アクティブ・ラーニングの効果性についての論文のレビューです。
工学部の教員支援のために書かれた論文ですが、学部関係なく全ての教員に有益な内容だと思います。
論文はこちら(被引用数:10,281件 (2024年6月25日時点))
Prince, M. (2004). Does active learning work? A review of the research. Journal of engineering education, 93(3), 223-231.
当論文の全体像は、アクティブ・ラーニングの定義に始まり、様々なタイプのアクティブ・ラーニングを区別・整理し、その有効性を分析するために、それぞれの手法の核となる要素について記述されています。
最も印象的だったのは、定義が不均一で一貫していない教育間比較を行うメタ分析は、結果を曖昧にする要因になりやすいということ。先日、博士後期のゼミで「PBLは取り組み内容が学校や担当者によってバラバラなので、中身の分析が難しいのでは?」というご指摘を受けたところだったのですが、正に当論文の問題意識と同じ内容のご指摘でした。
この対処法として、本論文では、実施方法ではなく、各アプローチの中心的要素を特定し、そこに焦点を当てることを推奨しています。自分はProject-based learningを調査したかったのですが、ここで取り上げられているPBLはProblem-basedの方。それでも、NormanとSchmidt(2000)は、PBLのいくつかの要素を特定し、学習効果に与える効果量をまとめているtable 3は大変参考になりました。
各章のタイトル、サブタイトルは以下の通り。
第1章:はじめに
第2章:アクティブ・ラーニングの定義
第3章:アクティブ・ラーニングに関する文献を解釈する際の共通の問題点
A. 研究対象の定義の問題
B. 「何が効果的か」を測定する問題
第4章:アクティブ・ラーニングのエビデンス
A. アクティブ・ラーニング
B. 共同学習(Collaborative Learning)
C. 協同学習(Cooperative Learning)
D. 問題解決型学習(Problem-based Learning)
第5章:結論
各章の気になった点を、以下にまとめます。
第2章. アクティブ・ラーニングの定義
・専門家でないチューターとPBLを実施した場合、有意な負の効果が見られた。ある分野の専門家と初心者を比較した研究では、専門家になることは単に「優れた思考」の問題ではないことが実証されている(Bransfordら, 2000)。それどころか、専門家はその分野の事実知識について、深い基礎と広範な基礎の両方を持っている必要があることが、研究によって実証されている。同じことがPBLにおけるチューターにも当てはまるようである
工学部の教員支援のために書かれた論文ですが、学部関係なく全ての教員に有益な内容だと思います。
論文はこちら(被引用数:10,281件 (2024年6月25日時点))
Prince, M. (2004). Does active learning work? A review of the research. Journal of engineering education, 93(3), 223-231.
当論文の全体像は、アクティブ・ラーニングの定義に始まり、様々なタイプのアクティブ・ラーニングを区別・整理し、その有効性を分析するために、それぞれの手法の核となる要素について記述されています。
最も印象的だったのは、定義が不均一で一貫していない教育間比較を行うメタ分析は、結果を曖昧にする要因になりやすいということ。先日、博士後期のゼミで「PBLは取り組み内容が学校や担当者によってバラバラなので、中身の分析が難しいのでは?」というご指摘を受けたところだったのですが、正に当論文の問題意識と同じ内容のご指摘でした。
この対処法として、本論文では、実施方法ではなく、各アプローチの中心的要素を特定し、そこに焦点を当てることを推奨しています。自分はProject-based learningを調査したかったのですが、ここで取り上げられているPBLはProblem-basedの方。それでも、NormanとSchmidt(2000)は、PBLのいくつかの要素を特定し、学習効果に与える効果量をまとめているtable 3は大変参考になりました。
各章のタイトル、サブタイトルは以下の通り。
第1章:はじめに
第2章:アクティブ・ラーニングの定義
第3章:アクティブ・ラーニングに関する文献を解釈する際の共通の問題点
A. 研究対象の定義の問題
B. 「何が効果的か」を測定する問題
第4章:アクティブ・ラーニングのエビデンス
A. アクティブ・ラーニング
B. 共同学習(Collaborative Learning)
C. 協同学習(Cooperative Learning)
