メタ認知尺度(A Metacognitive Awareness Inventory(MAI))について大学生用かつ短縮版を開発した論文のレビューです。

論文はこちら(被引用数:まだなし (2024年12月7日時点))
山地弘起, & 丹羽量久. (2024). 2 つの下位尺度をもつ大学生用メタ認知尺度 MAI 短縮版の作成. 日本教育工学会論文誌, 47, 257-260.

メタ認知尺度(A Metacognitive Awareness Inventory(MAI))はメタ認知を計測するための尺度で、1994年にSchraw and Dennisonによって作成されました。
その後、MAIの短縮版尺度なども開発されてきましたが、より明確な単純構造を確認した短縮版の構成が望まれたことから、本論文ではその尺度開発に取り組まれています。ちなみに、今年2024年に発表されたばかりの論文です。
今回の尺度開発にいたる流れを簡単にまとめます。

【オリジナル尺度:Metacognitive Awareness Inventory(MAI)(Schraw and Dennison, 1994)】
・12カ国で翻訳
・8つの下位尺度、計52項目
 ・知識面(宣言的知識・手続き的知識・条件的知識)
 ・行動面(プランニング・情報管理方略・モニタリング・修正方略・学習評価)

【MAI短縮版尺度(Harrison and Callin, 2018; Sperling et al., 2002)】
・知識面と行動面の2次元尺度

【新たに6項目を加えた新尺度(丹波ほか 2019)】
・原尺度に少なかった項目群(条件的知識と修正方略)に6項目追加
・計58項目

【4下位尺度からなる短縮版(丹波・山地, 2019)】
・合計58項目(知識面20項目と行動面38項目)で因子分析し、短縮版30項目
・全体として十分な単純構造を得られていなかった
→より明確な単純構造を確認した短縮版の構成が望まれた(課題)

そして、今回の尺度開発により、58項目全体の因子尺度に堪える短縮版の尺度(30項目から23項目へとさらに短縮)が作られました。
因子分析の結果、「知識面・行動面」とは別の2つの下位尺度としてまとまり、「メタ認知全般(12項目)」と「学び方の対処(11項目)」と解釈されました。
table1
※「まったくあてはまらない」「あまりあてはまらない」「ややあてはまらない」 「ややあてはまる」「だいたいあてはまる」「とてもあてはまる」の6件法で回答

自分のフィールドが大学教育がメインであり、かつ短縮版の尺度ということで、非常にありがたい内容でした。授業内でも使いやすそうです。
メタ認知を測る際には是非活用させていただこうと思います。