質的研究によく見られる問題点を整理し、それらに陥らず質の高い研究を行うため方法論について解説した一冊。
本書では、問題点=”薄い記述”、良い論文=”分厚い記述”と呼び、「原理編」と「実践編」の2部構成で良い質的研究を行うためのノウハウがまとめられています。
まず、質的研究にもとづく論文や報告書でよく見られる問題点(薄い記述)から見ていきましょう。以下の7つです。
【薄い記述】
①読書感想文型:主観的な印象や感想を中心とする、私的エッセイに近い
②ご都合主義的引用型:自分の主張にとって都合のよい証言の断片を恣意的に引用した記述が目だつ
③キーワード偏重型: 何らかのキーワード的な用語ないし概念を中心にした、平板な記述の報告書や論文④要因関連図型:複数の要因間の関係を示すモデルらしきものが指摘されているのだが、その根拠となる資料やデータがほとんど示されていない
⑤ディテール偏重型:ディテールに関する記述は豊富だが、全体を貫く明確なストーリーが欠如
⑥引用過多型:「生」の資料に近いものを十分な解説を加えずに延々と引用したもの
⑦自己主張型:著者の体験談や主観的体験が前面に出すぎており、肝心の研究対象の姿が見えてこない
対して、クオリティの高い質的論文(分厚い記述)の条件は以下の5点とされています。
①一つひとつの記述や分析が、単なる個人的な印象や感想だけではないデータを含む、しっかりした実証的根拠にもとづいてなされている
②複数のタイプの資料やデータによって議論の裏づけがなされている
③具体的なデータと抽象的な概念ないし用語とのあいだに明確な対応関係が存在する
④複数の概念的カテゴリーを組み合わせた概念モデルと具体的なデータとのあいだにしっかりした対応関係が存在しているだけでなく、それについて論文のなかできちんとした解説がなされいている
⑤議論や主張の根拠となる具体的なデータが論文や報告書の叙述のなかに過不足なく盛り込まれている
そして、この分厚い記述のポイントは、3つの意味世界を繋ぎ合わせるものであるとされます。
すなわち、以下の3つの世界の架橋です。
①当事者たちの意味世界(「現場の言葉」)
②研究者の個人的な意味世界
③研究者コミュニティの意味世界(「理論の言葉」)
研究の記述が、この3つの世界のいずれかに偏ってしまうと、それが上述の薄い記述になってしまうということになります。現場の世界も、自身の世界も、研究コミュニティの世界も全てを繋げる記述が分厚い記述、良い研究であると。
後半は、具体的な質的研究の実践の流れについて記載してくれています。
最後にはチェックリストまでつけてくれているので、こちらも活用したいと思います。
ここまで。
質的研究における良い/悪い研究双方の視点を提供してくれたのが非常にありがたい気づきでした。
自身の研究においても、以下の点を改善できないか検討しようと思います。
・複数のデータ・資料の活用(インタビューデータ以外のアンケートコメント等も活用できるか)
・コーディングは、帰納的アプローチと演繹的アプローチの併用
※今までは、割と演繹的アプローチ(理論的前提からコーディング)に陥らないように注意しようと思っていたのですが、この視点を持つことも重要だと再認識
・メモ魔になる:浮かんだアイデアはこまめに文章として残す
・コード・マトリックスを使う
※まずは、データにGroundedにコーディングを進め、次のステップとしてマトリックスで整理する
・QDAソフトの使用(MAXqdaが紹介されていましたが、他に良いソフトがあれば知りたい)
本書では、問題点=”薄い記述”、良い論文=”分厚い記述”と呼び、「原理編」と「実践編」の2部構成で良い質的研究を行うためのノウハウがまとめられています。
まず、質的研究にもとづく論文や報告書でよく見られる問題点(薄い記述)から見ていきましょう。以下の7つです。
【薄い記述】
①読書感想文型:主観的な印象や感想を中心とする、私的エッセイに近い
②ご都合主義的引用型:自分の主張にとって都合のよい証言の断片を恣意的に引用した記述が目だつ
③キーワード偏重型: 何らかのキーワード的な用語ないし概念を中心にした、平板な記述の報告書や論文④要因関連図型:複数の要因間の関係を示すモデルらしきものが指摘されているのだが、その根拠となる資料やデータがほとんど示されていない
⑤ディテール偏重型:ディテールに関する記述は豊富だが、全体を貫く明確なストーリーが欠如
⑥引用過多型:「生」の資料に近いものを十分な解説を加えずに延々と引用したもの
⑦自己主張型:著者の体験談や主観的体験が前面に出すぎており、肝心の研究対象の姿が見えてこない
対して、クオリティの高い質的論文(分厚い記述)の条件は以下の5点とされています。
①一つひとつの記述や分析が、単なる個人的な印象や感想だけではないデータを含む、しっかりした実証的根拠にもとづいてなされている
②複数のタイプの資料やデータによって議論の裏づけがなされている
③具体的なデータと抽象的な概念ないし用語とのあいだに明確な対応関係が存在する
④複数の概念的カテゴリーを組み合わせた概念モデルと具体的なデータとのあいだにしっかりした対応関係が存在しているだけでなく、それについて論文のなかできちんとした解説がなされいている
⑤議論や主張の根拠となる具体的なデータが論文や報告書の叙述のなかに過不足なく盛り込まれている
そして、この分厚い記述のポイントは、3つの意味世界を繋ぎ合わせるものであるとされます。
すなわち、以下の3つの世界の架橋です。
①当事者たちの意味世界(「現場の言葉」)
②研究者の個人的な意味世界
③研究者コミュニティの意味世界(「理論の言葉」)
研究の記述が、この3つの世界のいずれかに偏ってしまうと、それが上述の薄い記述になってしまうということになります。現場の世界も、自身の世界も、研究コミュニティの世界も全てを繋げる記述が分厚い記述、良い研究であると。
後半は、具体的な質的研究の実践の流れについて記載してくれています。
最後にはチェックリストまでつけてくれているので、こちらも活用したいと思います。
ここまで。
質的研究における良い/悪い研究双方の視点を提供してくれたのが非常にありがたい気づきでした。
自身の研究においても、以下の点を改善できないか検討しようと思います。
・複数のデータ・資料の活用(インタビューデータ以外のアンケートコメント等も活用できるか)
・コーディングは、帰納的アプローチと演繹的アプローチの併用
※今までは、割と演繹的アプローチ(理論的前提からコーディング)に陥らないように注意しようと思っていたのですが、この視点を持つことも重要だと再認識
・メモ魔になる:浮かんだアイデアはこまめに文章として残す
・コード・マトリックスを使う
※まずは、データにGroundedにコーディングを進め、次のステップとしてマトリックスで整理する
・QDAソフトの使用(MAXqdaが紹介されていましたが、他に良いソフトがあれば知りたい)
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