増補版 駆け出しマネジャーの成長論-7つの挑戦課題を「科学」する

「駆け出しマネージャーがさまざまな困難をいかに乗り越え、成果を出せるマネージャーになるのか」を探究した本書。現代の職場で新任管理職として働き始める人が直面する課題を体系的に整理し、それに対する思考と行動のあり方を「科学的に」解き明かす一冊です。
プロローグに書かれている通り、近しい人が新任管理職への移行プロセスで悩んだり、苦しんだり、つまづいたりしている姿を見て、そのような方々に役立つ知見をお届けしたいというところから本書は生まれています。
自分は、過去に何度か読んだこともあったのですが、4月の新任管理職研修のコンテンツを作るにあたり、「どのような知見・学びをお届けすれば、新任管理職の皆さんのお役に立てるだろうか」と、まさに著者と同じ気持ちを感じており、深く共感しながら読み直しました。後半に書かれているマネジメント・ディスカバリーのワークショップ例なども宝の山。(アクションストーリーとリマインダーは取り入れたいと思います)
マネージャーになる方・既になっている方、そして、人事・人材開発担当の方にとっても、非常に多くの学び変えられる内容となっています。

以下、メモ。

マネージャーの仕事とは?
「Getting things done(物事を成し遂げる)」+「through others(他者を通じて)」
※「エキスパート」としての自分のあり方を一部「棄却(捨て去ること)」をとおして「自分以外の人」に「仕事をさせること(任せること)」が求められる
※manageはもともと「やりくりする」という意味

(1)対人関係の役割
①挨拶屋:組織を代表して挨拶、親睦の機会創出
②ベクトル合わせ屋:組織内の人々のベクトルを合わせる
③連絡屋:社内外の人のつながりを円滑に

(2)情報関係の役割
④分析屋:必要な情報を分析し、物事を動かしていく
⑤伝達屋:社内外の情報を自組織に伝達。時に部下の意見の吸い上げやガス抜きも。
⑥宣伝屋:外部に対して、自組織の情報を流す。自らが「メディア」

(3)意思決定にかかわる役割
⑦変革屋:外部環境の変化に応じて、組織内でリスクを取り変革を起こす
⑧障害やりくり屋:組織内の様々なコンフリクト(葛藤)や人間関係トラブルの解決
⑨配分屋:組織の目標達成のために、ヒト・モノ・カネなどの資源を配る
⑩決定屋:組織の顔として外部と交渉し、最終的な意思決定

マネージャーになるプロセスとは、「”仕事のスター”から”管理の初心者”に生まれ変わること」
・実務担当者時代の未経験分野を新規に学び直すこと
・実務担当者時代に身につけた知識やスキルをマネージャー用に変更すること or 捨て去ること

マネージャーになるための移行期間(マネージャーへのラーニング・スパイラル)
①リアリティ・プレビュー:これから起こる現実を知る
②リアリティ・アクセプト:現実を知り、受容する
③リフレクション:経験を内省
④アクション・テイキング:自らの原理原則をつくり、行為する

【5つの環境変化】
①突然化:ある日、いきなりマネージャーになる
②二重化:プレイヤーであり、マネージャーである(プレイヤーに固執すると業績悪化)
③多様化:飲み会コミュニケーションに頼らず、能力もキャリア意識もモチベーションもコミットメントも異なるメンバーを鼓舞しなければならない
④煩雑化:予防線にまつわる仕事は増える:情報管理、メールのCCなど本来業務が削られる
⑤若年化:経験の浅いマネージャーの増加。特に若いマネージャーの挑戦課題(部下育成、多様な人材の活用、メンタル面の維持)

マネージャーのネガティブ感情(JPC東大調査)
①目標達成不安:
②板挟み不安
③業務量不安
④現場離脱不安

【7つの挑戦課題】
①部下育成:重要性はわかっていても原理については知らない
※部下育成の原理:リスクをとって仕事を任せ、適切なタイミングでフィードバックすること
②目標咀嚼:会社の目標を噛み砕いて説明し、納得を得て、仕事に落とし込み、仕事を割り振る
③政治交渉:組織内にネットワークをつくり、それを通じて自部門に資源(ヒト・モノ・カネ)を集めつつ、他部門ともうまく協調
④多様な人材活用:年齢・雇用形態など多様。現場を観察し、人間関係情報を集め戦略を練る
⑤意思決定:実務担当者より少ない知識・情報をもとに、リスク・メリデメを勘案し、適切に部門の意思決定。それらの多くが白黒がハッキリしないグレーな問題。
⑥マインド維持:「矛盾」や「混沌」に満ちている中、心を平静に保つ
⑦プレマネバランス:プレイヤーとマネージャーとしての自分の心理的・時間的バランスをとる

【7つの挑戦課題の対策】
①部下育成:部下育成を行うための3つのポイント
 1. 業務内容やめざす目標について部下の腹に落とすこと(≒目標咀嚼)
 2. 背伸びや挑戦を含む業務経験を与える(ストレッチ)
 3. 仕事の進捗を見て、適宜、部下の振り返り(内省)を促す
※「選択肢の拡大」は、「個人の努力で変化させることができるもの」、とりわけ「行動」に焦点
②目標咀嚼:翻訳機になる(そのまま伝えるのではなく、わかりやすく伝える)。ポジティブストーリーをつくる。部下も参加できる対話空間を作る。
③政治交渉:
・対ボス:ボスの資質をよく知り、関係を築く。ボスを動かす段取りをふんだロジックを作る
・対他部門:日常的な関係構築行動(いざという時、難しい相談がしやすくなるよう)
④多様な人材活用:
・対年上部下:年長者へのリスペクト、役割として接する、職場のパワーバランスを利用する
・対パート/派遣社員:仕事の位置づけ(全体像の中での意味)、マネージャーから直接の目配り・気配り
・中途採用/外国人:境界を探る、アンラーンさせる、職場に溶け込む
 ・行動レベル:何ができて、何ができないのか
 ・認知レベル:何を知っていて、何を知らないのか
 ・自組織に関する知識レベル:自組織に関して何を誤解していて、何を理解しているのか
⑤意思決定:3つのプロセス(1.現場から学ぶ、2.メリットとリスクを計算、3.決め切り、やりきる)
※迅速な意思決定ができるマネージャはいつも考えている
⑥マインド維持:自分の意見や考えに耳を傾けてくれる「他者」の存在が大切
⑦プレマネバランス:自分の時間を見直す(やりたいこと、やらなければならないこと、サポート有なら任せることができるもの、サポートなしでも任せることができるもの)

【人事・人材開発部の皆産へ】
マネージャーになる前やなった直後に様々な施策を設けることが効果的
・メンタリングの機会を設ける:一定期間メンターを割り当てる
・フォローアップ研修:マネージャーになって半年、1年後に振り返りの機会を設ける

この国に、希望をいだきつづけるマネージャーが
これまで以上に生まれることを願います。

自分もそのサポートができるように尽力したい!