リーダーシップ開発プログラム(LDP)が組織有効性を向上させるメカニズムを示した論文をレビューします。
論文はこちら(被引用数:109件 (2026年2月24日時点))
Douglas, S., Merritt, D., Roberts, R., & Watkins, D. (2022). Systemic leadership development: impact on organizational effectiveness. International Journal of Organizational Analysis, 30(2), 568-588.
個人に対するリーダーシップ開発の成果については多くの研究が存在する一方で、リーダーシップ開発が組織の有効性にどのように寄与するのかを検討した研究は限られています。
本論文では、この点にフォーカスし、リーダーシップ開発プログラムが組織の成果や有効性に与える影響を検討することを目的に書かれた内容となっています。リサーチクエスチョンは以下の2つ。
RQ1:リーダーシップ開発プログラムから生じる組織レベルの成果とは何か。
RQ2:経営幹部は、リーダーシップ開発プログラムが組織有効性にどの程度貢献したと認識しているか。
このRQのもと、以下のような方法で研究が進められています。
・対象者:ブラジルの航空会社でリーダーシップ開発プログラムを受けた経営幹部15人
・分析方法:半構造化インタビューを行い、GTAを用いて分析
結果
・インタビューから220の概念的記述が抽出され、そのうち57の概念と以下の4つの主要テーマに統合
・「内部インパクト(Internal Impact)」「外部インパクト(External Impact)」「能力(Capacity)」「スキル(Skills)」
考察
・本研究は、LDP(リーダーシップ開発プログラム)が組織有効性(OE)に及ぼす影響を検討した結果、LDPが以下の三つを促進することを明らかにした
①人的資本マネジメント戦略の強化
②社会関係資本の発展
③集合的リーダーシップ能力の向上
①LDPと人的資本
・LDPはリーダーシップ・コンピテンシーを高め、人的資本の蓄積を促進する
・人的資本は組織パフォーマンスとOEの中核的推進要因
・LDPは人的資本マネジメント戦略の中心的構成要素
・無形資源(知識・技能・能力)の蓄積が競争優位につながる
→LDPは人的資本ストックの形成装置である
② LDPと社会関係資本
・LDP参加を通じてネットワークが形成され、関係資本が蓄積される
・社会関係資本は知識共有・協働・価値創造を促進する
・組織間ネットワーク形成を通じて競争優位に貢献
・RBTの視点とも整合的
→LDPは関係的資源を創出する媒介装置
③ LDPと集合的リーダーシップ
・LDPはリーダーの対人能力・内省能力を高める
・それにより集合的リーダーシップ能力が向上する
・集合的能力は人的資本と社会関係資本を動員する
・組織の体系的成長を支える
→LDPは集合的リーダーシップ能力の基盤を形成する
理論的含意
①RBTとの理論接続
・LDPは人的資本および社会関係資本という無形資源の蓄積を促進する
・これは資源ベース理論(RBT)の枠組みと整合的
・無形資源の獲得・蓄積がOEを支えることを実証的に示唆
→LDPを「戦略的資源創出メカニズム」として理論化
②個人能力から集合的能力へ
・LDPは個人のリーダーシップ能力向上に加え、 集合的リーダーシップ能力を形成する
・それが人的資本・社会関係資本を動員しOEを高める
→リーダー開発とリーダーシップ開発を接続する理論的枠組みを提示
③レジリエンスとの接続
・社会関係資本は組織レジリエンスを促進
・LDPはネットワーク・協働関係を強化し、 組織の適応・再生能力を高める
→LDPは単なる能力開発ではなく「組織の強靭性構築装置」
実践的含意
①LDP投資の正当化 LDPは人的資本マネジメント戦略の中核
・組織有効性向上のために継続的投資が必要
・個人育成に留まらず、組織戦略として位置づけるべき
②産業横断型LDPの価値
・複数企業参加型LDPは社会関係資本を形成
・組織間ネットワークがイノベーションや効率性を高める
・内部研修では得にくい価値を創出
③組織レベル成果への拡張
・先行研究は個人成果中心だが、本研究は組織レベル成果への影響を示唆
・カスタマイズ型LDP設計(組織の戦略・課題・産業文脈・人材構造に合わせて設計された、戦略整合型プログラム)が重要
ここまで。
「リーダーシップ×組織開発」というテーマで情報収集している自分にとって、その接合点を理論的に整理してくれる良い内容でした。
リーダーシップ開発が、組織にどのような影響を与え、さらにそこにはどのようなメカニズムが存在しているのかを詳細に考察した情報が多くはありません。その点で、本研究は、リーダーシップ開発と組織開発の両者を架橋し、LDPを「人的資本マネジメント戦略」として位置づけた点に非常に価値があるなと感じました。具体的には、組織有効性にどのように影響するのかを体系的に整理し、人的資本・社会関係資本・集合的リーダーシップ能力という媒介要因を通じたメカニズムを提示してくれています。
