた
3~9週目:プロジェクト学習の準備
・プロジェクトの方向性やスコープについて議論し、様々なプラットフォーム機能を通じてトピックや方向性を設定し、スケジュールや目標を計画し、SCAMPER創造的思考法の7つの次元(代替、結合、適応、修正、他の用途に回す、排除、再配置)を用いて思考の角度や方向性を改善または変更し、新しいアイデアや方法を開発することを目指した
・各11グループのプロジェクト案をTable1の通り
(後期)
前10~後期8週目:プロジェクト実施段階
・プロジェクトの構築と実践のために、プラットフォームの機能を使って議論し、交流
・グループでの協力、議論、作業分担を通して、学習者は問題解決のための知識の意味合いや概念原理を認識することを学習
9週~14週目:プレゼンテーションと評価
・プロジェクト発表の前に、ディスカッション機能によるグループ間の交流、同時ビデオ機能によるプロジェクト発表の練習、データアップロード機能による資料提出が行われた
・発表後、講師はプロジェクトの成果や発表内容に応じて評価や提案を行い、他のグループも即座にフィードバックや提案を行うことが求められた
・プロジェクトの成果を共有することで、学生は互いに学び合い、知識を交換した
15週~17週目:プロジェクトの修正
・講師や仲間からのフィードバックにより、学生は振り返り、調整、コミュニケーションを実践し、レポートを修正し、個人の学習能力を調整した
18週目:修正したプロジェクト・レポートを学習プラットフォームにアップロードし、TTCT、WPI(個人的動機づけ)、達成目標と問題解決スタイル尺度(性格特性)に記入
1週目:学生は創造性を測るTTCT(Torrance Tests of Creative Thinking)を受講
2週目:TTCTの結果に従って、学習者を創造性の高いグループと低いグループに分けた
3~9週目:プロジェクト学習の準備
・プロジェクトの方向性やスコープについて議論し、様々なプラットフォーム機能を通じてトピックや方向性を設定し、スケジュールや目標を計画し、SCAMPER創造的思考法の7つの次元(代替、結合、適応、修正、他の用途に回す、排除、再配置)を用いて思考の角度や方向性を改善または変更し、新しいアイデアや方法を開発することを目指した
・各11グループのプロジェクト案をTable1の通り
(後期)
前10~後期8週目:プロジェクト実施段階
・プロジェクトの構築と実践のために、プラットフォームの機能を使って議論し、交流
・グループでの協力、議論、作業分担を通して、学習者は問題解決のための知識の意味合いや概念原理を認識することを学習
9週~14週目:プレゼンテーションと評価
・プロジェクト発表の前に、ディスカッション機能によるグループ間の交流、同時ビデオ機能によるプロジェクト発表の練習、データアップロード機能による資料提出が行われた
・発表後、講師はプロジェクトの成果や発表内容に応じて評価や提案を行い、他のグループも即座にフィードバックや提案を行うことが求められた
・プロジェクトの成果を共有することで、学生は互いに学び合い、知識を交換した
15週~17週目:プロジェクトの修正
・講師や仲間からのフィードバックにより、学生は振り返り、調整、コミュニケーションを実践し、レポートを修正し、個人の学習能力を調整した
18週目:修正したプロジェクト・レポートを学習プラットフォームにアップロードし、TTCT、WPI(個人的動機づけ)、達成目標と問題解決スタイル尺度(性格特性)に記入
評価ツール
評価は、「創造性」「討論内容」「学習動機」「性格特性」を測る4つのツールが用いられました。
①TTCT(創造性)
③WPI(学習動機)
研究結果
評価は、「創造性」「討論内容」「学習動機」「性格特性」を測る4つのツールが用いられました。
①TTCT(創造性)
・1966年にミネソタ大学のE.P.トーランスと同僚によって設計された、現在最も一般的に使用されている創造性テスト
・テストは全てゲーム形式で、言葉の創造性、絵の創造性、音と言葉の創造的思考テストで構成される
・創造性の流暢さ、独創性、精巧さ、柔軟性を評価することができる
・テスト時間は約20分
・本研究ではAbbreviated TTCT for Adultsを採用
・テストは全てゲーム形式で、言葉の創造性、絵の創造性、音と言葉の創造的思考テストで構成される
・創造性の流暢さ、独創性、精巧さ、柔軟性を評価することができる
・テスト時間は約20分
・本研究ではAbbreviated TTCT for Adultsを採用
②CKIP、SVM、k-meansクラスタ分析(討論内容)