D. 問題解決型学習(Problem-based Learning)
第5章:結論
各章の気になった点を、以下にまとめます。
第2章. アクティブ・ラーニングの定義
・アクティブ・ラーニングでは、生徒が意味のある学習活動を行い、自分が行っていることについて考えることが求められる(Bonwell & Eison, 1991)
・アクティブ・ラーニングの核となる要素は、生徒の活動と学習プロセスへの参加である
【協調学習(Collaborative learning)】
・協調学習(Collaborative learning)とは、学生が共通の目標に向かって小グループで協力する指導方法のことである。そのため、協調学習は、協同学習(Cooperative learning)を含むすべてのグループベースの指導方法を包含するとみなすことができる
・アクティブ・ラーニングの核となる要素は、生徒の活動と学習プロセスへの参加である
【協調学習(Collaborative learning)】
・協調学習(Collaborative learning)とは、学生が共通の目標に向かって小グループで協力する指導方法のことである。そのため、協調学習は、協同学習(Cooperative learning)を含むすべてのグループベースの指導方法を包含するとみなすことができる
・協調学習と協同学習は、歴史的な発展や哲学的なルーツが異なるとして区別する著者もいる
【協同学習(Cooperative learning)】
・協同学習は、学生が個々に評価されながら共通の目標を追求する、グループワークの構造化された形態として定義することができる
・工学の文献で見られる協調学習の最も一般的なモデルは、Johnson, Johnson and Smith(1998)のものである。このモデルには、個人の説明責任、相互依存、対面による促進的相互作用、対人スキルの適切な練習、チーム機能の定期的な自己評価という5つの具体的な信条が組み込まれている
・様々な協同学習モデルが存在するが、共通する核となる要素は、学習を促進するために競争よりも協同的なインセンティブに焦点を当てることである。
・工学の文献で見られる協調学習の最も一般的なモデルは、Johnson, Johnson and Smith(1998)のものである。このモデルには、個人の説明責任、相互依存、対面による促進的相互作用、対人スキルの適切な練習、チーム機能の定期的な自己評価という5つの具体的な信条が組み込まれている
・様々な協同学習モデルが存在するが、共通する核となる要素は、学習を促進するために競争よりも協同的なインセンティブに焦点を当てることである。
【問題解決型学習(PBL)】
・問題解決型学習(PBL)は、指導サイクルの最初に関連する問題を導入し、その後の学習の文脈と動機付けを提供するために使用する指導方法である
・PBLは常に能動的であり、上記の定義に従えば、通常共同的または協力的である
・PBLは通常、生徒の側でかなりの量の自己学習を伴う
・問題解決型学習(PBL)は、指導サイクルの最初に関連する問題を導入し、その後の学習の文脈と動機付けを提供するために使用する指導方法である
・PBLは常に能動的であり、上記の定義に従えば、通常共同的または協力的である
・PBLは通常、生徒の側でかなりの量の自己学習を伴う
第3章. アクティブ・ラーニングに関する文献を解釈する際の共通の問題点
A. 研究対象の定義の問題
・読者や著者が何を研究しているのかを正確に特定しない限り、混乱が生じる可能性がある。
・問題解決型学習(Problem-Based Learning)には、様々なアプローチがある。PBLに対するこれらの明確なアプローチには、共通する要素と同じくらい多くの違いがあり、文献の解釈を難しくしている
・例えば、PBLでは、学生は通常、少人数のチームに分かれ、自主的に問題を解決する
・NormanとSchmidt(2000)は、多くのメタ分析(Lipsey and Wilson, 1993)を見て、生徒が小チームで活動することは学業成績にプラスの効果がある一方、自己主導型学習は学業成績にややマイナスの効果があると指摘している。つまり、学業達成を促進するためにPBLが機能するかどうかを問うなら、その答えは、部分的には機能し、部分的には機能しないということになる。
・PBLの応用が異なれば、強調する要素も異なるため、PBLの全体的な効果に関する文献の結果は、何を検証しているのかを明確にしない限り、混乱するに違いない。このことは、アクティブ・ラーニングや協調学習といった、より広義に定義されたアプローチにおいてはなおさらである。
・問題解決型学習(Problem-Based Learning)には、様々なアプローチがある。PBLに対するこれらの明確なアプローチには、共通する要素と同じくらい多くの違いがあり、文献の解釈を難しくしている