特に印象的であったのは、LDPを単なる能力開発施策ではなく、無形資源の蓄積を促進する戦略的装置として捉えている点。資源ベース理論では、企業の競争優位性は、外部環境ではなく「内部資源、(人的資本(スキル・知識・経験)、組織文化、ブランド、技術、ノウハウ、組織能力など)」によって生まれると考えます。この考え方(内部資源の特に無形資源が重要)がベースにある上で、人的資本と社会関係資本の発展が集合的リーダーシップ能力を高め、それが最終的に組織有効性へとつながるというモデルは、説得力がありました。
また、複数企業参加型LDPによる社会関係資本の形成という視点も非常に興味深かったです。つまり、現代の不確実な環境下における組織開発において、組織内だけでなく一組織を超えた人脈や社会関係資本の形成が、重要になってくるというものです。自分自身もこういった要素を含むPBLの授業や複数企業による合同研修をよくやっているということもあり、この観点は非常に有難い気づきでした。
リーダーシップを、「関係とシステムの中で生成される能力」と捉える視座は、今後の組織開発論においてもより重要なポジションを占めるようになってくると思います。この観点でもっと色々調べてみようと思います。
組織有効性(OE)は人的資本と社会関係資本によって支えられ、その中核推進力が体系的リーダーシップ開発である!
以下、重要なキーワードのまとめとしてメモです。
Organizational Effectiveness(組織有効性)
・組織有効性(OE)の定義:組織がその使命および目標を達成すること
・組織が目標および目的をどの程度効果的に達成しているかという概念
・本研究におけるOEの定義:外部環境へ継続的に適応しながら資源を効果的に活用し、組織が目標を達成する能力
・OEは、生存能力、目的達成能力、そして財務的持続可能性に基づき、これらは効率的かつ信頼性の高いプロセス、人的資本、そして外部環境への適応能力を通じて達成される(Yukl, 2008)
・財務的側面もOEの一部ではあるが、人的資本は組織有効性に寄与する重要な要素
・組織パフォーマンスを高め、有効性を達成するために組織の人的資本のリーダーシップ能力を開発するには、個人リーダーの育成活動と、戦略的な組織開発活動、とりわけビジョン策定、戦略的計画、変革マネジメントに焦点を当てた活動とを統合することが必要(Clarke, 2013)
・組織の特定のニーズに焦点を当てた場合、リーダーシップ開発はOEに貢献する(Van Velsor ら, 2010)
・目標および目的を人的資本マネジメントと整合させることで、組織はより高い有効性を達成できる(Marimuthu et al., 2009)。
・人的資本開発はOE向上に不可欠であり、リーダーシップ実践、従業員エンゲージメント、知識アクセス性、労働力最適化、そして組織学習能力を通じて支援され得る(Avolio et al., 2010; Bassi and McMurrer, 2007; Hanson, 2013; Hernez-Broome and Hughes, 2004; Leskiw and Singh, 2007; O’Brien and Robertson, 2009; Packard and Jones, 2015)
・人的資本開発の中核的推進要因は、リーダーシップ能力強化のたのLDPの実践と整合(Glamuzina, 2015; Kark, 2011; Van Velsor et al., 2010)
・Tompson and Tompson(2013)は、リーダーシップ開発がOEに与える影響に関する既存研究の不足を指摘しており、Day ら(2014)は、リーダーシップ開発が組織にどのような影響を与えるのかを明らかにするため、さらなる探究を提言
・リーダーシップ開発がOEに影響を与えると認識されている一方で、その具体的なメカニズムについては十分に解明されていない(Clarke, 2013; Galli and Muller-Stewens, 2012; Hannah et al., 2008; Packard and Jones, 2015)
・リーダーシップ開発に対する体系的アプローチは、人的資本の発展がOEを促進する過程を支えるものであり、それはリーダーシップ開発プログラムを通じて実現可能
リーダーシップ開発への体系的アプローチ
・組織が内部および外部の変動の中で適応し、進化し、成功するためには、リーダーおよびリーダーシップが不可欠(O’Toole, 2001)
・リーダーシップ開発は、脅威への適応、組織機会の創出、組織再生の活用に必要な能力および容量を高める点で、組織の能力向上に貢献する(Collier and Esteban, 2000)
・資源ベース理論(RBT)(Barney, 2001; Barney et al., 2011)は、リーダーシップ開発と組織機能向上とを結びつける基礎理論枠組みとして用いられる