・フォーラム(非同時)およびビデオ会議(同時)における学習者のディスカッション記録から、認知概念間のつながりを分析
・中国語知識情報処理(CKIP)単語分割システム(Ma & Chen, 2003)を用いて、元の単語を数字に変換し、その後、サポートベクターマシン(SVM)を用いてディスカッション内容を分類
・最後に、k-meansクラスタ分析によって、創造性の高い学習者と低い学習者がよく使う認知概念とキーワードのつながりを調査
・フォーラム(非同時)およびビデオ会議(同時)における学習者のディスカッション記録から、認知概念間のつながりを分析
・中国語知識情報処理(CKIP)単語分割システム(Ma & Chen, 2003)を用いて、元の単語を数字に変換し、その後、サポートベクターマシン(SVM)を用いてディスカッション内容を分類
・最後に、k-meansクラスタ分析によって、創造性の高い学習者と低い学習者がよく使う認知概念とキーワードのつながりを調査
③WPI(学習動機)
・学生の学習意欲を評価するために、内発的・外発的動機づけを評価するWPIを採用し、改訂
・内発的動機づけと外発的動機づけの要因を通して、目標内容に対する学習意欲を診断するもの
・WPI質問票は、内発的動機づけ(challenge and enjoyment)と外発的動機づけ(outward and compensation)を評価する質問で構成され、全部で30項目
・高い動機づけは創造的な行動をもたらす(Henle, 1962)・内発的動機づけと外発的動機づけの要因を通して、目標内容に対する学習意欲を診断するもの
・WPI質問票は、内発的動機づけ(challenge and enjoyment)と外発的動機づけ(outward and compensation)を評価する質問で構成され、全部で30項目
④2つの質問紙(性格特性)
・あらゆる性格特性は創造性と関連している(Dollinger & Clancy, 1993)
・学習者の性格特性と創造性の関係を明らかにするために、本研究では2つの質問紙を採用
・1つ目:学習者の達成目標の概念を定義するもので、Elliot and McGregor (2001)の研究に基づき作成
・あらゆる性格特性は創造性と関連している(Dollinger & Clancy, 1993)
・学習者の性格特性と創造性の関係を明らかにするために、本研究では2つの質問紙を採用
・1つ目:学習者の達成目標の概念を定義するもので、Elliot and McGregor (2001)の研究に基づき作成
・2つ目:学習者の問題解決スタイルに関するもので、Jabri (1991) とKoestler (1949), Koestler (1964) の研究に基づいて改訂
・質問紙分析は、学習者が問題に対処する際、解決策を直感的か系統的に導くかを見分けるために用いられた
・質問紙分析は、学習者が問題に対処する際、解決策を直感的か系統的に導くかを見分けるために用いられた
研究結果
TTCTの分析
・プレテストとポストテストの分析結果をTable2に示す
・事前テストと事後テストで示された学習者の流暢さ、独創性、精巧さ、柔軟性は、有意差あり
・学習者は以前よりも流暢で多様な思考やアイデアを示すようになった
・創造性の高いグループと低いグループの4つの側面における学習進捗を比較した(figure3)
・創造性の高い学習者は流暢さにおいて大きな進歩を示した
・創造性の高い学習者の思考は、段階的プロジェクト学習と収束的SCAMPER指導戦略によってかなり改善され、創造性の低い学習者よりも、より流暢に議論中に多くのアイデアを提案し、独創性、精緻性、柔軟性も改善された
・創造性の低い学習者は、逐次的な指導や助言により、特定の視点にとらわれず、習慣的な発想ではなく柔軟な思考を示し、様々な手段で問題に対処し、様々なアイデアや概念を提案していた
・全体として、創造性の高い学習者の進歩は、創造性の低い学習者の進歩よりも顕著であった
・事前テストと事後テストで示された学習者の流暢さ、独創性、精巧さ、柔軟性は、有意差あり
・学習者は以前よりも流暢で多様な思考やアイデアを示すようになった
・創造性の高いグループと低いグループの4つの側面における学習進捗を比較した(figure3)
・創造性の高い学習者は流暢さにおいて大きな進歩を示した
・創造性の高い学習者の思考は、段階的プロジェクト学習と収束的SCAMPER指導戦略によってかなり改善され、創造性の低い学習者よりも、より流暢に議論中に多くのアイデアを提案し、独創性、精緻性、柔軟性も改善された
