ケーススタディに関する古典的1冊 Case Study Research and Applications: Design and Methods を読み、ポイントをまとめていきます。
ちなみに、本書は、社会科学の方法論に関する書物で世界で2番目に引用されているそうです。
※回帰分析のバイブルCohenの書籍に続き2位とは、、めちゃめちゃ引用されてますやん

まずは、Chapter 1:Getting Started: How to know whether and when to se the case study as a research method(ケーススタディ研究法をいつ・どのような場合に用いるべきか)
です。
1. この章の目的
本章では、以下について説明されています。
・ケーススタディ研究が適する状況
・ケーススタディ研究の定義
・他の社会科学研究法との違い
・ケーススタディ研究に対する代表的な批判
・ケーススタディ研究を選択する際の考え方
2. ケーススタディ研究はどのような時に用いるか
・ケーススタディ研究が最も適しているのは、以下
①RQが「How」「Why」である(例:なぜ成功したのか、どのように変化したのか、なぜ意思決定が行われたのか等)
②研究者が対象を操作できない(実験のように、条件を操作できない、介入できない状況)
③現代の社会現象を扱う(歴史ではなく、現在進行中の組織、人、教育、政策、地域などを対象)
※この3条件がそろう場合、 ケーススタディ研究は特に有効
3. ケーススタディは他の研究法とどう違うか
・実験、調査(Survey)、アーカイブ分析(Archival Analysis)、歴史研究(History)、ケーススタディ(Case Study)の5つの研究法を、次の3つの条件から比較している
①RQの形式
・Who、What、Where、How many、How much を問う場合→調査(Survey)やアーカイブ分析
・How、Why を問う場合→ケーススタディ、実験、歴史研究
②行動を研究者が操作する必要があるか
・操作する→実験(Experiment)
・操作しない→ケーススタディ、歴史研究、調査、アーカイブ分析
③ 対象が現代の現象か
・現代の現象を対象→ケーススタディ、実験、調査
・過去の現象を対象→歴史研究
・現代・過去のどちらも対象とできる→アーカイブ分析

4. 「What」にも2種類ある
・探索的What: 例 "What problems do first-year students experience?"
・新しい仮説を作るためなのでケーススタディでも調査でも実験でも可能
・記述的What:例 "How many students participated?"
・人数、割合、頻度を知りたいので調査や統計分析が適している
5. ケーススタディは「How」「Why」を理解する研究法である理由
・「How」「Why」の問いは、単なる結果ではなく、社会現象が生じるプロセスやメカニズムを明らかにすることを目的
・そのため、ケーススタディでは、「時間の経過」「意思決定の過程」「人や組織の相互作用」「現実世界の文脈」を含めて総合的に分析することが重視される
6. ケーススタディの定義
・Yinは、ケーススタディを二つの側面から定義
①研究対象・Scope
ケーススタディとは、現代の現象(ケース)を、現実世界の文脈の中で深く探究する経験的研究方法である。特に、現象と文脈との境界が明確ではない場合に適している(A case study is an empirical method that investigates a contemporary phenomenon (the “case”) in depth and within its real-world context, especially when the boundaries between phenomenon and context may not be clearly evident.)