・RBTの基本的前提は、人的資本(例:従業員の能力、力量、知識、技能、属性;Campbell et al., 2012)や社会関係資本(組織内の個人的関係やネットワーク;Adler and Kwon, 2002; Nahapiet and Ghoshal, 1998)といった無形資源の獲得および蓄積された価値が、組織の目標達成および全体的有効性を支えるというもの(Barney et al., 2011; Shaw et al., 2005)
・RBTは、LDPの成果として得られる人的資本および社会関係資本が組織有効性に寄与し得ることを示している(Ndofor et al., 2011)
・RBTの視点では、競争優位に寄与する企業の資源および能力は、集合的暗黙知を通じて獲得される(Osterloh and Frey, 2000)
・企業の資源(例:人的資本、集合的リーダーシップ能力、社会関係資本)が特定市場における競争優位を決定し、それが組織有効性に影響を及ぼす(Barney, 2001; Barney et al., 2011)。
Social Capital(社会関係資本)
・社会関係資本とは、個人または社会的単位に属する関係ネットワークを活性化する社会的交換の集合(Nahapiet and Ghoshal, 1998)
・社会関係資本の利益:知識共有の促進、目標の共有、共通の参照枠の形成など(Salajegheh and Pirmoradi, 2013)
・リーダーシップ開発は、組織内の社会的ネットワークを通じて関係資本を強化することにより、すべての従業員の社会関係資本の成長を促進し得る(Day, 2000; Day and Harrison, 2007)
・知識共有の向上やネットワーク集団の形成といった社会関係資本に由来する高い影響要因は、組織への親和性および有効性に寄与する(Coff and Rousseau, 2000)
Human Capital Development(人的資本開発)
・人的資本とは、個人に体現された知識、技能、能力、属性であり、それらは個人および組織の社会的、経済的ウェルビーイングを創出するもの
・従業員の知識および技能は人的資本とみなされ、組織有効性を推進する知的資本の中核を成すもの(Crook et al., 2011)
・従業員パフォーマンスは多次元的であり、組織の成功(Van Dyne et al., 2002)および有効性(Ohly and Fritz, 2010)にとって重要
Collective Leadership(集合的リーダーシップ)
・リーダー開発とリーダーシップ開発を区別する必要
・リーダー開発:個人の技能および能力の向上を重視
・リーダーシップ開発:組織全体のリーダー人口を一つの単位として集合的に発展させることに焦点を当てる(Van Velsor et al., 2010)
・集合的リーダーシップ能力とは、リーダーが結集して組織全体にわたりポジティブな行動を生み出し、その権限と影響力を倫理的かつ公正に用いて包摂的な社会関係資本を構築すること(Militello and Benham, 2010; Paunova, 2015; Van Velsor et al., 2010)
・リーダーシップ能力の向上は、人的資本および社会関係資本を創出し動員することで、組織の体系的成長に寄与する(Espedal et al., 2013)
・LDPに関するメタ分析は、リーダーシップ開発のプロセスと特定の組織成果およびパフォーマンスとを結び付ける研究が限定的であることを示している(Van Velsor et al., 2010)
・急速な変化および世界的変動の中で、集合的リーダーシップ開発は、組織が有効性および効率性を維持するために適応し進化する能力への一つの解答となり得る。
・組織が生存し繁栄するためには、効果的な集合的リーダーシップが必要
・かつては贅沢と見なされていたリーダーシップ開発は、いまや組織の持続可能性に不可欠な必需的要素
・リーダーシップ開発が組織有効性とどのように関連するのかをモデル化し測定するためには、さらなる探究が必要であり、それは学術研究者および実務家が組織におけるリーダーシップ開発成果を最大化するベストプラクティスおよびプロセスを構築する上での指針となる(Clarke, 2013; Galli and Muller-Stewens, 2012; Hannah et al., 2008; Packard and Jones, 2015)。
論文はこちら(被引用数:109件 (2026年2月24日時点))
Douglas, S., Merritt, D., Roberts, R., & Watkins, D. (2022). Systemic leadership development: impact on organizational effectiveness. International Journal of Organizational Analysis, 30(2), 568-588.