・創造性の低い学習者は、逐次的な指導や助言により、特定の視点にとらわれず、習慣的な発想ではなく柔軟な思考を示し、様々な手段で問題に対処し、様々なアイデアや概念を提案していた
・全体として、創造性の高い学習者の進歩は、創造性の低い学習者の進歩よりも顕著であった
4.2. 認知概念の関連性の分析
・学習プラットフォーム上のフォーラムへの投稿(非同時)とビデオ会議(同時)のディスカッション記録を分析し、すべてのインタラクションとディスカッションの内容を単語に変換
・単語は非構造データであるため、元の単語は2段階のプロセスを経て図形に変換された
・第1段階:CKIP単語分割システム(Ma & Chen, 2003)を使用して、文から単語または用語を取得し、単語をセグメンテーションした
・第2段階:SVMを用いて議論の内容を分類し、k-meansクラスタ法を通して、プラットフォーム上のインタラクションやディスカッションから、創造性の高い学習者と低い学習者の用語特性やキーワードを分析。結果をfigure4に示す。
・単語は非構造データであるため、元の単語は2段階のプロセスを経て図形に変換された
・第1段階:CKIP単語分割システム(Ma & Chen, 2003)を使用して、文から単語または用語を取得し、単語をセグメンテーションした
・第2段階:SVMを用いて議論の内容を分類し、k-meansクラスタ法を通して、プラットフォーム上のインタラクションやディスカッションから、創造性の高い学習者と低い学習者の用語特性やキーワードを分析。結果をfigure4に示す。
(創造性の高い学習者の特徴)
・プロジェクトの内容に関する学習者同士の議論や交流が多い
・主な使用キーワードは "サーバー"、"議論"、"アイデア"、"機能"、"報告"、"構造 "など、創造性の低い学習者よりも具体的
・ディスカッションやインタラクションにおいて、より個人的な考えや意見を述べる傾向が見られた
(創造性の低い学習者の特徴)
・ディスカッション内容は表面的なものになりがち
・他者とのやり取りは、"teacher"、"time"、"around"、"data"、"some"、"follow "などの他者の言葉に依存していた
・パフォーマンスやプレゼンテーションは比較的受動的であった
・プロジェクトの内容に関する学習者同士の議論や交流が多い
・主な使用キーワードは "サーバー"、"議論"、"アイデア"、"機能"、"報告"、"構造 "など、創造性の低い学習者よりも具体的
・ディスカッションやインタラクションにおいて、より個人的な考えや意見を述べる傾向が見られた
(創造性の低い学習者の特徴)
・ディスカッション内容は表面的なものになりがち
・他者とのやり取りは、"teacher"、"time"、"around"、"data"、"some"、"follow "などの他者の言葉に依存していた
・パフォーマンスやプレゼンテーションは比較的受動的であった
4.3. 個人的動機づけの分析
・統計分析結果はTable3の通り
・創造性の高い学習者と低い学習者は、4つの次元において有意差(p < .05)を示した
・次元スコアの平均値を評価し、創造性の高い学習者の内発的動機づけは、創造性の低い学習者のそれよりも高いことを発見
・創造性の高い学習者は、困難な問題にうまく対処できる可能性が高いく、困難に遭遇しても、それを個人の能力や知識を高める機会として扱い、困難な仕事に取り組むことに喜びを感じる
・創造性の低い学習者の外発的動機づけは、創造性の高い学習者よりも高く、具体的な計画やプロセスを伴う仕事内容を好む
・自分の仕事ぶりに対する他者の評価を高く評価し、自分の期待に見合う見返りを期待している
・創造性の高い学習者と低い学習者は、4つの次元において有意差(p < .05)を示した
・次元スコアの平均値を評価し、創造性の高い学習者の内発的動機づけは、創造性の低い学習者のそれよりも高いことを発見
・創造性の高い学習者は、困難な問題にうまく対処できる可能性が高いく、困難に遭遇しても、それを個人の能力や知識を高める機会として扱い、困難な仕事に取り組むことに喜びを感じる
・創造性の低い学習者の外発的動機づけは、創造性の高い学習者よりも高く、具体的な計画やプロセスを伴う仕事内容を好む
・自分の仕事ぶりに対する他者の評価を高く評価し、自分の期待に見合う見返りを期待している
4.4. 性格特性の分析
・達成目標に関する質問紙は13の項目で4つの次元を評価(performance-approach, performanceavoidance, mastery-approach, and mastery-avoidance.)