・例えば、PBLでは、学生は通常、少人数のチームに分かれ、自主的に問題を解決する
・NormanとSchmidt(2000)は、多くのメタ分析(Lipsey and Wilson, 1993)を見て、生徒が小チームで活動することは学業成績にプラスの効果がある一方、自己主導型学習は学業成績にややマイナスの効果があると指摘している。つまり、学業達成を促進するためにPBLが機能するかどうかを問うなら、その答えは、部分的には機能し、部分的には機能しないということになる。
・PBLの応用が異なれば、強調する要素も異なるため、PBLの全体的な効果に関する文献の結果は、何を検証しているのかを明確にしない限り、混乱するに違いない。このことは、アクティブ・ラーニングや協調学習といった、より広義に定義されたアプローチにおいてはなおさらである。
・この点は、この分野の概要を手っ取り早く知りたい読者にとって魅力的であるメタアナリシスのいくつかに、異なる光を当てることになる。
・PBLの効果に関する複数の研究結果を集計しても、メタ分析に含まれる個々の研究でPBLの形態が大きく異なれば、誤解を招く可能性がある
・PBLの効果に関する複数の研究結果を集計しても、メタ分析に含まれる個々の研究でPBLの形態が大きく異なれば、誤解を招く可能性がある
・この問題を最小限にするため、セクションIVで紹介する分析では、ある指導法の特定の中核的要素に焦点を当てている(例:セクションIIで論じたように、協調学習の中核的要素は、個人で作業するよりもグループで作業することであり、同様に、協同学習の核となる要素は、競争ではなく協力である)
B. 「何が効果的か」を測定する問題
◆幅広い複数の学習成果を包括的に評価することが困難である
・すべての指導方法が複数の要素から構成されているように、それはまた複数の学習成果に影響を与える (Norman and Schmidt, 2000)
・アクティブ・ラーニングが「効果的」であるかどうかを問う場合、事実的知識、関連スキル、学生の態度、および学術プログラムにおける学生の定着のような実用的な項目の測定など、幅広い成果を考慮する必要があるが、これらの学習成果の全てにどのような影響を与えるかについての確かなデータは得られないことが多く、包括的な評価は困難である
◆より高いレベルの学習成果は計測が難しい(問題解決能力や生涯学習に関するスキルなど)
・すべての指導方法が複数の要素から構成されているように、それはまた複数の学習成果に影響を与える (Norman and Schmidt, 2000)
・アクティブ・ラーニングが「効果的」であるかどうかを問う場合、事実的知識、関連スキル、学生の態度、および学術プログラムにおける学生の定着のような実用的な項目の測定など、幅広い成果を考慮する必要があるが、これらの学習成果の全てにどのような影響を与えるかについての確かなデータは得られないことが多く、包括的な評価は困難である
◆より高いレベルの学習成果は計測が難しい(問題解決能力や生涯学習に関するスキルなど)
・特に、アクティブ・ラーニングの手法で目標とされる、より高いレベルの学習成果は計測が困難
・問題解決や生涯学習は測定が難しいため、テストの点数など標準的な学力指標に比べて、これらの成果に関するデータを入手できる頻度は低い
・問題解決や生涯学習は測定が難しいため、テストの点数など標準的な学力指標に比べて、これらの成果に関するデータを入手できる頻度は低い
◆何が効果的かを決定する別の問題は、いつ改善が有意であるかを決定することである
・アクティブ・ラーニングの支持者は、改善の大きさが小さいことに触れずに改善を引き合いに出すことがある(Colliver, 2000)
・特に、改善をもたらすために余分な努力やリソースが必要な場合に誤解を招く
・アクティブ・ラーニングの支持者は、改善の大きさが小さいことに触れずに改善を引き合いに出すことがある(Colliver, 2000)
・特に、改善をもたらすために余分な努力やリソースが必要な場合に誤解を招く
・介入の影響の定量化は、効果量を用いて行われることが多いが、この効果量は、被験者集団と対照集団の平均値の差を、プールされた集団の標準偏差で割ったものと定義される
・効果の大きさは改善の大きさを示す一般的な尺度であるが、相対的な値よりも絶対的な値の方がより示唆に富む場合があることに留意すべき
・効果の大きさは改善の大きさを示す一般的な尺度であるが、相対的な値よりも絶対的な値の方がより示唆に富む場合があることに留意すべき
・統計的に有意な結果と、絶対値で有意な結果の間には、重要な違いがある場合があるため、報告された改善の大きさについて、統計的な尺度と絶対的な尺度の両方を見つけてから、それが有意であるかどうかを判断するのが最善であることが多い
C. まとめ
「何が研究されているのか」「どのように効果を測定しているのか」を明確にする必要がある。
「何が研究されているのか」