②方法論的特徴・Features
ケーススタディ研究は、次のような方法論的特徴をもつ
・関心のある変数がデータ数よりも多いという複雑な研究状況を扱う
・既存理論に基づいて理論命題(theoretical propositions)を設定し、それを研究デザイン、データ収集および分析の指針とする
・複数のエビデンス(multiple sources of evidence)を用いる
・異なるエビデンスがトライアンギュレーション(三角測量)によって収束することを求める
7. ケーススタディは複数ケースでもよい
・よくある誤解:ケーススタディ=1事例
・Single-case、Multiple-case、両方ともケーススタディ研究である
8. ケーススタディは定量・定性を問わない
・ケーススタディ研究=定性的研究ではなく、定量データも使える(定量だけのケースもあり得る)
・ケーススタディ研究は「研究デザイン」であり、データの種類ではない
9. ケーススタディはMixed Methodsにも組み込める
・ケーススタディは、「定量」「定性」「Mixed Methods」 どれとも組み合わせられる
10. ケーススタディは様々な認識論で実施できる
・ケーススタディ研究そのものは以下のどの立場でも実施可能
・Realist:実在論
・Relativist:相対主義
・Interpretivist:解釈主義
・Constructivist:構成主義
11. ケーススタディ研究への代表的批判
①厳密ではない:手続きを明確にすれば克服できる
②一般化できない:統計的一般化ではなく、分析的一般化を行う。 理論へ一般化する
③時間がかかる:昔より効率的な方法がある。長大な報告書を書く必要はない。
④他の研究法より優れていない:RCTでは説明できない「How」「Why」を説明できる
⑤教材ケースなどと混同される:「研究ケーススタディ」「教育ケース」「人気記事」「ケース記録」は別物
12. 一般化とは何か
・ケーススタディは、母集団へ一般化するのではなく「理論へ一般化」する
・つまり、Analytic Generalization(分析的一般化) を目指す(実験研究も同じ)である
13. ケーススタディの強み
ケーススタディは以下の利点を持つ
・文脈を保持できる
・複雑な社会現象を理解できる
・多様なデータを統合できる
・プロセスを説明できる
・意思決定を理解できる
ここまで。
第1章を読むだけでも、ケーススタディとは何で、どのような研究に適しているのかという概要を掴めたように思います。特にポイントだと思ったのは以下の3点。
・本書は社会科学の方法論としてめちゃくちゃ引用されている(Cohenに続く世界第2位)
・ケーススタディは「How」「Why」を解明するための研究デザイン
・ケーススタディ研究の方法論的特徴の特に以下の3つ
・既存理論に基づいて理論命題(theoretical propositions)を設定し、それを研究デザイン、データ収集および分析の指針とする
・複数のエビデンス(multiple sources of evidence)を用いる
・異なるエビデンスがトライアンギュレーション(三角測量)によって収束することを求める
自分の研究に合っているかどうか、どのように活用できそうかなどをイメージしながら読んだのですが、かなり良い発見が多い章でした。
続いて、第2章も読んでいきます。
ちなみに、本書は、社会科学の方法論に関する書物で世界で2番目に引用されているそうです。
※回帰分析のバイブルCohenの書籍に続き2位とは、、めちゃめちゃ引用されてますやん

まずは、Chapter 1:Getting Started: How to know whether and when to se the case study as a research method(ケーススタディ研究法をいつ・どのような場合に用いるべきか)
です。
1. この章の目的
本章では、以下について説明されています。
・ケーススタディ研究が適する状況
・ケーススタディ研究の定義
・他の社会科学研究法との違い
・ケーススタディ研究に対する代表的な批判
・ケーススタディ研究を選択する際の考え方
2. ケーススタディ研究はどのような時に用いるか
・ケーススタディ研究が最も適しているのは、以下
①RQが「How」「Why」である(例:なぜ成功したのか、どのように変化したのか、なぜ意思決定が行われたのか等)
②研究者が対象を操作できない(実験のように、条件を操作できない、介入できない状況)
③現代の社会現象を扱う(歴史ではなく、現在進行中の組織、人、教育、政策、地域などを対象)
※この3条件がそろう場合、 ケーススタディ研究は特に有効
3. ケーススタディは他の研究法とどう違うか
・実験、調査(Survey)、アーカイブ分析(Archival Analysis)、歴史研究(History)、ケーススタディ(Case Study)の5つの研究法を、次の3つの条件から比較している
①RQの形式
・Who、What、Where、How many、How much を問う場合→調査(Survey)やアーカイブ分析
・How、Why を問う場合→ケーススタディ、実験、歴史研究
②行動を研究者が操作する必要があるか
・操作する→実験(Experiment)
・操作しない→ケーススタディ、歴史研究、調査、アーカイブ分析
③ 対象が現代の現象か
・現代の現象を対象→ケーススタディ、実験、調査
・過去の現象を対象→歴史研究
・現代・過去のどちらも対象とできる→アーカイブ分析

4. 「What」にも2種類ある
・探索的What: 例 "What problems do first-year students experience?"