・質問紙統計の分析結果はTable4に示す通り
・創造性の高い学習者と低い学習者のパフォーマンス-アプローチ(t=-1.913、p<0.05)とマスタリー-アプローチ(t=-2.870、p<0.05)が有意に異なることが示された
・創造性の高い学習者の学習の焦点は、能力を発揮し、優越感を維持するために、優れたパフォーマンス能力を開発することであり、学習過程では、習得することを重視し、自己イメージを強化する努力によって学習内容を吸収することを期待していた
・創造性の低い学習者は、世間体を気にし、最悪の成績を取らないように努め、その結果、人前で自分の能力を発揮することに消極的であり、個人的な学習結果や成果を達成するために、受動的かつ安全に学習することで対処していた
・質問紙統計の分析結果はTable4に示す通り
・創造性の高い学習者と低い学習者のパフォーマンス-アプローチ(t=-1.913、p<0.05)とマスタリー-アプローチ(t=-2.870、p<0.05)が有意に異なることが示された
・創造性の高い学習者の学習の焦点は、能力を発揮し、優越感を維持するために、優れたパフォーマンス能力を開発することであり、学習過程では、習得することを重視し、自己イメージを強化する努力によって学習内容を吸収することを期待していた
・創造性の低い学習者は、世間体を気にし、最悪の成績を取らないように努め、その結果、人前で自分の能力を発揮することに消極的であり、個人的な学習結果や成果を達成するために、受動的かつ安全に学習することで対処していた
・問題解決スタイル質問票は13項目から構成され、学習者が問題を解決する際に直感的な方法を用いるか、系統的な方法を用いるかを調査するために用いられた
・分析結果はTable5に示す通り
・創造性の高い学習者と低い学習者の直観的な方法の使用は有意に異なっていた(t=-2.779,p< .05)
・創造性の高い学習者は直感的に問題を解決する傾向があり、情報に対処する際、彼らは様々な視点から情報を解釈し、プロジェクト分野間の関係を探求することに余分な時間を費やすことを厭わず、積極的に新しい解決策を模索した
・創造性の高い学習者と低い学習者は、システマティックな方法の使用に大きな違いは見られなかった
・学習者は、慣れ親しんだ技術や方法、調査手順を好んで使用し、プロジェクト実践のルールを慎重に守っていた
・問題解決における系統的手法の使用には、グループ間で有意な差は見られなかった。
・分析結果はTable5に示す通り
・創造性の高い学習者と低い学習者の直観的な方法の使用は有意に異なっていた(t=-2.779,p< .05)
・創造性の高い学習者は直感的に問題を解決する傾向があり、情報に対処する際、彼らは様々な視点から情報を解釈し、プロジェクト分野間の関係を探求することに余分な時間を費やすことを厭わず、積極的に新しい解決策を模索した
・創造性の高い学習者と低い学習者は、システマティックな方法の使用に大きな違いは見られなかった
・学習者は、慣れ親しんだ技術や方法、調査手順を好んで使用し、プロジェクト実践のルールを慎重に守っていた
・問題解決における系統的手法の使用には、グループ間で有意な差は見られなかった。
考察と結論
分析の結果、創造性の高い学習者と低い学習者で以下のような違いが確認されました。
(創造性の高い学習者の特徴)
・プロジェクト学習に取り組み、SCAMPER教育戦略に触れた後、より流暢さを示し、議論や交流の中でより多くのアイデアを提案し、より多くの個人的な見解や意見を述べた
・個人的な動機付けの結果によると、創造性の高い学習者は作業を楽しみ、困難に対処し、個人のスキルや知識を高めることを意図していた(この結果は、性格特性分析と一致)
・ディスカッションや交流の中で、創造性の高い学習者は問題解決能力を直感的に発揮していた
・個人的なアイデアや意見を述べる傾向があり、代替的な視点を提案することができた
・自分の優れた能力を示すために、複数の見解に基づいた意見を述べた
・挑戦することが好きで、努力によって新しい知識を吸収しようとした
・そのため、個人の能力を強化するために、積極的に解決策を探そうとする傾向が強かった
創造性の高い学習者は、
(1)常識にとらわれない方法で問題を解決することに慣れている
(2)他人のために勇敢にリスクを引き受けることができる
(3)世間に挑戦し、自分の信念のために立ち上がることができる
(4)他人を足手まといにする障害や課題を喜んで克服することができる(Kaufman & Sternberg, 2006, 2010; Sternberg, 1999; Sternberg & Grigorenko, 2007; Sternberg & Lubart, 1995, 1999)
(創造性の低い学習者の特徴)
(創造性の高い学習者の特徴)
・プロジェクト学習に取り組み、SCAMPER教育戦略に触れた後、より流暢さを示し、議論や交流の中でより多くのアイデアを提案し、より多くの個人的な見解や意見を述べた