→アクティブ・ラーニングには様々な手法があり複雑だが、核となる要素に焦点を当てることで単純化することができる。
「何が効果的か」
・幅広い学習成果に目を向け、データを注意深く解釈し、報告された改善の大きさを定量化し、何をもって「有意な」改善とするかについてある程度の考えを持つことが必要
・効果の大きさなどの統計的尺度と、報告された学習効果の絶対値の両方を見ることは有益
以下が、各アクティブラーニングの手法と中心となる要素です。
「何が研究されているのか」
→アクティブ・ラーニングには様々な手法があり複雑だが、核となる要素に焦点を当てることで単純化することができる。
「何が効果的か」
・幅広い学習成果に目を向け、データを注意深く解釈し、報告された改善の大きさを定量化し、何をもって「有意な」改善とするかについてある程度の考えを持つことが必要
・効果の大きさなどの統計的尺度と、報告された学習効果の絶対値の両方を見ることは有益
第4章. アクティブ・ラーニングのエビデンス
・BonwellとEison(1991)は、アクティブ・ラーニングに関する文献を要約し、アクティブ・ラーニングが生徒の態度を改善し、生徒の思考力や文章力を向上させると結論付けている
・アクティブ・ラーニングの一形態であるディスカッションが、資料の定着、さらなる学習への動機づけ、思考力の育成において、従来の講義を上回るというMcKeachieのエビデンスも引用している
・Felderら(2000)は、効果的な教授法に関する提言にアクティブ・ラーニングを含め、特にアクティブ・ラーニングがChickering and Gamson(1987)の「優れた実践のための7つの原則」の1つであることを指摘している
・アクティブ・ラーニングの一形態であるディスカッションが、資料の定着、さらなる学習への動機づけ、思考力の育成において、従来の講義を上回るというMcKeachieのエビデンスも引用している
・Felderら(2000)は、効果的な教授法に関する提言にアクティブ・ラーニングを含め、特にアクティブ・ラーニングがChickering and Gamson(1987)の「優れた実践のための7つの原則」の1つであることを指摘している
・アクティブ・ラーニングに対するこうした支持のすべてが説得力を持つわけではなく、McKeachie(1972)自身も、講義に対するディスカッションの改善効果は測定上小さいと認めている
・Chickering and Gamson(1987)は、その原則の1つであるアクティブ・ラーニングを支持する確かなエビデンスを示していないにもかかわらず、アクティブ・ラーニングに対する実証的な支持は広範囲に及んでいる
・アクティブ・ラーニングと銘打たれた指導法の多様性が、この問題を混迷させており、広範な主張によって何が促進されているのか、必ずしも明確ではない
・アクティブ・ラーニングを方法というよりむしろアプローチとして考え、異なる方法は個別に評価するのが最善であろう
・アクティブ・ラーニングを方法というよりむしろアプローチとして考え、異なる方法は個別に評価するのが最善であろう
・アクティブ・ラーニングの方法それぞれについて、すべてのスキームの有効性を検討するのではなく、各アプローチの重要な要素を特定する2つの利点
①講義にアクティビティを取り入れたり、学生をグループに分けたりすることが効果的かどうかといった、基本的かつ実際的な問題を検討できる
②核となる要素に焦点を絞ることで、ある大まかなカテゴリーに分類されるすべての指導技法の有効性を検証する必要がなくなる
②核となる要素に焦点を絞ることで、ある大まかなカテゴリーに分類されるすべての指導技法の有効性を検証する必要がなくなる
以下が、各アクティブラーニングの手法と中心となる要素です。
A. アクティブ・ラーニング
1)従来の講義に学生の活動を導入する:
・講義に学生の活動を導入することで、生徒の興味を維持し、講義内容の定着率の低下を防げる
2)生徒の参加を促す:
・単に教室にアクティビティを導入することに加え、重要な学習事項を中心に活動がデザインされ、生徒の思慮深い参加を促す必要がある
・単に教室にアクティビティを導入することに加え、重要な学習事項を中心に活動がデザインされ、生徒の思慮深い参加を促す必要がある
・Astin(1993)は、学生の参加は、大学での成功を決定づける最も重要な要因の一つであると報告
・Hake(1998)は、物理学入門コースの学生6,000人以上の事前・事後テストデータを調査し、双方向的エンゲージメント手法を大幅に活用したクラスの学生の成績が有意に向上していることを発見
・概念的理解を測定するテストの得点は、従来の授業よりもエンゲージメントを促進する授業の方が約2倍高かった
・Figure 1はLawsら(1999)の論文から引用したもので、基本的な物理の概念の理解を向上させるためには、能動的な学習方法が従来の指導を上回ることを示しており、この差は非常に大きい