・新しい仮説を作るためなのでケーススタディでも調査でも実験でも可能
・記述的What:例 "How many students participated?"
・人数、割合、頻度を知りたいので調査や統計分析が適している
5. ケーススタディは「How」「Why」を理解する研究法である理由
・「How」「Why」の問いは、単なる結果ではなく、社会現象が生じるプロセスやメカニズムを明らかにすることを目的
・そのため、ケーススタディでは、「時間の経過」「意思決定の過程」「人や組織の相互作用」「現実世界の文脈」を含めて総合的に分析することが重視される
6. ケーススタディの定義
・Yinは、ケーススタディを二つの側面から定義
①研究対象・Scope
ケーススタディとは、現代の現象(ケース)を、現実世界の文脈の中で深く探究する経験的研究方法である。特に、現象と文脈との境界が明確ではない場合に適している(A case study is an empirical method that investigates a contemporary phenomenon (the “case”) in depth and within its real-world context, especially when the boundaries between phenomenon and context may not be clearly evident.)
②方法論的特徴・Features
ケーススタディ研究は、次のような方法論的特徴をもつ
・関心のある変数がデータ数よりも多いという複雑な研究状況を扱う
・既存理論に基づいて理論命題(theoretical propositions)を設定し、それを研究デザイン、データ収集および分析の指針とする
・複数のエビデンス(multiple sources of evidence)を用いる
・異なるエビデンスがトライアンギュレーション(三角測量)によって収束することを求める
7. ケーススタディは複数ケースでもよい
・よくある誤解:ケーススタディ=1事例
・Single-case、Multiple-case、両方ともケーススタディ研究である
8. ケーススタディは定量・定性を問わない
・ケーススタディ研究=定性的研究ではなく、定量データも使える(定量だけのケースもあり得る)
・ケーススタディ研究は「研究デザイン」であり、データの種類ではない
9. ケーススタディはMixed Methodsにも組み込める
・ケーススタディは、「定量」「定性」「Mixed Methods」 どれとも組み合わせられる
10. ケーススタディは様々な認識論で実施できる
・ケーススタディ研究そのものは以下のどの立場でも実施可能
・Realist:実在論
・Relativist:相対主義
・Interpretivist:解釈主義
・Constructivist:構成主義
11. ケーススタディ研究への代表的批判
①厳密ではない:手続きを明確にすれば克服できる
②一般化できない:統計的一般化ではなく、分析的一般化を行う。 理論へ一般化する
③時間がかかる:昔より効率的な方法がある。長大な報告書を書く必要はない。
④他の研究法より優れていない:RCTでは説明できない「How」「Why」を説明できる
⑤教材ケースなどと混同される:「研究ケーススタディ」「教育ケース」「人気記事」「ケース記録」は別物
12. 一般化とは何か
・ケーススタディは、母集団へ一般化するのではなく「理論へ一般化」する
・つまり、Analytic Generalization(分析的一般化) を目指す(実験研究も同じ)である
13. ケーススタディの強み
ケーススタディは以下の利点を持つ
・文脈を保持できる
・複雑な社会現象を理解できる
・多様なデータを統合できる
・プロセスを説明できる
・意思決定を理解できる
ここまで。
第1章を読むだけでも、ケーススタディとは何で、どのような研究に適しているのかという概要を掴めたように思います。特にポイントだと思ったのは以下の3点。
・本書は社会科学の方法論としてめちゃくちゃ引用されている(Cohenに続く世界第2位)
・ケーススタディは「How」「Why」を解明するための研究デザイン
・ケーススタディ研究の方法論的特徴の特に以下の3つ
・既存理論に基づいて理論命題(theoretical propositions)を設定し、それを研究デザイン、データ収集および分析の指針とする
・複数のエビデンス(multiple sources of evidence)を用いる
・異なるエビデンスがトライアンギュレーション(三角測量)によって収束することを求める
自分の研究に合っているかどうか、どのように活用できそうかなどをイメージしながら読んだのですが、かなり良い発見が多い章でした。
続いて、第2章も読んでいきます。
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