働く人のキャリア形成や職業的発達のプロセスを、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いた質的研究によって明らかにした実践的研究書。
自身の次の研究の手法としてM-GTAを検討していたところ、ゼミで本書を紹介されたため手に取りました。
内容は、大学生から中堅・熟達期の専門職に至るまで、ライフステージの異なる対象者のキャリア意識や成長のプロセスをM-GTAを通して明らかにした6つの論文で構成されています。
各章のタイトルとリサーチクエスチョン、分析テーマは以下の通り。
第1章:大学生はインターンシップでどのように職業意識を発達させるのか
・RQ1:インターンシップ参加前の学生の職業意識はどのようなものか
・RQ2:インターンシップへの参加によって学生はどのような経験をし、職業意識を変化させていくのか
・分析テーマ1:インターンシップ参加直前の職業意識と参加動機
・分析テーマ2:インターンシップ経験による職業意識の変化プロセスと変化を促進する経験
第2章:職業生活の心理的居場所感はどのように変容するのか
・RQ1:職業生活における心理的居場所間は、どのようなプロセスで低下・喪失から上昇・再獲得されていくのか
・RQ2:そのプロセスの経験により、どのような心理的変容があるのか
・RQ3:職業生活における心理的居場所感には、どのような要因が影響を与えるのか。それらは発達段階と関連があるのか
・分析テーマ:企業で働く人の職業生活における心理的居場所間の変容プロセスとその影響要因
第3章:長期育児休業を通して男性のキャリア意識はどのように変容するのか
・RQ1:男性の長期育休取得に影響を与える要因は何か
・RQ2:長期育休を通して男性のキャリア意識を含む内的側面はどのように変容するのか。またそれに影響を与える要因は何か。
・RQ3:男性の内的変容は復職後の行動にどのような影響を与えるのか
・分析テーマ:長期育休を取得した男性の内的変容プロセス
第4章:本務と組合活動の両立を通して、人はどのように成長していくのか
・RQ1:非専従執行役員はどのような経緯で役員を受任し、その後役員としての役割遂行と意識や行動はどのように変化するのか
・RQ2:役員としての役割遂行と意識や行動の変化にはどのような要因が関連するのか
・分析テーマ:非専従執行役員の本務と組合活動の両立を通した職業的発達プロセス
第5章:プロジェクトマネージャはどのように熟達段階へと成長していくのか
・RQ:プロジェクトマネージャに着任後、熟達の階段へと成長していくにあたり、どのように仕事に取り組み、能力を向上させていくのか。どのように生涯発達、及びキャリア発達の課題を乗り越えてきたのか
・分析テーマ:IT系プロジェクトマネージャの発達プロセス
第6章:役職定年者は役職を降りた後の仕事や職場にどのように向き合うのか
・RQ:役職定年者は、役職定年をどう受け止め、会社に留まるキャリアを選択していくのか。さらに役職定年後にどのような経験を積み組織に再適応していくのか。
・分析テーマ:役職定年者の会社に留まるキャリア選択と組織内再適応プロセス
自分の研究に参考になる部分を探しながら全章に目を通したのですが、とりわけ第1章と2章が研究設計に最も近いと感じました。
大学生のインターンシップ経験を通した職業意識の発達プロセスを扱う第1章は、教育的実践の中で学習者がどのように経験を意味づけ、内的な変容へと至るのかを丁寧に描いており、PBLを通したスキル変容プロセスを明らかにしようとする自分の研究と高い親和性があると感じました。特に、参加前の意識や動機を起点として、経験の蓄積と意味づけの変化を通じて意識が再編成されていくプロセスの捉え方は、自身の分析テーマ設定やリサーチクエスチョンを検討するうえで多くの示唆を与えてくれました。
本書は単なる研究成果の報告にとどまらず、キャリア支援に携わる実践者にとっても重要な示唆を多数提供しています。量的研究では捉えきれない、人の意味づけや変容のプロセスを理解するために、質的研究が果たす役割を改めて問い直す内容となっています。
キャリアに関心のある読者、キャリア支援実践者、そして質的研究やM-GTAを学ぼうとする研究者にとって、人の成長と発達を深く理解するための理論的・実践的架橋となる一冊です。