・Hake(1998)は、物理学入門コースの学生6,000人以上の事前・事後テストデータを調査し、双方向的エンゲージメント手法を大幅に活用したクラスの学生の成績が有意に向上していることを発見
・概念的理解を測定するテストの得点は、従来の授業よりもエンゲージメントを促進する授業の方が約2倍高かった
・Figure 1はLawsら(1999)の論文から引用したもので、基本的な物理の概念の理解を向上させるためには、能動的な学習方法が従来の指導を上回ることを示しており、この差は非常に大きい
B. 共同学習(Collaborative Learning)
・共同学習の中心的な要素は、共同作業と個人作業であり、そのため分析では、共同作業が学習成果にどのように影響するかに焦点を当てる
・Johnson, Johnson and Smith(1998)は、90年にわたる研究のレビューにおいて、協力は個人作業と比較して学習成果を全面的に向上させることを発見
・さまざまな学習成果に対するコラボレーションの影響(効果量)をTable 1に示している
・Johnson, Johnson and Smith(1998)は、90年にわたる研究のレビューにおいて、協力は個人作業と比較して学習成果を全面的に向上させることを発見
・さまざまな学習成果に対するコラボレーションの影響(効果量)をTable 1に示している
・コラボレーションは、グループの定着率を向上させるのに特に効果的であることを示唆するエビデンスもある(Fredricksen, 1998; Berry, 1991)
・Springerら(1999)は、少量、中量、多量のグループワークを取り入れることが学業達成に及ぼす影響を具体的に調べ、グループワークの時間が少ない場合、中程度の場合、多い場合にそれぞれ0.52、0.73、0.53の正の効果があることを明らかにした
・対照的に、グループで過ごす時間が長いほど、生徒の肯定的な態度を促進する効果が最も高く、グループでの時間が少ない、中程度、多い場合の効果量はそれぞれ0.37、0.26、0.77であった
・対照的に、グループで過ごす時間が長いほど、生徒の肯定的な態度を促進する効果が最も高く、グループでの時間が少ない、中程度、多い場合の効果量はそれぞれ0.37、0.26、0.77であった
・多くのメタアナリシスは、コラボレーションが学生の幅広い学習成果を促進するために「有効」であるという前提を支持
・特に、コラボレーションは、学業成果、学生の態度、学生の定着率(student retention)を高める
・特に、コラボレーションは、学業成果、学生の態度、学生の定着率(student retention)を高める
C. 協同学習(Cooperative Learning)
・協同学習において、さまざまな肯定的な学習成果を促進するためには、競争よりも協力のほうが効果的
・協同学習において、さまざまな肯定的な学習成果を促進するためには、競争よりも協力のほうが効果的
・協力は人間関係を促進し、社会的支援を向上させ、自尊心を育む
・Johnsonら(1998)は、協同学習グループを使用する際に、効果的なチームメンバーになるために必要なスキルを学生に明示的に訓練することを推奨
・JohnsonとJohnson(1989)は、社会的スキルは、競争的な状況や個人的な状況よりも、むしろ協力的な状況において向上する傾向があると報告
・Terenziniら(2001)は、協同学習の結果、生徒がチームスキルを向上させることを示している
・JohnsonとJohnson(1989)は、社会的スキルは、競争的な状況や個人的な状況よりも、むしろ協力的な状況において向上する傾向があると報告
・Terenziniら(2001)は、協同学習の結果、生徒がチームスキルを向上させることを示している
D. 問題解決型学習(Problem-based Learning)
・PBLは、学生の学習成果を明確に特定できる核となる要素が1つか2つしかないため分析するのは難しい
・中核的要素の最も近い候補は、帰納的学習または発見的学習であろう
・PBLは従来の指導よりも生徒の積極的な態度を育て、学習への深いアプローチを育み、生徒が知識を長く保持するのに役立つ
・中核的要素の最も近い候補は、帰納的学習または発見的学習であろう
・PBLは従来の指導よりも生徒の積極的な態度を育て、学習への深いアプローチを育み、生徒が知識を長く保持するのに役立つ
・協同学習が個人間のスキルを促進するための自然な環境を提供するように、PBLは問題解決や生涯学習のスキルを開発するための自然な環境を提供する。実際、PBLが医学生の問題解決能力を向上させ、PBLと問題解決に関する明示的な指導を組み合わせることによって、これらの能力をさらに向上させることができることを示すエビデンスもある