・個人的な動機付けの結果によると、創造性の高い学習者は作業を楽しみ、困難に対処し、個人のスキルや知識を高めることを意図していた(この結果は、性格特性分析と一致)
・ディスカッションや交流の中で、創造性の高い学習者は問題解決能力を直感的に発揮していた
・個人的なアイデアや意見を述べる傾向があり、代替的な視点を提案することができた
・自分の優れた能力を示すために、複数の見解に基づいた意見を述べた
・挑戦することが好きで、努力によって新しい知識を吸収しようとした
・そのため、個人の能力を強化するために、積極的に解決策を探そうとする傾向が強かった
創造性の高い学習者は、
(1)常識にとらわれない方法で問題を解決することに慣れている
(2)他人のために勇敢にリスクを引き受けることができる
(3)世間に挑戦し、自分の信念のために立ち上がることができる
(4)他人を足手まといにする障害や課題を喜んで克服することができる(Kaufman & Sternberg, 2006, 2010; Sternberg, 1999; Sternberg & Grigorenko, 2007; Sternberg & Lubart, 1995, 1999)
(創造性の低い学習者の特徴)
・プロジェクト学習とSCAMPER指導戦略を採用したコースを受講した後、習慣的な思考を改善した
・独自の概念を拡張し、異なる見解を受け入れることができた
・しかし、ディスカッションでは、言葉によるやりとりは受動的であった
・他者の表現内容に基づいて考えを発展させる傾向が見られた
・個人的動機の分析結果によると、創造性の低い学習者は、他者の自分に対する見方を高く評価し、そのため関連する意見や考えを受動的に表現していた(この結果は、性格特性分析と一致)
・自分の能力を公に発揮したがらなかった
・彼らは受動的で依存的な学習を好んだ
・世間体への懸念から、積極的に関連する発言をすることを避けた
・学習時には慎重であったが、得られる見返りが個人的な期待に沿うことを期待していた
・創造性の低い学習者は、
(1)直線的かつ連続的な方法でアイデアや思考を発展させることに慣れており
(2)受動的に学習する傾向があり
(3)個人的な学習によって結果を連続的に提示することに慣れており
(4)自分に対する他者の見方や得られる見返りを高く評価する(Amabile & Sensabaugh, 1992; Amabile, 1996; Jauk, Benedek, Dunst, & Neubauer, 2013; Kozbelt & Serafin, 2009; Mednick, 1962; Serafin, Kozbelt, Seidel, & Dolese, 2011)。
・独自の概念を拡張し、異なる見解を受け入れることができた
・しかし、ディスカッションでは、言葉によるやりとりは受動的であった
・他者の表現内容に基づいて考えを発展させる傾向が見られた
・個人的動機の分析結果によると、創造性の低い学習者は、他者の自分に対する見方を高く評価し、そのため関連する意見や考えを受動的に表現していた(この結果は、性格特性分析と一致)
・自分の能力を公に発揮したがらなかった
・彼らは受動的で依存的な学習を好んだ
・世間体への懸念から、積極的に関連する発言をすることを避けた
・学習時には慎重であったが、得られる見返りが個人的な期待に沿うことを期待していた
・創造性の低い学習者は、
(1)直線的かつ連続的な方法でアイデアや思考を発展させることに慣れており
(2)受動的に学習する傾向があり
(3)個人的な学習によって結果を連続的に提示することに慣れており
(4)自分に対する他者の見方や得られる見返りを高く評価する(Amabile & Sensabaugh, 1992; Amabile, 1996; Jauk, Benedek, Dunst, & Neubauer, 2013; Kozbelt & Serafin, 2009; Mednick, 1962; Serafin, Kozbelt, Seidel, & Dolese, 2011)。
ここまで。
Project-based Learningを用いた学習効果について、創造性の高い/低いグループに分けて分析した研究は初めて目にしましたが非常に多くの学びがありました。
論文を概観したところ、創造性の高い学生は、創造性の4つの側面の伸びも高く、自分の意見を積極的に述べ、内発的動機が高く、世間体ではなく自身のために学習の焦点を当てているなど、多くの面で望ましい結果が示されていました。
学習態度や内発的動機づけは非常に重要な概念だとは理解していましたが、内発的動機と関連していることからも創造性の重要さを改めて認識しました。
「高い内発的動機づけによってフロー状態を維持できれば、創造的な仕事への熱意が高まる」
(Csikszentmihalyi, 1990)
研究手法としても、事前調査として創造性を測るTTC分析を行い、その結果を基にグループを高低に分け、様々な側面でグループの差を見ていくというやり方は非常に参考になりました。
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