個人に対するリーダーシップ開発の成果については多くの研究が存在する一方で、リーダーシップ開発が組織の有効性にどのように寄与するのかを検討した研究は限られています。
本論文では、この点にフォーカスし、リーダーシップ開発プログラムが組織の成果や有効性に与える影響を検討することを目的に書かれた内容となっています。リサーチクエスチョンは以下の2つ。
RQ1:リーダーシップ開発プログラムから生じる組織レベルの成果とは何か。
RQ2:経営幹部は、リーダーシップ開発プログラムが組織有効性にどの程度貢献したと認識しているか。
このRQのもと、以下のような方法で研究が進められています。
・対象者:ブラジルの航空会社でリーダーシップ開発プログラムを受けた経営幹部15人
・分析方法:半構造化インタビューを行い、GTAを用いて分析
結果
・インタビューから220の概念的記述が抽出され、そのうち57の概念と以下の4つの主要テーマに統合
・「内部インパクト(Internal Impact)」「外部インパクト(External Impact)」「能力(Capacity)」「スキル(Skills)」
考察
・本研究は、LDP(リーダーシップ開発プログラム)が組織有効性(OE)に及ぼす影響を検討した結果、LDPが以下の三つを促進することを明らかにした
①人的資本マネジメント戦略の強化
②社会関係資本の発展
③集合的リーダーシップ能力の向上
①LDPと人的資本
・LDPはリーダーシップ・コンピテンシーを高め、人的資本の蓄積を促進する
・人的資本は組織パフォーマンスとOEの中核的推進要因
・LDPは人的資本マネジメント戦略の中心的構成要素
・無形資源(知識・技能・能力)の蓄積が競争優位につながる
→LDPは人的資本ストックの形成装置である
② LDPと社会関係資本
・LDP参加を通じてネットワークが形成され、関係資本が蓄積される
・社会関係資本は知識共有・協働・価値創造を促進する
・組織間ネットワーク形成を通じて競争優位に貢献
・RBTの視点とも整合的
→LDPは関係的資源を創出する媒介装置
③ LDPと集合的リーダーシップ
・LDPはリーダーの対人能力・内省能力を高める
・それにより集合的リーダーシップ能力が向上する
・集合的能力は人的資本と社会関係資本を動員する
・組織の体系的成長を支える
→LDPは集合的リーダーシップ能力の基盤を形成する
理論的含意
①RBTとの理論接続
・LDPは人的資本および社会関係資本という無形資源の蓄積を促進する
・これは資源ベース理論(RBT)の枠組みと整合的
・無形資源の獲得・蓄積がOEを支えることを実証的に示唆
→LDPを「戦略的資源創出メカニズム」として理論化
②個人能力から集合的能力へ
・LDPは個人のリーダーシップ能力向上に加え、 集合的リーダーシップ能力を形成する
・それが人的資本・社会関係資本を動員しOEを高める
→リーダー開発とリーダーシップ開発を接続する理論的枠組みを提示
③レジリエンスとの接続
・社会関係資本は組織レジリエンスを促進
・LDPはネットワーク・協働関係を強化し、 組織の適応・再生能力を高める
→LDPは単なる能力開発ではなく「組織の強靭性構築装置」
実践的含意
①LDP投資の正当化 LDPは人的資本マネジメント戦略の中核
・組織有効性向上のために継続的投資が必要
・個人育成に留まらず、組織戦略として位置づけるべき
②産業横断型LDPの価値
・複数企業参加型LDPは社会関係資本を形成
・組織間ネットワークがイノベーションや効率性を高める
・内部研修では得にくい価値を創出
③組織レベル成果への拡張
・先行研究は個人成果中心だが、本研究は組織レベル成果への影響を示唆
・カスタマイズ型LDP設計(組織の戦略・課題・産業文脈・人材構造に合わせて設計された、戦略整合型プログラム)が重要
ここまで。
「リーダーシップ×組織開発」というテーマで情報収集している自分にとって、その接合点を理論的に整理してくれる良い内容でした。
リーダーシップ開発が、組織にどのような影響を与え、さらにそこにはどのようなメカニズムが存在しているのかを詳細に考察した情報が多くはありません。その点で、本研究は、リーダーシップ開発と組織開発の両者を架橋し、LDPを「人的資本マネジメント戦略」として位置づけた点に非常に価値があるなと感じました。具体的には、組織有効性にどのように影響するのかを体系的に整理し、人的資本・社会関係資本・集合的リーダーシップ能力という媒介要因を通じたメカニズムを提示してくれています。