・自律的学習(self-directed learning)とメタ認知は、PBLと生涯学習の両方に共通するものであるため、この望ましい学習成果とPBL指導の間には論理的なつながりがある。
・PBLの一般的な定義については合意があるものの、実施方法は大きく異なっている・自律的学習(self-directed learning)とメタ認知は、PBLと生涯学習の両方に共通するものであるため、この望ましい学習成果とPBL指導の間には論理的なつながりがある。
・PBLの実践には多くのバリエーションがあるため、その効果の分析はより複雑になっている
・AlbaneseとMitchell(1993)も同様に、学生と教員が一般的にPBLのアプローチを好むことを発見
・NormanとSchmidt(2000)は、「PBLは、よりやりがいがあり、やる気を起こさせ、楽しい教育アプローチを提供する」と述べている
・NormanとSchmidt(2000)は、「PBLは、よりやりがいがあり、やる気を起こさせ、楽しい教育アプローチを提供する」と述べている
・PBLは従来の指導と比較して知識の長期的な保持を改善するというエビデンスもある(Norman and Schmidt, 1993; Martensenら, 1985; Gallagher, 1997)
・PBLは学生の学習習慣を向上させるというエビデンスもある。PBLは、生徒の自主性を必要とするアプローチであることから予想されるように、図書館の利用、教科書の読書、授業への出席、単純な想起よりも意味のある勉強を増やすことが頻繁に示されている(Vernon and Blake, 1993; Albanese and Mitchell, 1993; Gallagher, 1997; Major and Palmer, 2001)
・PBLは学生の学習習慣を向上させるというエビデンスもある。PBLは、生徒の自主性を必要とするアプローチであることから予想されるように、図書館の利用、教科書の読書、授業への出席、単純な想起よりも意味のある勉強を増やすことが頻繁に示されている(Vernon and Blake, 1993; Albanese and Mitchell, 1993; Gallagher, 1997; Major and Palmer, 2001)
・PBLは能動的であり、学生を巻き込み、一般的に協力的なものである
・PBLは帰納的で、一般的に自己主導的であり、多くの場合、必要なスキルの明示的なトレーニングが含まれる
・PBLは帰納的で、一般的に自己主導的であり、多くの場合、必要なスキルの明示的なトレーニングが含まれる
・NormanとSchmidt(2000)は、PBLのいくつかの要素を特定し、それらが学習成果にどのような影響を与えるかを示しており、その結果は、Lipsey and Wilson(1993)が提供したメタ研究の要約(測定された学習成果は学業達成度)を用いて、Norman and Schmidtから直接引用したTable 3に示されている。
・専門家でないチューターとPBLを実施した場合、有意な負の効果が見られた。ある分野の専門家と初心者を比較した研究では、専門家になることは単に「優れた思考」の問題ではないことが実証されている(Bransfordら, 2000)。それどころか、専門家はその分野の事実知識について、深い基礎と広範な基礎の両方を持っている必要があることが、研究によって実証されている。同じことがPBLにおけるチューターにも当てはまるようである
・マイペース学習(self-paced)と自己主導型学習の両方に、わずかながら負の効果がある。この結果は、テスト結果に対するPBLの効果に関するAlbaneseとMitchell(1993)の知見と一致。10件中7件で、PBLプログラムの学生は、基礎科学のテストにおいて従来のプログラムの学生よりも得点が低かった。しかし、10件中3件では、PBLの生徒の方が実際に得点が高かった。AlbaneseとMitchellは、これら3つのPBLプログラムは他のプログラムよりも「指示的」であり、この要素がこれらのプログラムの学生の優れた試験成績の原因かもしれないと指摘している。
・学生を小グループに配置し、協同学習の仕組みを用いることで、有意なプラスの効果が見られた。PBLと協同学習は異なるアプローチであるが、指導者が活用を検討すべき自然な相乗効果がある。すなわち、PBLで使用されるような現実の問題は、効率的に解決するためにチームを必要とする。同時に、現実的な問題によって提供される挑戦は、協同学習の5つの信条の1つである相互依存の一部を提供することができる。
・問題解決スキルの習得には練習が欠かせないが、問題解決のスキルを明示的に指導することで、より大きな成果が得られる
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