大学の授業における問題解決型学習(Problem-Based Learning: PBL)の導入が、学生のエンゲージメントに与える影響を測定・分析した論文をレビューします。
論文はこちら(被引用数:598件 (2025年3月21日時点))
Ahlfeldt*, S., Mehta, S., & Sellnow, T. (2005). Measurement and analysis of student engagement in university classes where varying levels of PBL methods of instruction are in use. Higher Education Research & Development, 24(1), 5-20.
PLBを通した学生のエンゲージメントを測定するために「Student Engagement(SE)Survey」を開発し、その尺度を用いて学生のエンゲージメントの調査、分析を行った研究です。
・対象者:米国中西部の上位の大学の56のクラスに在籍する1,831人の学生
・調査票:National Survey of Student Engagement(NSSE)を基にした14項目の学生エンゲージメント(SE)サーベイを作成し実施(Appendix参照)
そして、以下の通り、3つの仮説と3つRQが立てられ、検証されています。
それぞれ結果をまとめます。

【RQと結果】

RQ3:NSSEのオリジナル調査から、個々の授業における学生のエンゲージメントを測定し、その結果をNSSE調査の関連質問と比較できるようなシンプルな尺度を開発できるか?
→信頼性◯:クロンバックα係数は、0.84
→協同学習のレベル、認知的な課題のレベル、個人的なスキルの開発の3つの問いの合計が、各学生のES。これらの変数は高い相関関係を持ち、統計的に有意であった。
→結論:尺度のしっかりとした構造を持ち、本研究に適した尺度であることが確認された

ここまで。
PBL×大学×エンゲージメントの掛け合わせは個人的にすごく興味のある分野だったので非常に勉強になりました。特に、学生のエンゲージメントを高める要素としてPBLが最も効果的であるというのは嬉しい発見でした。
エンゲージメントを高めるためにもPBLは大いに活用していきたいです。
以下、メモ
・McKeachie and Gibbs(1999)は、「PBLは現代の高等教育における最も重要な発展のひとつである」と述べている(p. 175)
・理論と実践のギャップを埋めることで、より高度な学習が可能となり、近年PBLが非常に高く評価されている理由となっている。さらに、学生が学んだ内容を実際に使用する場面で学ぶ機会が与えられると、学生は情報をより確実に記憶し、人生の課題に対処する準備が整う(Albanese & Mitchell, 1993)
・PBLは、クラスでのエンゲージメントを高める効果的な方法となり得る(Duch et al., 2001)
論文はこちら(被引用数:598件 (2025年3月21日時点))
Ahlfeldt*, S., Mehta, S., & Sellnow, T. (2005). Measurement and analysis of student engagement in university classes where varying levels of PBL methods of instruction are in use. Higher Education Research & Development, 24(1), 5-20.
PLBを通した学生のエンゲージメントを測定するために「Student Engagement(SE)Survey」を開発し、その尺度を用いて学生のエンゲージメントの調査、分析を行った研究です。
・対象者:米国中西部の上位の大学の56のクラスに在籍する1,831人の学生
・調査票:National Survey of Student Engagement(NSSE)を基にした14項目の学生エンゲージメント(SE)サーベイを作成し実施(Appendix参照)
そして、以下の通り、3つの仮説と3つRQが立てられ、検証されています。
・仮説1:コースレベルが上がるにつれ、エンゲージメントレベルも上がる
・仮説2:クラスの登録者数が減少するにつれ、エンゲージメントレベルも上がる
・仮説3:PBLが増加するにつれ、エンゲージメントレベルも上がる
・RQ1:どの学部の教室でのエンゲージメントレベルが最も高いか?
・RQ2:上記の4つの変数の中で、ES(エンゲージメントスコア)を最も正確に予測するのはどれか?
・RQ3:NSSEのオリジナル調査から、個々の授業における学生のエンゲージメントを測定し、その結果をNSSE調査の関連質問と比較できるようなシンプルな尺度を開発できるか?それぞれ結果をまとめます。
【仮説と結果】
仮説2:クラスの人数が減少するにつれ、エンゲージメントレベルも上がる
→◯:少人数のクラスほど、エンゲージメントレベルは高い傾向にあった
※大きなクラスでも高レベルのエンゲージメントは達成できるが、統計的には、小さなクラスの方がより達成される可能性が高い

仮説3:PBLが増加するにつれ、エンゲージメントレベルも上がる
→◯:PBLの導入度が高いクラスほど、学生のエンゲージメントスコアは高かった※大きなクラスでも高レベルのエンゲージメントは達成できるが、統計的には、小さなクラスの方がより達成される可能性が高い

仮説3:PBLが増加するにつれ、エンゲージメントレベルも上がる

【RQと結果】
RQ1:どの学部の教室でのエンゲージメントレベルが最も高いか?
→芸術、人文科学、社会科学の分野のクラスは、数学や科学のクラスに比べてエンゲージメントスコアが高かった。これは、分野が表現的であり、PBLの学習法に適しているための考えられる。

RQ2:上記の4つの変数(PBLの導入度、クラス規模、コースレベル、学問分野)の中で、ES(エンゲージメントスコア)を最も正確に予測するのはどれか?
→4つの変数すべてが統計的に有意であったが、その中でもPBLの導入度が最も正確にエンゲージメントスコアを予測する変数であることが示唆された。
RQ2:上記の4つの変数(PBLの導入度、クラス規模、コースレベル、学問分野)の中で、ES(エンゲージメントスコア)を最も正確に予測するのはどれか?

RQ3:NSSEのオリジナル調査から、個々の授業における学生のエンゲージメントを測定し、その結果をNSSE調査の関連質問と比較できるようなシンプルな尺度を開発できるか?
→信頼性◯:クロンバックα係数は、0.84
→協同学習のレベル、認知的な課題のレベル、個人的なスキルの開発の3つの問いの合計が、各学生のES。これらの変数は高い相関関係を持ち、統計的に有意であった。
→結論:尺度のしっかりとした構造を持ち、本研究に適した尺度であることが確認された

ここまで。
PBL×大学×エンゲージメントの掛け合わせは個人的にすごく興味のある分野だったので非常に勉強になりました。特に、学生のエンゲージメントを高める要素としてPBLが最も効果的であるというのは嬉しい発見でした。
ただ、年次が上がるにつれてエンゲージメントも高まるというのは、自分の肌感から言うとちょっと違和感がありました。日本とアメリカの文化の違いなのかもしれませんが、日本では年次が若い方がエンゲージメントが高いような気がします。
また、数学や科学といった理系よりも、芸術、人文科学、社会科学の分野のクラスの方がエンゲージメントスコアが高かったというのも少し意外な結果でした。STEAMの科目の方がPBLの授業が設計しやすいといった印象を持っていたのですが、うまく設計できれば「表現」を得意とする文系の学部の方が学生が楽しんで積極的に参加するということなのかもしれません。エンゲージメントを高めるためにもPBLは大いに活用していきたいです。
以下、メモ
・McKeachie and Gibbs(1999)は、「PBLは現代の高等教育における最も重要な発展のひとつである」と述べている(p. 175)
・理論と実践のギャップを埋めることで、より高度な学習が可能となり、近年PBLが非常に高く評価されている理由となっている。さらに、学生が学んだ内容を実際に使用する場面で学ぶ機会が与えられると、学生は情報をより確実に記憶し、人生の課題に対処する準備が整う(Albanese & Mitchell, 1993)
・PBLは、クラスでのエンゲージメントを高める効果的な方法となり得る(Duch et al., 2001)
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