特に印象的であったのは、LDPを単なる能力開発施策ではなく、無形資源の蓄積を促進する戦略的装置として捉えている点。資源ベース理論では、企業の競争優位性は、外部環境ではなく「内部資源、(人的資本(スキル・知識・経験)、組織文化、ブランド、技術、ノウハウ、組織能力など)」によって生まれると考えます。この考え方(内部資源の特に無形資源が重要)がベースにある上で、人的資本と社会関係資本の発展が集合的リーダーシップ能力を高め、それが最終的に組織有効性へとつながるというモデルは、説得力がありました。
また、複数企業参加型LDPによる社会関係資本の形成という視点も非常に興味深かったです。つまり、現代の不確実な環境下における組織開発において、組織内だけでなく一組織を超えた人脈や社会関係資本の形成が、重要になってくるというものです。自分自身もこういった要素を含むPBLの授業や複数企業による合同研修をよくやっているということもあり、この観点は非常に有難い気づきでした。
リーダーシップを、「関係とシステムの中で生成される能力」と捉える視座は、今後の組織開発論においてもより重要なポジションを占めるようになってくると思います。この観点でもっと色々調べてみようと思います。
組織有効性(OE)は人的資本と社会関係資本によって支えられ、その中核推進力が体系的リーダーシップ開発である!
以下、重要なキーワードのまとめとしてメモです。
Organizational Effectiveness(組織有効性)
・組織有効性(OE)の定義:組織がその使命および目標を達成すること
・組織が目標および目的をどの程度効果的に達成しているかという概念
・本研究におけるOEの定義:外部環境へ継続的に適応しながら資源を効果的に活用し、組織が目標を達成する能力
・OEは、生存能力、目的達成能力、そして財務的持続可能性に基づき、これらは効率的かつ信頼性の高いプロセス、人的資本、そして外部環境への適応能力を通じて達成される(Yukl, 2008)
・財務的側面もOEの一部ではあるが、人的資本は組織有効性に寄与する重要な要素
・組織パフォーマンスを高め、有効性を達成するために組織の人的資本のリーダーシップ能力を開発するには、個人リーダーの育成活動と、戦略的な組織開発活動、とりわけビジョン策定、戦略的計画、変革マネジメントに焦点を当てた活動とを統合することが必要(Clarke, 2013)
・組織の特定のニーズに焦点を当てた場合、リーダーシップ開発はOEに貢献する(Van Velsor ら, 2010)
・目標および目的を人的資本マネジメントと整合させることで、組織はより高い有効性を達成できる(Marimuthu et al., 2009)。
・人的資本開発はOE向上に不可欠であり、リーダーシップ実践、従業員エンゲージメント、知識アクセス性、労働力最適化、そして組織学習能力を通じて支援され得る(Avolio et al., 2010; Bassi and McMurrer, 2007; Hanson, 2013; Hernez-Broome and Hughes, 2004; Leskiw and Singh, 2007; O’Brien and Robertson, 2009; Packard and Jones, 2015)
・人的資本開発の中核的推進要因は、リーダーシップ能力強化のたのLDPの実践と整合(Glamuzina, 2015; Kark, 2011; Van Velsor et al., 2010)
・Tompson and Tompson(2013)は、リーダーシップ開発がOEに与える影響に関する既存研究の不足を指摘しており、Day ら(2014)は、リーダーシップ開発が組織にどのような影響を与えるのかを明らかにするため、さらなる探究を提言
・リーダーシップ開発がOEに影響を与えると認識されている一方で、その具体的なメカニズムについては十分に解明されていない(Clarke, 2013; Galli and Muller-Stewens, 2012; Hannah et al., 2008; Packard and Jones, 2015)
・リーダーシップ開発に対する体系的アプローチは、人的資本の発展がOEを促進する過程を支えるものであり、それはリーダーシップ開発プログラムを通じて実現可能
リーダーシップ開発への体系的アプローチ
・組織が内部および外部の変動の中で適応し、進化し、成功するためには、リーダーおよびリーダーシップが不可欠(O’Toole, 2001)
・リーダーシップ開発は、脅威への適応、組織機会の創出、組織再生の活用に必要な能力および容量を高める点で、組織の能力向上に貢献する(Collier and Esteban, 2000)
・資源ベース理論(RBT)(Barney, 2001; Barney et al., 2011)は、リーダーシップ開発と組織機能向上とを結びつける基礎理論枠組みとして用いられる