自身の次の研究の手法としてM-GTAを検討していたところ、ゼミで本書を紹介されたため手に取りました。
内容は、大学生から中堅・熟達期の専門職に至るまで、ライフステージの異なる対象者のキャリア意識や成長のプロセスをM-GTAを通して明らかにした6つの論文で構成されています。
各章のタイトルとリサーチクエスチョン、分析テーマは以下の通り。
第1章:大学生はインターンシップでどのように職業意識を発達させるのか
・RQ1:インターンシップ参加前の学生の職業意識はどのようなものか
・RQ2:インターンシップへの参加によって学生はどのような経験をし、職業意識を変化させていくのか
・分析テーマ1:インターンシップ参加直前の職業意識と参加動機
・分析テーマ2:インターンシップ経験による職業意識の変化プロセスと変化を促進する経験
第2章:職業生活の心理的居場所感はどのように変容するのか
・RQ1:職業生活における心理的居場所間は、どのようなプロセスで低下・喪失から上昇・再獲得されていくのか
・RQ2:そのプロセスの経験により、どのような心理的変容があるのか
・RQ3:職業生活における心理的居場所感には、どのような要因が影響を与えるのか。それらは発達段階と関連があるのか
・分析テーマ:企業で働く人の職業生活における心理的居場所間の変容プロセスとその影響要因
第3章:長期育児休業を通して男性のキャリア意識はどのように変容するのか
・RQ1:男性の長期育休取得に影響を与える要因は何か
・RQ2:長期育休を通して男性のキャリア意識を含む内的側面はどのように変容するのか。またそれに影響を与える要因は何か。
・RQ3:男性の内的変容は復職後の行動にどのような影響を与えるのか
・分析テーマ:長期育休を取得した男性の内的変容プロセス
第4章:本務と組合活動の両立を通して、人はどのように成長していくのか
・RQ1:非専従執行役員はどのような経緯で役員を受任し、その後役員としての役割遂行と意識や行動はどのように変化するのか
・RQ2:役員としての役割遂行と意識や行動の変化にはどのような要因が関連するのか
・分析テーマ:非専従執行役員の本務と組合活動の両立を通した職業的発達プロセス
第5章:プロジェクトマネージャはどのように熟達段階へと成長していくのか
・RQ:プロジェクトマネージャに着任後、熟達の階段へと成長していくにあたり、どのように仕事に取り組み、能力を向上させていくのか。どのように生涯発達、及びキャリア発達の課題を乗り越えてきたのか
・分析テーマ:IT系プロジェクトマネージャの発達プロセス
第6章:役職定年者は役職を降りた後の仕事や職場にどのように向き合うのか
・RQ:役職定年者は、役職定年をどう受け止め、会社に留まるキャリアを選択していくのか。さらに役職定年後にどのような経験を積み組織に再適応していくのか。
・分析テーマ:役職定年者の会社に留まるキャリア選択と組織内再適応プロセス
自分の研究に参考になる部分を探しながら全章に目を通したのですが、とりわけ第1章と2章が研究設計に最も近いと感じました。
大学生のインターンシップ経験を通した職業意識の発達プロセスを扱う第1章は、教育的実践の中で学習者がどのように経験を意味づけ、内的な変容へと至るのかを丁寧に描いており、PBLを通したスキル変容プロセスを明らかにしようとする自分の研究と高い親和性があると感じました。特に、参加前の意識や動機を起点として、経験の蓄積と意味づけの変化を通じて意識が再編成されていくプロセスの捉え方は、自身の分析テーマ設定やリサーチクエスチョンを検討するうえで多くの示唆を与えてくれました。
本書は単なる研究成果の報告にとどまらず、キャリア支援に携わる実践者にとっても重要な示唆を多数提供しています。量的研究では捉えきれない、人の意味づけや変容のプロセスを理解するために、質的研究が果たす役割を改めて問い直す内容となっています。
キャリアに関心のある読者、キャリア支援実践者、そして質的研究やM-GTAを学ぼうとする研究者にとって、人の成長と発達を深く理解するための理論的・実践的架橋となる一冊です。
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