・RBTの基本的前提は、人的資本(例:従業員の能力、力量、知識、技能、属性;Campbell et al., 2012)や社会関係資本(組織内の個人的関係やネットワーク;Adler and Kwon, 2002; Nahapiet and Ghoshal, 1998)といった無形資源の獲得および蓄積された価値が、組織の目標達成および全体的有効性を支えるというもの(Barney et al., 2011; Shaw et al., 2005)
・RBTは、LDPの成果として得られる人的資本および社会関係資本が組織有効性に寄与し得ることを示している(Ndofor et al., 2011)
・RBTの視点では、競争優位に寄与する企業の資源および能力は、集合的暗黙知を通じて獲得される(Osterloh and Frey, 2000)
・企業の資源(例:人的資本、集合的リーダーシップ能力、社会関係資本)が特定市場における競争優位を決定し、それが組織有効性に影響を及ぼす(Barney, 2001; Barney et al., 2011)。
Social Capital(社会関係資本)
・社会関係資本とは、個人または社会的単位に属する関係ネットワークを活性化する社会的交換の集合(Nahapiet and Ghoshal, 1998)
・社会関係資本の利益:知識共有の促進、目標の共有、共通の参照枠の形成など(Salajegheh and Pirmoradi, 2013)
・リーダーシップ開発は、組織内の社会的ネットワークを通じて関係資本を強化することにより、すべての従業員の社会関係資本の成長を促進し得る(Day, 2000; Day and Harrison, 2007)
・知識共有の向上やネットワーク集団の形成といった社会関係資本に由来する高い影響要因は、組織への親和性および有効性に寄与する(Coff and Rousseau, 2000)
Human Capital Development(人的資本開発)
・人的資本とは、個人に体現された知識、技能、能力、属性であり、それらは個人および組織の社会的、経済的ウェルビーイングを創出するもの
・従業員の知識および技能は人的資本とみなされ、組織有効性を推進する知的資本の中核を成すもの(Crook et al., 2011)
・従業員パフォーマンスは多次元的であり、組織の成功(Van Dyne et al., 2002)および有効性(Ohly and Fritz, 2010)にとって重要
Collective Leadership(集合的リーダーシップ)
・リーダー開発とリーダーシップ開発を区別する必要
・リーダー開発:個人の技能および能力の向上を重視
・リーダーシップ開発:組織全体のリーダー人口を一つの単位として集合的に発展させることに焦点を当てる(Van Velsor et al., 2010)
・集合的リーダーシップ能力とは、リーダーが結集して組織全体にわたりポジティブな行動を生み出し、その権限と影響力を倫理的かつ公正に用いて包摂的な社会関係資本を構築すること(Militello and Benham, 2010; Paunova, 2015; Van Velsor et al., 2010)
・リーダーシップ能力の向上は、人的資本および社会関係資本を創出し動員することで、組織の体系的成長に寄与する(Espedal et al., 2013)
・LDPに関するメタ分析は、リーダーシップ開発のプロセスと特定の組織成果およびパフォーマンスとを結び付ける研究が限定的であることを示している(Van Velsor et al., 2010)
・急速な変化および世界的変動の中で、集合的リーダーシップ開発は、組織が有効性および効率性を維持するために適応し進化する能力への一つの解答となり得る。
・組織が生存し繁栄するためには、効果的な集合的リーダーシップが必要
・かつては贅沢と見なされていたリーダーシップ開発は、いまや組織の持続可能性に不可欠な必需的要素
・リーダーシップ開発が組織有効性とどのように関連するのかをモデル化し測定するためには、さらなる探究が必要であり、それは学術研究者および実務家が組織におけるリーダーシップ開発成果を最大化するベストプラクティスおよびプロセスを構築する上での指針となる(Clarke, 2013; Galli and Muller-Stewens, 2012; Hannah et al., 2008; Packard and Jones, 2015)。
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